第一部・プロローグ
ある種のおふざけです。浪人生活が終わったので息抜きにでも。
カツカツカツカツカツカツカツカツ………………………カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ……………………………
俺は今、人生で何回目かもわからない模試を受けている。模試と言えども、現役の時こそは緊張していただろうが、今の自分にとってはある種のルーティーンワークのような、ただ惰眠を貪るだけの時間と成り果てている。回りは制服の高校生だらけ。無精髭を生やして、延びきったパーカーを着て、うとうとしているのは俺だけだ。なんて惨めなんだろう。ただ、椅子に座っているだけなのに――――――――――――――――――――――――――――――――
ウト…ウト…ウト…………ピクンッ
あぁ、いつの間にか大半の時間を睡眠に費やしていたようだ。
「え――っ時間は―――っと」
おかしい。さっきから1分たりとも進んでいない。いや、1秒たりともだ。
「ここはどこだ!?」
どうやら、異次元空間に来たらしい。机と椅子と自分以外なにも見当たらない。
「どうだ、受験から解放された気持ちは?」
直接頭に何かが語りかけてくる。解放された?意味がわからない。
「我輩がお前を無限浪人地獄から解放したのじゃ」
余計に意味がわからない、と思っている矢先に、目の前が徐々に明るくなってきた――――――――――――――