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ver.5.1-101 気づいている者はそれなりに

…イベントが終了し、莫大な報酬が参加したプレイヤーに支払われた。

 今回は力がある魔導船を持っている人が対象だったイベントだったがゆえに、参加できなかったプレイヤーは多少の文句もあったが、それでも次回は参加してやろうという意気込みを持つものが多い。

 

 魔導船自体、そもそもの入手方法が特殊なものが多いため、すぐに手に入るというわけではないが…それでもバージョンアップを重ねて難易度は下がっており、ある程度の手段が増えている。


 また、イベントの中で目立った活躍をした船を見て、あれだけの武装を積み込みたい、自分だけの特徴的な船が欲しいと思うものも続出しており、どうにかできないかと情報収集に走る者も多く存在していたために、あっという間に手段をかき集めてしまって厳選した結果…



「造船場が見つかり、建造のためにガンガン鉱石を掘り尽くす人が出て…一部惑星で、金属不足が発生か」


 艦隊戦の迫力も手伝ってか、船を求める人が多かった。

 そのせいか、需要がかなり高まったのもあって、造船ラッシュとなったが、そもそも船一隻を作るのにもそれなりのコストがかかることは、現実でもVRMMO内でも同じこと。


 ゆえに、大勢が求めまくった結果、一部で資源枯渇が生じたようだ。



「オンラインゲームなのに、そんなことがあるのか…」

「まぁ、現実と近いところもあるようだしね。無限に出てくるってことはないのかも」


 無限に資源が出てくるのであれば、それを利用した人がいてもおかしくはない。

 無限爆弾生成とか、黄金の都市づくりとかあるだろうが…そんなものが出来た報告はない。


 エネルギーだけであれば、無尽蔵に生成できるようなものはあるが…それでも、実体のあるものとなると相当厳しいのだろうか。


「というか、グレイ号の艦内工場でも物質生成できなかったっけ?ああいう仕組みがあるなら、やりようによっては資源の無限採掘とかできそうな気がするけど…」

【あの船は船で特殊なので、そう簡単に一般プレイヤーが手に入れることが出来ないものになっているのデス】


 ふと気が付いたことをつぶやいたが、すぐにロロがそう答える。


 あの船が簡単に手に入ったら、パワーバランスが無茶苦茶になりそうだから納得できる答えか…それはそれですごい混沌とした環境になっていて、ある意味見たいかもしれない。

 その状況、確実にインフレしすぎて世界が終わるけどね。サービス終了になったら、目も当てられないことになりそう。




 とにもかくにも、各地で出てきている資源の問題。

 何も船だけではなく武器や防具、その他色々と使用されているので、他に影響が出てくるところはあるだろう。


 そうなると、あちこちで不満が出てきて、厄介ごとになる気もする。


「その場合、変なことがこっちに向いてきそうなんだよなぁ…」


 厄介事が起きてほしくないのは、高確率で僕らに向いてくる経験でわかっている。

 だからこそ、運営側には不満が出てくる前にどうにかしてほしいところだ。


「何事もなく、不足が解消されますように…」


 厄介事の種になりそうなことが潰れるように、祈るのであった…












…女神の力もあるのに神が神に祈るのかというようなツッコミが起こりそうなその頃。

 宇宙のとある海域では、ある哀れな戦いが起こっていた。


「はははははは!!この間の艦隊戦でまだまだ暴れたりなかったのデース!!宇宙海賊が都合の良い時にいてくれて助かったのデース!!」

「なんか喜ばれているけど、こっちにとっては不幸でしかないんだがぁぁぁぁぁ!!」


 この辺りではそこそこ名の通った賞金首でもある宇宙海賊。

 しかしながら、今回絡んだ相手…いや、見つけられて絡まれてしまった相手が悪すぎた。


 星間国家の君主に上り詰め、馬鹿みたいに強く、アルケディア・オンライン内でのトッププレイヤーとも呼ばれる一人、恐竜女帝ことティラリア。

 

 先日の艦隊イベントでも特殊な戦艦を利用してさんざん大暴れしまくったわけだが、まだまだ暴れ足りていなかった。

 いや、その暴れ足りなくなった原因が、敵を減らし過ぎたハルのせいだともいえるのだが…とりあえず、暴れてもいい対象として選ばれたのが宇宙海賊たちだったというのは良いだろう。


 しかも現在、あちこちで資源が色々と不足しがちなので、ここで何とか逃走できたとしても船の修理にも大量に資源が必要になり、復活も厳しい。

 そもそも捕まった時点で賞金首なため、どっちにしても悲惨な末路しか用意されていないだろう。


 せめてもの救いとすれば、ティラリアがしつようにいたぶるタイプではなく、大火力で一気に殲滅をすることを好むため、長い苦しみとはならないことだろうか。





…だがしかし、今ここにより悲惨な末路が待ち受けていることを彼らは知らなかった。


「よーし、あとは敵の首領をひっとらえて終わりデー…ん?どうしたのデース?」

【グゴゲゲゴガァ!!】

「え?レーダーにヤバい反応デース?この船に喧嘩を売って無事なのは、このオンライン上と言えども、数人のプレイヤーぐらいなので、それだけのエネルギーをもつものしか反応しないようにしているはずデースが…?」


 宇宙海賊たちをもうちょっとで完璧に叩き潰せるところで、索敵に勤めていた眷属が報告してきた。

 何やらこの恐竜女帝率いる艦に関して、かなり不味いことをやらかす相手が接近しているそうだ。


「…ふむ、嫌な予感しますネ。なら、さっさと逃げるのデース!!総員、撤退デース!!」


 考えているよりも直感に従ったほうが良いと切り替え、すぐにティラリアは全員を船に戻しその場を後にする。


 残されたのは、襲撃を受けたがかろうじて生き延びた、ボロボロの宇宙海賊たちだけ。


「な、なんだいきなり、どうして去っていった?」

「わからんが、助かったといえるのか?」

「ぜ、全員今のうちに被害を確認して、相手の気が変わって戻ってくる前に逃げるぞ!!」


 あっけにとられていたが、ぼーっとしていたらまた戻ってくる可能性がある。

 あの恐ろしい恐竜軍団を二度も相手したくないので、彼らもこの場から逃走する方へ動く。


 しかしながら、その判断は遅かった。

 ティラリアたちが逃走すると同時に、すぐに逃げればよかった。


 そのほんのわずかに生じてしまった時間で…もう、彼らの運命は決まっていた。


「エンジン出力最低だが、すぐに出航できる!!」

「よし、面舵いっぱい、全力でこの海域から逃げ…!!」


 逃走の号令をかけ、船を動かそうとした海賊たち。

 その言葉を言い終える前に、彼らは終わった。



 何が起きたのかすぐに理解することはできないだろう。

 ただ一つだけ、言えるとすれば、彼らより離れた場所で目撃し続ければ見えていたのかもしれない。


 ほんの一瞬、短い間。

 1秒とも満たない時間の中で、船全体を覆うような何かが出現し、わずかな間に彼らはその何かに捕まれ、世界から消え失せた。


…その日、一つの宇宙海賊団が行方不明となり、しばらくしてからどこかで失われたものとして賞金首からも抹消され…そのまま、帰らぬものとなってしまったのであった。

哀れな犠牲が、ここに出た

幸いなのは、誰も気にしないような宇宙海賊だったことぐらいか

宇宙の海は広いゆえに、すぐにわかるわけがないのだが…

次回に続く!!


…ティアキン…時間…うう

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