手紙の女の事を知りたいのに、全く関係ないところでつまずいてしまった
「おかえり」
エプロン姿で夕食の準備をしている母親の『おかえり』を無視しながら、俺は二階の自室へ急ぎ向かった。
部屋に入るや否や、カバンを投げ捨て、早々俺は配信アプリの俺のページを見た。
ファンと呼ばれる人たちが1万人を超えているので先ほどの女がここにいるのかもわからない。
「くっそ、やはり、ここからでは無駄か」
明日、下駄箱で待ってても同じように来るとは限らない。
こうなったら、時間は少し早いが配信を始めるとしようか。
普段は寝る前の寝落ちとして配信することが多いが、とりあえず、リスナーから彼女の情報を引き出すしかない。
そもそも何が嫌かって、リアルとネットの世界は分けて行動しているにも関わらず、それを脅かす存在が迫っていることが俺にとっては恐怖でしかない。
現在17時50分か。丁度いいし、18時から始めることにしようか。
それまでに母親に部屋に入らないことやご飯はもう少し後に食べることでも伝えに行くか。
俺は、一階に降り、母親のもとへ向かった。
「母さん、ご飯は後で食べるから」
「…」
聞こえるようにしっかり伝えたはずなのに、俺の言葉を母親は無視した。
「母さん、聞こえてる?」
「…」
再度、確認を取ったがこれもシカトされた。
「ごめん、さっき『おかえり』って言ってくれたのに無視したから怒ってる?」
「怒ってない…」
「いや、怒ってるよね?」
「自分自身に呆れて何も言えないだけよ…」
「なんで母さんが自分に呆れるの?」
「私の育て方が悪かったから挨拶の一つも返せないバカ息子になってしまったからよ!」
「うん…ごめん…」
「もういいわよ!」
怒鳴り声と共に母親は突然泣き出した。
「どうしてこうなってしまったの…私が何を…」
嘘だろ?まさか、これだけで泣くような母親じゃないはずだぞ。
「ど、どうしたの?」
「うっ…なんでよ…」
「とりあえず、一回ソファに座ろうか」
俺は泣き止まない母親を俺はソファに座らせた。
「母さん、今日何かあったの?」
「信二には関係ないことよ」
「関係ないことなんてないよ、俺たち家族じゃないか」
「家族なのに…なんでこんなことになるのよ…」
俺が話せば話すほど、母親の涙は加速していった。
「とりあえず落ち着いてよ、お茶でも飲もうか」
「飲まないわよ!」
怒ってるのか泣いてるのかはっきりしてくれ。
「ごめん、やっぱり欲しい…」
俺の母親は情緒が不安定なのか?昨日までは全然そんなことなかったのに突然どうしてしまったのだ。
俺は冷蔵庫からお茶を取り出し、コップに入れて母親の前に置いた。
「飲んで落ち着いて」
母親はお茶を飲み、深呼吸して少し落ち着いたみたいだ。
「ありがとう、信二。さっきは強く言ってごめんね」
「いや、いいんだよ。それで何かあったの?」
時刻は既に18時30分を回っていたが、配信がどうのこうの言っている場合でもない状況なので暫くはお預けにした。
「うん、実は今日ね…」
母親は今日あったことを話し始めた。
少しずつでも投稿していこうかと思いました。
あとがきに少しずつ私の事も述べて行こうかと思いました。
何から何まで行き当たりばったりですが、よろしくお願いします。