表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界龍人記  作者: Aoi
40/73

39話 対呪吸魂鬼

村へと戻ってきた僕等はガーフを探した

シロエとクロエの2人は村の中に入るとややこしくなってしまうので外で待機してもらっている


「バウッ!」


ガーフは宿の前で待機していた

こちらの姿に気づくと一目散にアイシャの元まで駆け寄ってきた

宿の中ではエリザさんを介抱している父親の姿が見えた


「ガーフ君!エリザさんを村まで送り届けてくれてありがとうございました」


「アウ〜ン」


アイシャに擦り寄り顔を押し付けてくるガーフ

よほど心配していたのか、その顔は安堵しているように見受けられた

僕等はエリザさんの容態を確認しようと宿の中へ入り父親に声をかけた


「すみません、僕達が発見した頃には既にエリザさんが倒れてて間に合いませんでした」


「何を言うんだ。あんた等が見つけてくれてなかったらもっと酷い事になってたかもしれない。本当に感謝する」


「そう言ってもらえると助かります。それでエリザさんの容態は?」


「やはり生気を吸われてしまったようだが命に別状はない。幸いそこまで吸われてないようで明日にでもなれば目を覚ますだろうってさっき医者に言われたよ」


僕等が駆けつけた頃はまだ吸い取っている最中だったのかもしれない

これ以上2人の手を汚させない為にも早く(カースド)吸魂鬼(ソウルイーター)の元に向かわなくては


「村の人達を襲う元凶の魔物の存在を突き止めました。僕達はこれからそれを排除してきます」


「本当か!頼ってばかりですまないが娘のような人をこれ以上出したくない。よろしく頼む」


シロエ達の事は伏せつつ話し、魔物を倒しに行くと伝え宿をあとにした

村は夜中ということもありこの宿以外は明かりが消えている

店主が好意で僕等が戻ってくるまで開けておいてくれたらしい

呪吸魂鬼がいる場所はここから十数キロ離れた所にあるとのことなので、店主には明け方になるから店は閉めて良いと伝えて僕等は村の外で待っている2人の元へ向かった


「お待たせ。じゃあ案内よろしくね」


「はい。ではついて来てください」


「キュウウ・・・!」


2人を見たガーフが威嚇する

お互い初対面だが本能的にこの2人が先程の霧を出した犯人だと察知したのかもしれない

しかし残念ながら今は小さい姿になっているので迫力が全く感じられなかった


「ガーフ君落ち着いて。お2人は悪い人達ではないですよ」


アイシャが宥めるとむき出しだったガーフの怒りは鎮まったが2人を睨み続けていた


「か、可愛いな・・・アイシャ、触ってみても怒らないか?」


先程の威嚇はやはり無意味だったようだ

クロエがガーフを見て手を前に出して触りたそうにしている


「いい子ですから大丈夫ですよ。はい」


「キュッ!?」


ガーフが驚いているのをよそにクロエに差し出すアイシャ

それを恐る恐る抱き抱えて優しく背中を撫でるとクロエから変な声が漏れる


「うふぉう・・・もふもふだな。この手触りは癖になるぞ」


「ふふっ、よかったですねガーフ君」


「ハゥン・・・」


ガーフは不服ながらもアイシャにああ言われた手前、抵抗せず大人しくしている

クロエの楽しそうな表情を見る事ができてアイシャも嬉しそうにしていた


「はいはい、その位にしてそろそろ行きますよ」


シロエが手を叩いて緩んだ空気を引き締め直してくれて僕等は呪吸魂鬼がいる場所へと向かう

道中の魔物は僕等の体力温存の為にシロエとクロエが倒してくれた

2人の連携は流石姉妹だけあって息がピッタリでこちらが加勢する必要もなく目的地まで順調に進んでいくことが出来た


到着したのは村を出てから数時間後

山がある森の近くまでやってきた僕等は森の中へと入りシロエ達に付いていくこと数十分、切り立った岩壁がある場所までやってきた


「到着しました。ここです」


「ここが?」


どうやら目的地に到着したようだが・・・辺りを見回しても入口らしきものは見当たらない

こちらが戸惑っている様子を見てクロエが岩壁の方へと歩いていく

壁に手を当てると先程まであった壁の一部が消えて奥へと続く道が現れた


