ver.F-4 船の出入りもそれなりに
―――アルケディア・オンライン、待望の最終大型アップデート、ver.F。
ランランと最後のアップデートを終え、公式のお知らせにも輝くを見せるその文字に、心躍るプレイヤーも多いだろう。
また、最後の大型アップデートと通達されているからこそ、どこか物寂しく思いにふけるものや、追加された新要素に目を文字に負けずギラギラと輝かせる人など、その反応は様々な形で別れていた。
「なおかつ、現実世界からも生身の肉体を輸送できるようになったわけだけど…それはすぐにやる人はいないようだね」
【やはり、元々のアバターのほうが都合が良いのと、まだ少し警戒している部分があるようデス。生身の肉体は、リスポーンできませんからネ】
VRMMOの世界であるはずだが、現実の肉体が来ることができるようになる場所。
それすなわち、既に仮想現実と言うカテゴリから外れているとも指摘できる部分ではあるが、だからこそ生身の肉体でのリスクを考えると、気になりはすれども集団心理と言うべきか、ファーストペンギンを待ってしばらくは様子見をしている人も出るようだ。
【ですが、このアップデートによって一ついいことも増えましたネ】
「何かあったの?」
【現実世界との往来がしやすいようにされた結果、グレイ号のワープアウトによる現実との行き来に関しての負担が、ほぼ失われまシタ。以前までは多少の負荷がかかっていたために壊れる部分などが称しておりましたが…今後はそのあたりを気にしなくなって良くなったようデス】
大がかりなアップデートは世界そのものを色々と弄ったのか、教会部分の負荷も失われたらしい。
そうなるといつぞやかの、外宇宙と言うか別世界と言うか、そのあたりからの侵略者的な存在も来やすくなったのではないかと言う不安も生じるが、そこは手抜かりが無いようでしっかりとある程度の対策防護壁も用意されているらしい。
【ついでに言えば、アップデートついでに全システム改修も行われたらしく…全体的な動作の負荷もほぼなくなり、ラグ等も気にしなくなりました】
「そんなにあったとは思えないけど…」
【企業努力と言うべきか、地道に調整していましたからネ。ある程度無くなったために、不必要になったのはちょっと物悲しいですが…その分、より良いサービスが提供できるようになりまシタ】
また、ある程度の生体移動も可能になったためか、将来的な法整備による現実世界への生体利用…ペットや家畜にする利用価値を見て動く人々も出てきているらしい。
そのため、実質的に物凄く珍しい家畜系モンスターが多いミーちゃんの牧場も、その利用価値が非常に高くなったわけだが…
「だからこそ、狙うためにわざわざ探し出して襲ってくる輩も出たりするのも想定できるけど」
「まぁ、私のこの牧場がそう簡単に襲えるものではないよねぇ」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぎぇぇぇぇぇぇぇ!!」
目の前で阿鼻叫喚の叫び声をあげているのは、この機会にちょっとばかり悪の心が出てしまったらしい、あくどいながらも哀れな者たち。
ミーちゃんのこの牧場惑星は色々と移動できるために、位置の特定は難しいはずだが、人の欲望によって突き動かされた執念と言うのは恐ろしいもので、どうにかしようと動いた者たちもいたらしい。
だがしかし、そんな彼女の牧場がそんな簡単に襲えるモノかと言えばそうでもなく、ものの見事に返り討ちになっている光景があったのだった。
「ついでにティラリアさんのほうも、恐竜の卵を狙う輩が出てきたようだけど…まぁ、今日の晩御飯が増えたと喜ぶ人が多いらしいから問題ないか」
「この辺の狙う熱も、時間がたてばある程度安全な方法を確立して、減るだろうしね。運営側も予測していたのか、被害額の賠償や、無償での盗人専用トラップも提供してくれるみたい」
都合のいい実験台をフル活用するためか、凶悪そうなものが多いように見えるのは…まぁ、考えなくていいだろう。
むしろ、襲撃する側も、そこまで調べておきながらも、よく襲撃しようと考えることができたなと思うのであった…
ちょっとしたトラブルが出るのは、アップデート早々のお決まり事
すぐに対応されるだろうけれども、人の欲望とはこうも出てくるものなのだろうか
思うところはありつつも…まだまだ動きはあるようで…
次回に続く!!
…下調べをしておいて、やらかす輩が出るのはなぜか




