ver.5.1-59 舗装されしは善意の道?
「燃え盛れ情熱の炎!!噴き上がれ可能性のマグマ!!煉獄を身に宿す、レッドのタローン!!」
「輝け希望の光!!解き放て可能性の光!!閃光の一撃をこの拳に、イエローのミートン!!」
「飲み込め大海!!洗い流せ豪雨!!この世で何もかも溶かす水を、ブルーのスッケン!!」
「整体大事!!激しい動きはせずに緑の癒しを、この腰に!!グリーンのカックウ!!」
「「「「シン・欲望戦隊ミセタインジャーSP』、ここに参上!!」」」」
いつものように名乗りを上げ、皆でポーズを決めるとともに欲望戦隊の背後でどかんっと色つきの爆炎が燃え盛る。
本日、欲望戦隊はとある星にて、活動していたわけだが…いつもよりも、人数が少ない。
アティは欠席、国でのやることがあるために本日はログインできず。
マッチョン及びその一家は、本日は休暇を取っているようで、参加せず…テイムモンスターが休暇を取るというのはおかしな話のようにも思えるが、一応この戦隊はブラック企業とかではなく、きちんと申請をすれば休業も可能なのだ。
まぁ、普段何かと欲望戦隊の暴走を止めている苦労を多少は自覚しているので、気にするようなこともない。
自覚しているならもうちょっと抑えろと叫ぶ声が大多数から発せられそうだが、それはそれでどうでも良い。
そんなわけで、本日はいつもよりもやや人数が控えめなわけだが、何の目的もなくログインをしているわけではなかった。
「それで、情報は本当なんじゃよな?」
「ああ、間違いないだろう。今度こそ、我々のメンツに加えるべき、美女モンスターが目撃された星のようだ」
「テイム条件が公開されているようだが…珍しく、単純なものだ」
「友好関係を築き上げるだけ…それで、テイムできるというモンスター『ブラックバット』か…」
―――
『ブラックバット』
暗黒惑星ダストロネスに生息する蝙蝠のモンスターの一種。
アルケディア・オンラインのモンスターは大抵の場合、その種族に該当するモンスターであれば似たような見た目になりがちだが、このブラックバットはどういうわけか変わった容姿プログラムが含まれているせいなのか、容姿が統一されていない。
蝙蝠の羽と人の体、人の顔と蝙蝠の体、蝙蝠とタコの併せ持った肉体など、どちらかといえばキメラっぽい感じの見た目になっている。
容姿が個体によって異なっているのは、発生直後に吸血した対象の情報を自身に組み込んで変化するようになっており、多様性を手に入れることで種族としての存続を続けようとするからだと言われている。
―――
「目撃情報によれば、一週間ほどまでに発生した幼体の一体に、どこかの美女プレイヤーが吸血されて、その情報を持ったようだ」
「そのおかげで、蝙蝠+美女の組み合わせの容姿を持ったブラックバットが誕生したというわけか…偶然とはいえ、良い情報をつかんだな」
彼らがこの星に来たのは、ブラックバット…その中で、噂の美女を吸血して肉体を得たモンスターをテイムするというもの。
それぞれの性癖は異なるが、それでも美女が戦隊に入隊してくれるのは彼らにとって大歓迎すべきことであり、その機会があるのならば、迷わず一直線に得るために動く。
そのため今回、わざわざこの星に来たのだが…すぐに見つかるとは考えていない。
「ブラックバットは、元が蝙蝠だけに夜にならないと出現しないか…着陸場所が昼だったので、いかんせん待たないといけない時間が発生したな」
「かといって、夜の場所に着陸は厳しいか…この星の夜の面を覆い尽くす黒い雲、超濃硫酸で出来ていて、突っ込めば溶けるからなぁ…」
「安全なのは昼の場所での出入りだけど…あと30分程待たないといけないか」
得るための道中が容易いものならばよかったが、そんなわけはない。
だが、厳しい道のりがあるのならば、それを乗り越えてこそ至高の宝を得ることが出来るだろう。
今まで数多くの挑戦をしてきたが、その分負けもあった。
だがしかし、今回は本気で準備を行っており、今度こそ成功するはずである。
「ここで我々は勝ち取るのだ!!」
「このメンツに、美女を入れるという欲望の星を輝かせるために!!」
「惜しむらくは幼女なども希望だったけど、それは二の次三の次と血涙を押しとどめ!!」
「願いを成就させることへ全力投球!!」
「「「「今度こそ、得るぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
気合十分、欲望120%越え。
何が何でも絶対に成功させようというその執念は、恐ろしくも感嘆に値するほどであった…
『…こちら欲望戦隊確認。ネット情報操作、うまくいった模様』
『作戦第一段階、引き寄せ成功。油断せず、続けて…』
…その欲望の焔が、利用されているとは知らずに。
彼らの知らぬところで、計画は動いている
まぁ、利用するだけあって多少は良い目を見てもらう必要はあるだろう
罪悪感とかある…か?
次回に続く!!
…欲望戦隊の口上、何かと毎回変えているけど、大変だったりする。
そう考えると、毎回なんだかんだと~と言っていたあの人たち、凄かったんだなぁ…




