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異世界龍人記  作者: Aoi
21/73

20話 杖の素材を求めて

アイシャの杖の素材となるローズワイバーンの宝玉を手に入れる為に花山へ向かい、夜になる前に近くの小さな町アザリアで一泊することにした

今晩はここで宿を取り、明日花山へ向かうことに決めた


「ここはディグリアと違って夜は静かですね」


「人口も違うしあそこは夜遅くまで街の灯りが点いているからね。でもここは花山に近いからか花に囲まれてて華やかだよね」


「はい、お花のいい香りもしてきます。ここの特産品はこのお花を使った香水みたいです。帰る時にお店に寄ってもいいですか?グレイスさんやリリアーナさんにお土産として買っていこうかと」


「勿論いいよ、二人共お世話になってるしね。メルにはちょっと早いかな」


「ふふっそうですね。その代わりに他の物をプレゼントしますか」


帰りの話で盛り上がりその日は眠りについた


翌日、明朝に宿を出て花山に向け飛び立つ

数時間程移動するとなだらかな丘が見えてきた

そこにはアザリアより遥かに広大な花畑が辺り一面に広がっていた


「凄い・・・見渡す限りお花畑ですね」


「本当だね。こんな広範囲に咲いてる所初めて見たよ。これだけでもここに来た甲斐があるね」


「きゅんきゅーん」


ガーフもこの場所が気に入ったのか、嬉しそうに走り回っている

このままここでピクニックでもしたいところだがそれはここに来た用件を済ませてからにしよう


「さて、昨日町の人達から聞いた情報では、年中空を飛んでいるローズワイバーンだけどこの季節になると花山を住処にしてここの花を食べる為に地上に降りてくるらしいよ」


「じゃあここで待ち伏せしていたらあちらからやってくるんですね」


「うん、だからアイシャの阻害魔法で動きを鈍らせてから僕が攻撃するっていう作戦でいってみようか」


「分かりました」


僕達は花畑の中へと入っていって相手を待つことにした

ここの花達は背が高い為、身を潜めるにはちょうどいい

ガルバンさんがローズワイバーンは臆病な性格と言っていたから警戒心も強いはずだ

出来るだけ気配を消してやってくるのをひたすら待つ


それから待機すること30分、翼を羽撃かせてこちらに向かってくる姿が見えてきた


「あれがローズワイバーンかな」


「そうですね、本に記されていた特徴とも一致しますし間違いないですね」


ローズワイバーンと聞いた時はワイバーンと名がついているからドラゴンに近い姿を想定していたが、実際の姿は想像とは大きく異なっていた

骨格はドラゴンだが肉皮がなく全身が茨で形成されており、周りには棘のついた蔓を鞭のようにしてしならせていた

そして胸の辺りには紅く輝く宝玉が見えた


「あれが宝玉か。上手くドロップしてくれるといいけど」


「私達今まで結構魔物倒してきましたけどアイテムドロップってしたことないですよね」


「そうなんだよね・・・下級の魔物はともかく中級のクワトロサイクロプスでもドロップしなかったし・・・いや、切り替えてあいつに集中しよう。ドロップするかどうかはその後だ」


「はい」


ローズワイバーンが警戒しながらゆっくりと花畑に降りてくる

咲き誇る花を品定めをし、口に入れていく

こちらには全く気づいてないようだ

気づかれないようしゃがみながら移動し、魔法の射程範囲まで近づいていく

ワイバーンという割に強敵と呼べるほどではないステータスだ

だが、スキルの中に"緊急脱出"というのがある

攻撃を受けて瀕死の状態になると自動的に発動し、安全地帯まで退避できるというスキル

大して強い訳ではないのに討伐が難しいのはこのスキルのせいか


「リュウヤ君、有効範囲に入りました。いつでもいけますよ」


「分かった、合図をするからここで待ってて」


アイシャを待機させて僕はもう少し前へ進む

ローズワイバーンとの距離が10~15m程のところで止まりアイシャに合図を送る


幻影(イリュージオ)


アイシャが魔法を発動するとローズワイバーンが食事を止める

幻影にかかり辺りをキョロキョロと見渡し困惑しているようだ

逃げるかと心配したが、今のところそういった気配は感じられない

この隙に近寄って攻撃を仕掛ける


今回ローズワイバーンを一撃で倒すために新たな試みを行った

まず龍爪を発動する。そしてその腕にファイアを唱え魔力を流し込んでいく

そうする事により、龍の腕が炎を纏って発現する

アイシャの杖の話をしている時に思いつき、その要領を取り入れて考えた技"龍爪炎纏(りゅうそうえんてん)"

