ver.5.3-145 一番大変なのは上の存在である
―――一部スキルの、緊急改修。
それがつい数日前、アルケディア・オンライン内の全プレイヤーに通達され、珍しくオンライン内のとある系統に属するスキルの効果が大幅に変更された。
あるものは嘆き、あるものは安堵し、とある変態戦隊は抜け道を探したりしたようだが、そううまいこと行くはずがない。
何しろこの行動を起こさせたのは、オンラインの運営会社…いや、それよりもさらに上の存在。
過去にやらかして色々とあったからこそ、今回の件に関しても迅速に対応したのである。
「…既にネットでは、産廃嘆き祭りなるプレイヤーイベントも開催されているか…使えなくなっても、それをもとにして集客を目論む人とか商魂たくましいな」
「あ、機械神も出資者プレイヤーに入っているみたい。あの人はあの人で、AL稼ぎのチャンスと見たのだろうか」
色々とやっていた準備がすべて泡と化したのは悲しいことだが、それでも無駄にならなかったことだけは喜ぶべきことだろうか。
いきなり女神姿でバニーに変身させられたりするようなことは無くなるだろうし、危険度はかなり減ったに違いない。
それに、回収ついでに全プレイヤーに関しても色々と調整が入ったようで、いつのまにか小アップデート扱いされたらしく、この間したばかりだというのにバージョン表記が5.2から5.3へと変更されていた。
様々な部分も同時に回収されたようだが…気になるのは変態共の扱いである。
可能であればいなくなってほしいところもあるが、悲しいことに人に秘めたる変態はどこにでも湧き出る可能性を有しており、全てを消しさせることが出来ない。
その代わりと言ってなんだが、通報機能関係が強化されたようであり…なおかつ、その変態共に迷惑を一番かけられていそうな女神用のものも届けられたのだ。
【そういうわけで、運営より女神スキル所持者に対して特別措置として、『変態滅殺轟雷スイッチ』を届けに来たのデース!!】
「久しぶりにジェッターが飛んできたかと思ったら、名前が物騒なものを届けに来たな…」
好き勝手にすことはできないようだが、やばい変態だと感知すればロックが外れて、使えるようになる特別製のアイテムらしい。
いわゆるゲームキーパーだとかそういものに近いことが出来るようだが…物騒さゆえに、使う機会がないことを祈りたい。どうなるのか、名は体を表すというがそれ以上のものが仕込まれている可能性が否定できない。
何にしても、これで女神の衣装を強制的に変えられないかと模索していた者たちの企みも潰れ、今後のオンラインでのプレイに支障は無いだろう。
こちらに余計なことをしない、純粋な信者に転換してくれれば文句を言うこともない…どういう教えがあるのか定義づけてもないし、そもそもそんな宗教のようなものを発足していないが。
とりあえず、今後続きそうだった問題が解決してくれたことに、今は喜ぶしかない。
だが、一つ潰せばまた別のものが出てくるのもまた、この世の中の定めというべきか…
「…あとは、フロンお姉ちゃんが言っていた、先生とかいう存在だけか…どういう人なのやら」
「あの人が敬うような人がいるとは思いにくいけど…先生の名称で出すってことは、何か地位が高い人なのかなぁ…?」
人外の力でやらかしかけたことに関しては無罪放免とはいかず、何かされるらしい。
その先生とかいう人物が気になるが、学校の教師とかの類でもなさそうな気がするだろう。
厄介事は減ったはずだったが、新たなことの方へすぐに意識を向けなければいけないようであった…
…なお、先ほどのスイッチ。
欲望戦隊のところだと即ロック解除されそうなものだが、特殊事例としてプログラミングされているらしく、稼働する場合は通常の動作とは異なるものになるようだ。
一応、他と比較して善行を行っている方が多く、マッチョンなどの抑止力があるのが理由らしいが…抑止力になっているのか?
さてさて、問題ごとが一気に解決した
それで済めばよかったが、そうはいかないのが悲しいところ
その先生とやらは一体、誰なのか…
次回に続く!!
…新作もうちょっと…名前が、決まらねぇ




