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ver.5.1-38 変わり種は、何かとあって

【…全員、集合ユッキィー!!】

【【【ユキユキダルマァァァア!!】】】


 コユキの号令に合わせて、召喚された雪兵たちが整列し、声を上げる。

 召喚された雪兵たちは一応モンスターの類に入るはずなのだが、言語が翻訳される類には入っていないようで、まともにしゃべっているわけではない。

 とはいえ、意志の疎通が全くできないというわけでもなく、例えるのならば某青猫ロボのミニバージョンのものに近い感覚があるということか。



「というか、何で雪兵を召喚しているの?」

「仕方がないでしょ。癒しの惑星を移行した矢先に、艦内の温度が上昇して、暑さでダウンしかけているからね…」

【艦内の温度調節は完璧に管理されているはずでしたが…うむむ、まさか、対熱シールドを貫通するほどの熱量を放出する遊星が超高速で接近するとは、遊星自身の磁場でレーダーも反応しきれなかったようですし、ミスでしたネ】


 ここ最近の騒動のことが原因で、僕らは癒しを求めて、癒しの代表枠でもあるモフモフを存分に楽しめるという惑星『グランディスモフール』というところへ向かおうとしていた。

 だがしかし、その星を目指す航路を取った矢先に、突然艦内に警報が響き渡り、大きく揺れたかと思えば、一気に室温が急上昇したのである。


 原因を探ると、どうやら光速を超えた速度で移動する恒星が…宇宙の星々の中で軌道が不安定すぎる遊星の一種が通過したらしく、その星の超高熱によって熱されたらしい。


 一応、グレイ号自体には万が一に備えての防壁が常時備わっているらしく、大事に至ることはなかったのだが…ほんの短い間とはいえとんでもないほどの熱量を浴びたらしく、かなり熱されてしまったようだ。


「そのせいで、一部オーバーヒート及び、強力な磁場でも帯びていたのか対策を取っていた部分も貫通されての故障とは…推進機関等には影響が出なかったとはいえ、まさか艦内温度を一定に保つ空調設備がいかれるとはなぁ」

【現在、室温39度…そこそこの高温状態ですからネ】


 真夏というか、熱帯地方というか、砂漠レベルとまではいかないが室温が上がってしまい、全員ぐったりしている状態。

 VRMMOとはいえ、実感できるようになっているため、こういう時は現実でも汗が出そうなほど熱くなっているのはちょっと厳しいだろう。


【オォォン、コノグライ、平気】

【大丈夫ダシャゲェ!】


 他の面々が熱に大丈夫なのかと思いたかったが、いつぞやかの火山の時に比べればまだましな方なので、我慢はできる状態。

 この面子の中で一番熱に弱そうな雪将軍でもあるコユキが不安だったが、彼女でもなんとかこらえられるようで、雪兵召喚及び自身の氷のスキルを使用して周囲の室温を下げているようだ。



「しかしなぁ、まさかそんな遊星があるとは思いもしなかったよ。こんなの、あったっけ?」

「うーん、アップデートでどうやら、宇宙空間航行時に何かしらのアクシデントに逢いやすくなったってネット情報があるけど…もしかして、こういうことを言っていたのかな?」


 海が解放されたときに海賊との遭遇もできたように、どうやら宇宙空間での航行も平穏無事で済むようなものでもなくなったらしい。

 いや、前に確か、どこかの宇宙海賊船に激突したこともあったので、元から平穏無事なものではないのだろうが…何かの遭遇率が上がったというべきだろうか。



「一応、壊れたのが空調設備の気温調節部分だけで、他に異状はないから航行に支障はないけど…流石に、雪兵を出しっぱなしにするのもなんだし、どこかで修理のために停船したいかな」

「どこかで修理のために停船させて、私の魔導船に乗って向かうほうが良いんじゃない?」

「あの列車型のか…それもありだけど、まずは停船場所を探さないとね」


 膨大な広さを持つ宇宙空間のフィールドだが、プレイヤーたちがあちこちで活動していることが、かなり役に立つ。

 大量のプレイヤーが行きかいまくるということは、それだけ魔導船が使用されていることもあり、故障や事故やらで修理の必要が出ることがある。


 そんなときのために、どこの宙域でも対応可能な修理用のドックが用意されており、そこでゆったりと修理を行うことが出来るのである。



 なお、ドック自体は運営が用意したものや、プレイヤーによってはギルドで設立したもの、どこかの宇宙人が放棄していつの間にか利用されているものなどがあり、当たりはずれが存在するらしい。

 当たりであれば修理費用が0になったりする場所もあるようだが…大外れなところだと星間戦争の中に巻き込まれたり、侵略性の宇宙人が停船しているなどのハプニングが用意されているようだ。



 そのため、可能な限り当たりのほうを引きたい人が多く、どこがヤバいのか調べてまとめている人もおり、情報収集は困難ではない。


「まぁ、中にはハプニングに遭遇しまくりたいって人が、わざと外れを選択しているらしいけれども…僕らは普通に、当たりのほうを選びたいよね」

「宇宙海賊なら別に良いけど、侵略性宇宙人だと面倒なレイドイベントが生じたりするからね…」


 過去にそれに巻き込まれたことがある身としては、何事もない場所を選択したい。

 戦略を考えれば外れが来ても問題がないのかもしれないが、癒しを求める中でわざわざ面倒ごとに首を突っ込みに向かうような大馬鹿野郎が、この世の中にいるだろうか?





 そんなことを思いつつ、情報を収集して、一番近くて安全なドックを探してみる。

 この宙域であれば、いくつか外れとあたりが点在しているようだが…外れを除外しておく。


「『当たりが常時でも、実はランダムで外れになりましたー』みたいなことが起こりかねないのがここの運営だから、しっかり選ぶとして…近くなら、このアステロイドベルトのほうにあるドックかな?」

「なんか、凄い実感が込められていない?」

「色々あったからね…」


 どれだけのことを、運営から喰らったというべきだろうか。

 その経験が幸いして、おそらくこれでシークレット外れみたいなものを避けられていると思いたい。


 とにもかくにも、修理のために一旦癒しの星へ向かう航路を変更して、ドックへ向かうのであった…



「そういえば、修理にはどのぐらいかかる?」

【簡単な部品の交換及び対策用の電磁コーティング再調整も含めると…そこまで長くはかからないですネ。20分ほどで終わりマス。航行したままでも修理は可能ですが、エンジン放熱を利用した部分もありますので、停船したほうが安全に作業できますネ】

「あ、そこはしっかりサーマルリサイクルしているのか」

【稼働しているだけで、船のメインエンジンは相当な量の熱を出しますからネ。宇宙空間への放熱は可能ですが、利用できるものは利用したほうが良いのデス】


修理できる機会を設け、いったんドックへ

航行への支障はないが、それでもまた同じようなことが起きたらと考え、対策を取っておきたいところ

何事もなく、安全な道の確保のためにもしっかりと…

次回に続く!!


…新作検討中。この作品での経験を活かしてのTSか、それとも苦闘人悪魔を主役に抜擢するか、はたまた別のモノか…色々と書いて悩み中。

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