スキルと魔法を重ね合わせた僕のオリジナル技

まだ発動に慣れてないので手順が必要だが、練習を重ねて自由に発動出来るようにする予定だ


都合がいい事に今回の相手はこの技との相性がいい

威力を試すにはもってこいだ


「一撃で仕留める。喰らえ!」


ローズワイバーンに思い切り振り下ろし龍爪炎纏を喰らわせる


「ギイイイイイイイイイ!!」


炎によって燃え盛り奇声をあげるローズワイバーン

スキル"緊急脱出"は発動せず、そのまま燃え尽きて魔石となる

一撃で仕留めることが出来た。通常の龍爪よりかなり威力が上がっているようだ

慣れていけば他の魔法でもいけるかもしれない


後方にいたアイシャが駆け寄ってきた


「やりましたね、リュウヤ君いつの間にあんな技覚えたんですか?」


「アイシャの杖の話してた時に思いついてね。上手くいってよかったよ」


「一撃で倒すなんて凄いです。これなら逃げられる心配もないですね」


「アイシャの魔法があるお陰だよ。でも肝心の宝玉はドロップしなかったね」


「ローズワイバーンはこの時期何体もやってくるみたいなので頑張りましょう!」


こうして僕達は先程と同じ様に身を潜めてターゲットが来るまで再び待機することにした







「落ちませんねぇ・・・宝玉」


数時間が経過した

あれからもローズワイバーンは花を求めてやってきてそれ等を全て倒したが、宝玉は落とさなかった

倒すだけなら時間はかからないのだが、いつ来るかも分からない相手をじっと待つのも中々大変だ

ガーフなんかは待機するよう命じられていたので暇だったらしく、完全に日向ぼっこ状態だった


「物欲センサーが働いてるのかもなぁ・・・」


「ぶつよくせんさー?」


「あ、いやなんでもない。とにかく根気よくやっていくしかないね」






その後もローズワイバーンを待ち伏せしては倒しての繰り返しをし、8体目にして僕達はようやく宝玉を手に入れることが出来た


「いやぁ思ったより大変だったね・・・」


「でも手に入って良かったです。大分遅くなっちゃいましたがお昼にしましょうか」


少し離れた所まで移動し花畑が一望出来る場所に座り昼食を摂る


「このサンドイッチ凄く美味しいね。流石アイシャだよ」


「食材がいいからですよ。それに綺麗な景色の中で食べてるのもあるかもしれませんね」


「それはあるね。時間が出来たらまた来よっか」


「はい♪その時はまた違う花が咲いているかもしれませんね」


昼食を済ませた僕達はアザリアへと戻り、もう一泊してディグリアへと帰ることにした


「これでなんとか杖を作ることが出来るね」


「はい、ありがとうございました。杖が出来たら私もっと頑張りますね!」


そう言って意気込むアイシャ

アイシャの杖に僕の新たな技、ここにガーフが加わって大幅戦力アップだ


日暮れまでまだ時間があった僕達は、昨日話していた香水のお土産を買いに店を訪れた


「香水のお店だけあって凄くいい香りがしますねぇ」


「2人に合うのがあるといいね」


「いらっしゃいませ、本日はどういった商品をお探しですか?」


店に入ると大人の雰囲気を醸し出す黒髪ロングの女性が出迎えてくれた


「あの、プレゼント用を買いたくて・・・一人は料理人でもう一人はギルドの受付をしてるんですけど何かいいのはありますか?」


「料理人に受付嬢ですか。少々お待ち下さい」


こちらの注文に合わせて並べられた数ある香水の中から店員が探しだす

そして2つの香水をこちらに持ってきてくれた


「こちらなんてどうでしょうか?こちらは香りが薄い香水で料理に匂いがつく心配もありませんし料理人の方でも普段使いできる商品です。で、こちらの香水は甘い香りがして魅力がアップすると今一番人気の商品です。良ければお試し下さい」


そう言うとアイシャに手を出すよう促し、手の甲に香水を一滴垂らす

それをアイシャが鼻に近づけて香りを嗅ぐ


「わぁ・・・どちらもいい香りですね。これならお二人にも合うと思います」


「そっか、じゃあこれを買おっか。すいません、包装お願いできますか?」


「ありがとうございます、では銀貨1枚に銅貨2枚になります。包装するので少々お待ち下さい」


支払いを済ませ包装が出来上がるのを待つ


「香水のプレゼントなんて初めてなので気に入ってくれるといいんですけど」


「きっと2人なら喜んでくれるよ」


「お待たせしました、こちらになります。それとこちらはお嬢さんに。お買い上げになったお客様に試供品としてお渡ししてるんです」


包装された商品と一緒に店員さんがアイシャに試供品の香水を渡してきた


「えっいいんですか?」


「はい、お気に召しましたらまた買いにいらして下さい」


「ありがとうございます」


一言お礼をして、お店をあとにする


「よかったね。ちょっとつけてみれば?」


勧められたアイシャは試しにとうなじのあたりにつける


「どうですか?」


「うん、爽やかな香りだけど甘い香りも少ししてアイシャに合ってると思うよ」


「本当ですか?ありがとうございます♪」


褒められて上機嫌になるアイシャ

平静を装ったが実際は香水をつけただけでいつもの雰囲気がガラッと変わったようでドキドキした

気づかれないよう話題を変える


「じゃあメルのお土産も探そっか」


「そうですね、何がいいでしょう」


2人でメルへのお土産を考え、少し早い気もしたがネックレスを購入しプレゼントすることにしてその日は宿へと向かった


今までレベルアップ毎にステータスを表記していましたがこれからは間隔を空けて表記させて頂きます


次回は月曜19時に投稿します

読んでいただけると嬉しいです。よろしくお願いします

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