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俺がマザコンではないことを証明するための過去編

風呂から上がり、体を乾かしたところで母親から呼び声がかかった。


「信二、ご飯できたわよ」

「はーい」


俺にとって食事など栄養摂取の一つでしかないが、母親がそういうなら共に食べてやらんこともない。

俺がリビングに着くと母親は既に座っており、俺も並べられた食事の前に座った。


「じゃあ食べましょうか」

「そうだね」

「『いただきます』」


俺たちの掛け声と共に食事が始まった。


「そういえば、何で親父は早上がりしてプラモデルの完成何か伝えに来たの?」

「よくわからないけど、お父さん曰く『楓に一番に伝えたかったから』だって」


浮気してるくせに何が『一番に伝えたかった』だ。クソオヤジが。


「それなのに泣くってどういうことだよ」

「だって、悲しくなってきちゃったから…」

「親父はともかく俺は母さんを裏切ったりしないから安心してよ」


これは本心で言っているが、いざ口にすると恥ずかしいこともあるよね。


「ありがと、でも、お父さんの事悪く言わないであげて。お仕事が忙しいだけだから」

「違うよ、またどっかで女遊びでもしてるんだよ。あいつはそういう奴だ」

「えー、お父さんがそんなことできるとは思わないけどなぁ」

「こんなにも家の事を考えてくれてる母さんをほっといて他に女作るとか許せないよ」

「たとえそうだったとしても、ちゃんと家に信二が帰ってきてくれるからいいよ」

「俺、高校卒業したら働いて母さんを養うよ、親父のように迷惑はかけたくないから」

「信二は学校の成績もいいんだから、進学して自分のしたいことをしてくれたらいいんだよ?」


周りの人はみんなそう言うけど、本当は学業よりも生活の安定が欲しい。

早く、大人になって自立できるようになりたい。


「考えとくよ、でも俺は一日でも早く母さんを楽にしてあげたいんだ」

「お父さんがいるから大丈夫よ、浮気なんか発覚したら慰謝料請求して一人でも暮らしていけるようにするから」


俺の母親にそんなことができないことはよく知っている。

直前になって怖くなってまた泣き出すオチだ。

そもそもそんな風にならなければいいんだけど。


「その時になったら、俺も呼んでくれたら助けに行くから」

「信二は優しいね、ありがとうね」


こういうやり取りを見ると、俺がマザコンのように感じる者も多いかもしれないが、そうではない。

俺を高校に行かせてくれたのは母親だし、今の俺があるのは母親のおかげだと思っているからである。

少し昔話をしようか。


俺は中学生の頃はこの辺りの地域では名の知れ渡った不良だった。

犯罪に手を染めるようなことはしてないが、気に入らない奴や癇に障る奴ならほとんどこの拳で黙らせてきた。


具体的には中学二年生の頃だったが、それまで真面目だった俺がなぜそのような道に走ってしまったかと言うと、簡単に言えば、憧れからだ。

地域の不良などを見ていて、俺もああいう風になりたいと思ったりしたことは諸君らにはないだろうか?“ある“と”ない“は人それぞれだが、俺にとっては彼らが輝いて見えた。


自分の好きなように生きて、自分の好きなことができることがどれほど羨ましいか諸君らには分からないだろう。なぜなら、俺は小学生の頃真面目のがり勉君だったからだ。


さらに、昔に遡ろうか。


俺は小学六年間は友人などマル以外におらず、ほとんど一人で過ごす日々だった。


なぜそのようになってしまったかと言うと、俺自身が小学生ながらに人間関係を煩わしいと感じていたからだ。テレビのクイズ番組を見て、何でこの人はこんなわけのわからない問題が解けるのだろうと感じていると、その人のインタビューで『小学校から大学生の今までずっと勉強しかしてこなかったからです』と答えていた。


俺は人に感化されやすい性格をしているのだろう、そのインタビューを見た瞬間、俺もずっと勉強ばかりしていたらこの人のようになれるのだろうかと感じてしまった。


やはり小学生と言えば、何にでも感化されてしまうところがあるのだろう。

その時は、クイズ番組出られるような人間になることを目指していた。


そんなものに憧れていたからその後無理をすることになってしまうのだろう。

俺は、マルと同様に自分には勉学は向いていないと感じていたからだ。


その反動として中学生になってからぐれてしまったのだろう。


そんな小・中学生時代を送っていたが、中学三年の時に俺の進路を決める際に、担任と母親と三人で三者面談をした時の事だ。


俺は早く終わって、自分の好きなように遊びたいと感じていたが、俺の素行を担任が母親に伝えた時に母親は俺に対してビンタをかましてきた。


「他人様に迷惑をかけるようなことは絶対にしないで!」


その言葉を俺は今でも忘れていない。

これまで家に帰ってくるのも夜の遅くだったため、母親ともちゃんと話をしていなかった。


「小学生の時は真面目だったのに、中学生になってからどうしたの?」


泣きながら俺に説得をする母親に対して俺は、今までの行動が自己満足の為に他人を傷つけてしまうものであったと感じさせられた。


その後、母親に謝罪の意味も込めて、不良はやめ、再度、勉学に励み、今の高校生活が送れるようになった。


母親がいなければ間違いなく俺は、今のような生活を送っていないだろうし、何よりも一度、道を外れた俺を最後まで信じてくれた母親には感謝しかない。


俺を育ててくれたのは間違いなく母親だろう。親父はその時も、家にはあまりおらず、外で自分の好きなことをしていた。

その頃から、親父には腹を立てていたが、養ってもらっている以上強くは言えなかった。


しかし、就職をすれば自立し、親父から離れることができる。


以上の過去を踏まえた上でこの続きを見て欲しい。

断じて、俺はマザコンではない。


「学校の方はどうなの?友達出来た?」

高校一年生に言うであろう質問だが、俺がコミュニケーション能力の欠けていることは母親も知っているのだろう。


「それなりに…」

「そっか、大切にしないといけないよ」

「はい」


俺は母親の言いなりだな。


「そういえば、母さん。今日はパン教室に行くとか言ってなかった?」

「行ってきたよ」

「楽しかった?」

「全然楽しくなかった…」

「なんで?」

「パンが上手く焼けなかったから…」

「母さんのパンだったら美味しくなくて、俺は食べるから今度作ってよ」

「美味しいわよ!上手に焼けなかっただけだから!」

「ご、ごめん…」


相変わらず、どこに地雷があるのか分からない母親だ。


「でも、そう言ってくれると嬉しいから今度作るわね」

「楽しみに待ってるよ」

「母さんも信二の手料理食べてみたいけどなぁ」

「俺の手料理なんてチャーハンくらいしかないけど」

「じゃあ、今度チャーハン作ってね」

「別にいいけど、そんなに美味しくないからね」

「美味しくなかったら、違うもの食べるからいいよ」


そこは、我慢してでも食べてよ。


「わかった」


会話もすごく弾み、気が付けば夕食は平らげられていて、時刻も20時になっていた。


「『ご馳走様』」

「じゃあ、俺部屋に戻るから」

「テレビ見ようよ」

「勉強しないといけないからさ」


本当は配信だけど。


「そっか、わかった。じゃあ頑張ってね」

「うん」


苦しかったわけじゃないけど、外伝母親との夕食がやっと終わった。

さて、次回からは配信編に入るのでよろしく。


そうして、俺は自室に戻った。


皆さんの意見や批評など、よろしければ何でも送ってください。


なにぶん素人なので、より面白いものを読者の皆様と作っていけたらいいなと思っております。


よろしくお願いします。

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