「間違って入らないよう幻惑魔法で入口を隠していたんだ。この中を進んでいけば奴がいるぞ」


「なるほど、じゃあ行ってくるよ。2人はここで待ってて」


「どんな魔法を使ってくるか分からないので気をつけて下さい」


シロエの忠告に頷き僕等は奥へと進んで行った

中へと進んでいくとここはどうやら昔使われていた炭鉱のようで、使われなくなったツルハシ等の採掘道具が無造作に置かれていた


道に沿って奥へと進み、暫くすると開けた場所にやってきた

どうやらここが鉱山の中心地のようでここから更に他の道に続く道が幾つも繋がっていた


「これだけの数1つ1つ確認してたらキリがないね。何かいい手はないかな」


探知網も反応せずどうしよかと考えていると、アイシャが1つの道を指さした


「ここから一番嫌な気配を感じます」


アイシャが持つ霊気感知が呪吸魂鬼がいる場所を察知したのかもしれない

アンデッドやゴーストが放つオーラにも反応するようだ


「よし、じゃあその道を進んでみよう」



奥へ進むにつれて僕にも分かる位、空気が重くなるような感じが伝わってきた

アイシャが選んだ道は間違いないようだ

警戒しながら進むとやがて明かりがある場所に到着し、そこでようやく呪吸魂鬼を見つけることが出来た

ボロ切れのような黒い布を体全体に纏っていて屍の様に生気のない顔をして宙に浮いている


「見つけたぞ。お前が呪吸魂鬼だな」


「ナンダオマエラ。ショクジチュウニ」


食事中というのはシロエ達が集めてきた生気の事を言っているのだろう

奴の後ろにある棚には2人が集めたであろう小瓶が沢山並べられていた


「お前のせいで苦しんでる人達がいるんだ。だからここで倒させてもらうぞ」


「ゲンワクノマホウ キエタカラ ヤツラカエッテキタ オモッタガ・・・マァイイ コノショクジニモ アキタトコロダ オマエラノ タマシイヲ モラウ」


言葉は片言でたどたどしい話し方だったが、情報通り他の魔物より多少の知性があるようだ

呪吸魂鬼が魔法を唱えると出口に障壁のようなもので塞がれた


「ケッカイヲ ハッタ コレデ ニゲラレナイゾ」


「端から逃げるつもりなんてない」


「イセイ ガ イイナ "ケンゾクショウカン"」


結界を張り終えると次に相手は眷属を召喚してきた

地面に魔法陣のようなものが発生し、そこから現れたのは剣を腰に下げ鎧を身に着けた肉体のない魂だけの騎士幽騎士(ファントムナイト)と盗賊の身なりで両手に刺突武器を持つ屍盗賊(コープスシーフ)が現れた

数は同数になったものの、それでもまだこちらの方が有利だ

戦力というよりは壁役として呼び出したと思っていいだろう


「"能力強化"かけました。いきましょう!」


アイシャの掛け声と共に僕とガーフが飛び出し2体の眷属に飛びかかった

眷属はそれを防御しようとするが防ぎきれずダメージを負う

やはりこの2体はそこまで強くない。このまま押せば問題なく倒せる

呪吸魂鬼もアイシャに任せて呪いの魔法を発動させる隙を与えないよう牽制してもらっている


「オモッタ ヨリ ヤルヨウ ダ ナ"デス・ロンドサークル"」


呪吸魂鬼が新たな魔法を唱えると結界内の地面がどす黒い円で覆われた

すると先程まで防戦一方だった幽騎士と屍盗賊の力が増していき、僕等の攻撃に対応するようになっていった

それだけでなく、こちらの動きが目に見えて鈍くなった

奴が先程発動したのは死霊系の魔物の能力を向上させ、それ以外の能力を低下させる厄介な魔法みたいだ

それでもこちらの能力の方が上なのでやられることはないだろうがさっきまでの勢いが失われてしまった


「アイシャ!こっちは思ったより時間がかかるかも。悪いけどそれまであいつのことお願い!」


「分かりました!任せて下さい」


呪吸魂鬼だけを倒せばいいかと高を括っていたが思わぬ長期戦となってしまった





読んでいただきありがとうございます

次回更新は月曜日19時です

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

感想やレビュー、ブックマーク等々気軽にして頂けると大変有り難いです!よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