ver.5.1-80 アルナイドッチアル
スキルのほとんどが封じられ、ここ最近の女神によるごり押しが通用しないダンジョン内。
だが、こういう環境だからこそ、培ってきた経験を活かすことが出来る。
「…あっちの通路に、モンスター数体か」
「なら、おびき寄せよう」
ほぼ初期環境に近い状況だが、焦る必要はない。
先ほどの岩トラップは流石にきつかったが、それでもこのぐらいであればまだ良いだろう。
「搦め手を使っての戦闘がメインになるだろうが…こういうのは慣れているからね」
ブービートラップ等の作成は、既に通った道である。
最初の方こそ戦闘系の職業ではなかったがゆえに、毒などの罠を多用していたが、それを再び使える環境になっただけと思えばなんてことはない。
限られた資源しかなく、使える手段も限られているのであれば、それらを可能な限り活かすのみ。
これまで女神を使ってきてどこか慢心していたり、あるいは何か物足りなさを感じていたような気がするが、こういう環境に身を置かれるのも悪くはないだろう。
修行フィールドというものも存在していたはずなので、ここでの用事を終えた後に向かうというのも面白いかもしれない。
とにもかくにも、今はこのダンジョンでしか得られない資源、特殊鉱石アルデスヨンとやらを目指して進むのみ。
全滅しないように、警戒しながら先へ向かいつつ、後からモンスターがやってこないようにトラップも仕掛けておく。
「しかし、こういうところでトラップ作製技術が活かせるとはなぁ…ネットで知ったもの以外にも、昔、おじさんに教えられたものも使えるとはね」
「あー、あの空き地でガキ大将のように居座っていたあの人か―」
「結局、何かやらかして近所の怖い人たちにフルボッコにされた翌日には、何故か集まる子供たちに罠の作り方とかを教える人になっていたけど…何の目的があったのやら」
今も解けぬ謎だが、大したことではあるまい。
罠づくりはこうやって今、役に立っているのだから無駄ではなかったのだろう。
「そしてトラップの種類も多種多様っと…スリリング…パチンコとか言ったほうが分かりやすいやつかな?他にも、クロスボウ、吹き矢の筒等も作成できるだけの材料があってよかったよ」
「丸腰よりはましだもんね」
弾数は限られるが、無駄なく使えばいいだけの話。
的確に狙撃し、撃ち漏らさないようにする。
警戒しつつも、戦力が増えたことに少し安堵し、慎重に先へとハルたちは進むのであった…
順調にダンジョン内をハルたちが進んでいたその頃。
宇宙フィールドのとある海域では今…残骸が散らばっていた。
宙域に集結していた、数多くの艦隊。
その戦力は相当高かったはずなのだが、全てが被害を被っており、悲惨な状況になっている。
一応、大半が無人艦だったが…それでも、被害が大きい、
『状況、報告。98%損失』
『光学兵器、実体弾、効果アリ』
『シカシナガラ、ダメージ与エルニハオヨバズーーーーー』
あちこちでまだ生きているところから状況が報告されるが、その内容は重いものばかり。
被害状況の事実が連ねられるたびに、どれほどのものだったのかわかっていく。
対策はしていた。しかしながら、力が及ばなかった。
VRMMOの世界ということで、ある程度の制限はかかっていたかもしれないが…それでも、全滅と言える状況は酷いものだ。
ゆえに、伝えられた情報をもとに、改めて失われた分を取り戻すように建造されなおしていく。
今度は制限をなくし、なおかつより強力な艦隊を用意できるように。
プレイヤーたちには悟られないようにしつつも、ある程度の救援も求めていく。
これは、ここだけの話では済まないことが分かっているがゆえに…
ダンジョンを着実に制覇していく
これで、うまいこと資源が手に入れば、グレイ号は大きくパワーアップできるだろう
その一方で、何やら凄惨なことに…
次回に続く!!
…ヤバい敵は早めに潰したいけどねぇ




