ver.6.0-6 たまにはこちらの方も痛めるのデス
―――油断してイタ。
思わず、声が出そうになったのですぐに口を閉じ、心の中でそうつぶやくロロ。
深夜、バレないように地下秘密空間回廊大改造工事を行い、ひと段落が付いたので休憩しようと思い、上に戻ってきたわけなのだが…妙な反応を確認し、すぐに向かった。
場所は、主の部屋の中であり、万が一のことは許されない。
そう思い、現在各使用人へ密かに搭載されているものよりも数段格上のの…とりあえず色々なもの使用して瞬時に駆け付けたわけだが、そこにあったものを確認して驚愕させられていた。
普段、そこまで感情をあらわにすることはなく、冷静新着な使用人としての自覚を自負しているロロ。
だがしかし、そんな彼女であってもこれは、流石に動揺してしまうだろう。
（…どうして、オンライン内の物体が勝手にマテライズ…現実に出てきているのですカ）
使用人、ドール、その他最近の現実世界との交流によって、オンライン内のものが現実世界に出てくることは既に普通のことであり、今更驚くようなものではない。
だがしかし、それらは一応ある程度の審査を経て、許可を得て出てきているモノばかりのはずである。
それなのに、目の前のパソコン前から転がり落ちたように出てきていた物体は…
（アレは確か、主様が入手していたピンクダイヤモンド…何故、ここに？）
手に持ち、重量を確かめ、これが確実にこの世界にあることを確認する。
オンラインの世界で、ハルが入手したあと、しっかりとしまっていたはずのピンクダイヤモンド。
それが何故か、この現実の世界の室内に存在しているのだ。
（分子構造、素材分析、重量測定…ほぼ、間違いなく現実世界に実体化していますネ。しかし、何もしていないはずなのに、なぜこれが…？）
現実の世界に、オンライン内のものを持ってくる方法はある。
でも、このダイヤモンドにはその方法をとっていなかったはずであり、現実世界にやってくるなんてことはありえないことのはずだ。
異常事態に対して謎が深まるが、素早く原因を探る方向へ意識を切り替える。
使用人ネットワーク、緊急時用直通運営報告回路、その他…どこを探っても、該当するものがない。
正直に言えば、運営側のほうでついうっかりでやらかした案件だと言ってくれれば、それはそれで対処がしやすいので良かったのだが…どうやらそういうものとも異なるようだ。
となると、この場合は3つほど可能性になるだろう。
1つ目は、本当に運営のほうでまだ把握していない謎のバグ。
これであれば、まだ良いのだが…望みは薄いだろう。
2つ目は、主の黒き女神としての力が何らかの作用を引き起こし、現実世界に所持品を顕現させてしまったということ。
ありえないことではないが…流石にまだ、人間としての部分が強いのであれば、もうしばらくしないとできないかもしれない。
そして3つ目が…外部からの、どこにも属していない第三者による影響。
運営会社とて把握できないような、本当に外側にあるようなものたちが仕掛けたことだろう。
痕跡は見つかっていない。
けれども、考えられる可能性としてはこの中で3つ目が高いかもしれない。
本当にどう説明するべきかと、朝になるまで原因究明と説明方法に関して、ロロは本気で悩むのであった…
（…うう、何で主様はこうも見事に厄介事を引き寄せるのか…使用人として、非常に悩ましいですが、運命を司る女神様に相談しても匙投げられているので…仕方が無いこととはいえ、中々厳しいデス…）
悩むときは悩む使用人
主の負担を減らしたくはあるけど、
どうしようもないという事実があって…
次回に続く！！
…考えたら主人公よりも先に何か見つけやすい立場でもあるんだよなぁ
