ver.6.0-38 トライアンドエラー
…話す前に一つ、お詫びいたしましょウ。
私たちの目的が何であれ、一応は、貴女が住まう世界に影響を与えてしまい、被害は減らし利益が出るようにしましたが…それでも、変えてしまったのは申し訳ございまセン。
ある程度の実験として動きつつ、当初の予定通りであればそこまで影響も少なかったはずなのですが、それでも予測できない箇所から、少し侵食されてしまったようデス。
侵食、という表現ですが正確に言えば融合となるのか…親和性が高すぎたせいなのでしょウ。
ええ、ええ、もうすでに貴女は貴女自身であったものから、情報を知り、理解しているのでしょウ。
私たちの行おうとしていた、とある実験ヲ。
本来であれば、神々…いえ、それらよりもはるかに上回る上位存在が行うことヲ。
ただ、出来たとしても理想通りにはいかないものも多いのですが…上位存在たちでさえも難しいことヲ。
そう、理想通りの世界、文字通りの「理想郷」の創造ヲ。
単純に、世界を一つ作る、という行為自体はさほど難しいものではありまセン。
やろうと思えるだけの努力、技術、資源等様々なものがそろえば、創ることは可能デス。
…何ですか、その顔。そんな気楽に言えるようなものじゃないだろうト?大抵の神々でも言いそうなことですが、やろうと思えばやれてしまうものなのデス。
けれども、世界を一つ創るにしても、その世界がどうなるのかはわかりません。
あくまでも管理ができたとしても、その中身は思い通りに動かない…一つとして同じ結果になるものは無いのデス。
大成したり、崩壊したり、他の世界と衝突しあう結果になるものもあるでしょウ。
そのどれもが、創造者の思い通りのものはなく…理想通りにいかなイ。
そこで、私たちは思ったのデス。
何事も、不可能だと思われていたことも、どこかで可能になることがある事例は多々存在しておりマス。
ならば、その事例の中に、理想郷を創ることができるというものがあってもおかしくはないとト。
まぁ、理想郷は私たちにとっては、色々と改変すればその場だけでも作れないことはないのですが…それでも、一度興味を持つのであれば、全力でやってみるのも悪くはないのデス。
実現することができれば面白いですし、出来なければそれはそれで結果を残すことはできマス。
ただし、創るとしても、先ほどやりようはあると言いましたが、その中には時間というものも存在しており…今回は時間短縮もできないかという目的も含めると、課題が多々ありました。
そこで、発想を少々変えました。
最初から完璧な理想郷を創ろうとしても、時間も何もかも足りない状態なので、簡単にはいかないのであれば、少々土台を作成してから、そこから徐々に追加して理想郷に変えていけばいいのだト。
それができるのならば、他の世界も同じようなことが出来そうですが、管理することができても成業が難しいものデス。
ならばより制御しやすいものを使えば…と思い、有る手段を用いまシタ。
制御するとなれば、様々な仕組みが必要デス。
そういったものを容易に作成しやすく、なおかつ後から徐々に追加することができる世界の土台として…そう、VRMMO、仮想世界を利用することにしたのデス。
プログラミングによる世界。それは、仕掛け通りに動き、制御しやすいモノ。
何かあったとしても修復・修正・改良がやりやすく、世界としての要素も0から作るよりも容易にやりやスイ。
ただし、そこに何もいなければ、どのようなものになるかもデータが集めにくいモノ。
そこで、より大衆のデータを集めてしまえるようにするために…とある世界に、私たちは創るための企業を設立し、時期を見極めまシタ。
ある程度発展し、ある程度受け入れやすいように補助も行ウ。
目的を行う前にどのようなものが必要なのかの事前調査も必要でしたし、時間はかかりましたが…そこでようやく、「アルケディア・オンライン」を出すことによって、計画は進み始めたのデス。
まぁ、そのゲーム名に関しては色々と難航しましたが…私たち、ネーミングセンスが中々厳しいので、変なものは出せなかったのデス。
最終的に、理想郷まで地道に作る、千里の道も一歩から、等々の言葉を使って…「アルケディア」の名前を使うことにしたのですけれどもネ。
大衆に解放され、様々なプレイヤーたちが蠢くことで、プログラムだけの理想郷の土台であるアルケディア・オンライン内でどんどんデータが集まっていきまシタ。
その中で、世界の創造に目を付けた他の者たちの干渉もありましたが…どうにかこうにか、世界は発展し、理想郷へ近づいていきマス。
けれども、困難の道のりも多々ありまシタ。
他の世界からの干渉、他の神々からの干渉、内部プログラムに何故か影響を与える特異点と呼ぶことにした存在…想定通りにいかない可能性はわかっていたとはいえ、それでも予想外のことは多かったのデス。
貴女もですよ、黒き女神。流石に私の系譜があの世界にいたとは…細かい部分まで調査の手が及んでいなかったのもあって、かなり影響を受けてましたからネ。
何ですか、その鳩が豆超電磁砲を受けたかのような顔ハ。それだと鳩が爆散しないかっテ?過去の事例ですが、鳩胸で余裕をもって受け止め切った鳩もいましたけど、そんな顔になってましたヨ。
ああ、初耳ですカ。フロン、話していなかったようですネ。…個人的に言えば、系譜で人の身を持つのは珍しいと思いつつ、そこから女神に転じるのはより珍しいことなんですけれどネ。
そもそもなぜその胸に…おっと、話がずれまシタ。
とりあえず、様々なデータが集まりつつも、予想外の事態も多かったのデス。
それらにも対応できるように、世界そのものもただのプログラミングの世界から、本格的な理想郷へ形作るために変え、物質に変わり、魂が吹き込まれ、少しづつアップデートの名目で世界そのもののあり方も創ることができたので、結果としては良かったのですけれどもネ。
それでもなお、外宇宙、外世界等と呼ばれるようなところにも目を付けられつつ…最近は異界のやばいのも入って色々な厄介事も同時に抱えこみ…
…結果として一部が、そのまま世界に一部融合され、混ざったゲートもできてしまいまシタ。
その影響で、貴女の…オンラインではない現実の世界にも、徐々に影響を与えてしまったのは、非常に申し訳ないことなのデス。
独立したはずの、一つの世界。
それが一部つながってしまったことで、さらに厄介なものも同時にやって来たようで…まさか、宇宙人関係にも影響が出るのは想定外でシタ。
そう、そのせいで今、厄介なものが現実のその星に…
話されていく、オンラインの秘密
実現のためのものとして利用されていた
悪用は無いけど、厄介事も一緒にやらかしていたようで…
次回に続く!!
…地道に作られ続けたけど、厄介事は相手も想定外なことが多かったようである




