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♯11

 エルフの王様、何と言うツンデレ。


 一国の王に対して、別に来たくなかったら、来なくても良いけどみたいな事、言う方も言う方だけど、フン、別にアンタ達を手伝うつもりじゃなくて、私が最高だと言うことを、みせつけるためだからねと言いながら出てくるのも大概だと思う。


 あの地下で見かけた青年が持ってた光る剣は、多分その国宝になった剣だよね。あの骨の化け物が、突き刺さった瞬間ぐずぐずと崩れていったから効果は抜群だ。五百年前の剣といえば凄い古いけど、日本だって戦国時代前の剣でも、綺麗な状態で残ってるから不思議ではない。


 エルフの空を駆けちゃう魔道師とか凄いと思うけど、個人的な好みは、損得抜きでやってくる獣人のほうがカッコイイと思う。短い期間だけど、一緒に御飯を食べて過ごすと、こいつらのよく言えば純粋な、悪く言えば単純すぎる考え方は、なんだか不思議と心地良い。

 

「獣人国は、五百年間と同じように早くから警戒していて、今回もまたドワーフの城塞都市へ向かってるんだね」


「そう、獣人は忠実なる神の僕、神の恵みである大地を守る剣。穢れたものは我らの耳と鼻が必ず見つけ出し、我らの牙が息の根を止める」


「もし、あの骸骨の親分みたいなのが出てきたら、叩き斬ってやろう」


「ああ、もちろんだ」


 今夜も宴会なのかな? とちょっと期待してたんだけど、今日からは作戦行動中につき、総員慎んで休養に勤めよとのお達しでした。




 此処に来て四日目の朝。


 朝起きる度に、家のベッドで目が覚めるんじゃないかと心配になるんだけど、今日もうっすらと明るくなってきたテントの中だ。この外の空気を感じるテントの居心地はなかなかいい。不思議な絵文字のような模様が描かれたベージュ色のテントが、外の明るさを透かして教えてくれる。


 オレは、テントの中でじっと身を横たえながら、物思いに耽っていた。


 ミレイアさんが言ってたやつで、オレの魂がこの身体の影響を受けてるのか、なんだか普通の自分よりやたら度胸がある感じはする。こんな途中で帰りたくない。どうせなら最後まで見届けてから戻りたい。


 もし、これから昔話みたいな大きな戦になるとしたら、オレもその中に身を投じて一緒に戦いたい。役に立つかどうかは、なんせ素人だから微妙だけど、頑丈さが取り得のようだから、使いようによっては結構いけると思う。


 この身体が壊れる時は、オレはもとの場所へ戻って行くとミレイアさんは言っていたけど、この身体はそのような不名誉な終わり方は嫌だと言ってる気がする。竜ってやつは、きっと負けず嫌いなんだろうね。


 まだ周囲は動き出していないので、横になったまま自分を中心に、周囲に感知の幅を広げていくように精神を集中してみる。

 

 テントの外、同じようなテントが並ぶ客人用の宿泊施設。


 それらを繋ぐ道と、その先の広場でこんな早い時間から集まってる人が八人。各テントの中はほぼ二人づつか。もう、目が覚めてる人は半数、残る半分はまだ寝てるな。


 自分の嗅覚とか聴覚、そんなに凄いかなぁ?


 この潜水艦のソナーみたいに周囲の人を感知できるのは、我ながら不思議な感じだ。ソナーって超音波の反射だったっけ? もしかしたら熱源感知とかかな。人の居る場所ははっきり解るけど、何を話してるのかとかは解らないから、そういう系統なんだと思う。


 柱の向こうのベッドで、イリスが壁の方を向いて寝てるけど、ぱっちり目が覚めてるのがわかったので、何気なしに声をかけた。


「イリス、おはよう」


「おはようアユム、はやいな。なんか私、アユムが彼方此方のテントを覗きこんで、家捜ししてる夢を見てたよ。はっはっは」


 えっ、なに?オレなにか怪しい動きしてた?


「なんだ、そんなに動揺して。本当に覗いてたのか? 冗談だよ、冗談」

 

 自分も色々と不思議だけど、イリスも底が見えないというか不思議だよな。


「そんなに気になるか?」


 うおー、お、オレいま声に出してた? 無意識に独り言喋ってたら危ない人でしょ。


「アユムは顔に出るタイプだから、隠し事とか出来ないと思うぞ」


「そ、そか、顔に出てたんだ。イリスって考えてる事を読み取る能力者かと思ったよ」

 

 ふふっとイリスが楽しそうに笑った。


 やっぱりゴールデンレトリバー系の可愛さだよな。オレ犬系か猫系かと聞かれたら犬系なんだよね。


「アユム、ここに残ってくれてありがとう」


「ミレイアさんの話だと、自然と戻るまで待つしかないみたいだし、気にしてないよ」


「アユムが、こんなところに居たくない、すぐにでも帰りたいって強く思ってたら、もうここからいなくなってる……だからありがとう」

 

 目を細くして、穏やかに微笑むイリスが可愛い。犬の可愛いと人の美しいがミックスして、まるで女神様のようだ。


「照れるじゃないか……」


 イリスはちょっと頬を赤くして、テントから出て行った。オレ、本当に口に出して喋ってないよねー。自分に自信がなくなって来たよ。


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