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ver.4.2-17 ミステリートレイン 最終日

…吸血によって、ファンタジックアイランドで遊べる最終日には、ミーちゃんはすっかり回復していた。

 血を吸うだけでここまでの回復があるとは、僕の血が相当効いたのか、真祖ゆえの回復力の高さだからか、他にもいろいろとあるのか…何にしても、前日にバラバラにされていたとは思えないほどの気力があっただろう。


 しいて問題を言うのであれば…吸血によって真祖としての力のほうが強化されるのか、まともな勝負では加減ができなくなっているぐらいか。


「…吸血鬼どころか吸血種の特徴として、一度生き血を食したら、しばらく活性化しちゃうようで…飲み慣れた人なら制御しやすいそうだけど、私の場合はそんなに飲んでないから制御しにくいんだよね」

「これだと普通の力比べとかの類ができないな…純粋に身体能力が跳ね上がっているもんね」


 一緒に遊べるのは良いが、勝負がしづらい状態。

 どうも瞬発力や判断力、その他の力も一時的に上昇しまくっているようで、勝負するには少々厳しい状態。


 これで真正面からできるほどの力があればよかったが、あいにく一般人の春にはそんな真祖と真っ向勝負できるほどの力はない。


「女神人形はまだあるけど、アレを使うのも何か違うしなぁ…いや、女神使っても張り合えたらそれはそれですさまじい様な」

「それでこの島が消えたら、元も子もないと思うんだけど」


…消す気はないけど、力のぶつかり合いがどうなるのかは大体わかるので女神は無し。

 その代わりに何か別の方法がないかと模索した結果、一つの方法があった。





「しりとり用変身粘土『メタモルッチ』か…」

「しりとりで出た内容に対して変身する粘土の人形で、答えるまで粘土が襲ってきます…なるほど」


 ちょっとした遊具の一種で、見た目的にわかりやすいものになっているらしい。

 しりとりのルール自体は単純だが、次に答えるまで追いかけまわされるようで、鬼ごっこの要素も少しだけ混ざっているような気がする。


「タッチされるまでに次の言葉を言えなかったり、あるいは『ん』で終わったら負け…シンプルだけど、面白そうかな」

「鬼ごっこもあるなら、今の身体能力だと私負けないよ?」

「そこはまぁ、ハンデが欲しいかな」


 都合の良いハンデとして、筋トレ用道具の『ギガトンリング』という道具をミーちゃんに付けてもらった。

 リング状の重しだが、ダイヤルを操作して重さを自由に操作できるらしく、最大の10tでやってもらうことにする。


「というか、10tでも動けるミーちゃんがすごいけど、この重さでトレーニングできる奴がいるのだろうか…」

「tの重さが選択できるだけでも、十分規格外すぎるよね。需要あるのかなぁ?」


 そこそこの重さだけでも十分なのに、度が過ぎたレベルの重さになる道具は意味があるのか。

 その疑問を抱きつつも、このハンデだけでも十分なので、早速やってみることにする。


「それじゃ、先行は僕から行くね」

「どうぞどうぞ。このハンデがあっても、私は負けないよ」

「それじゃ、お言葉に甘えて…最初から全力でやってしまおう。えっと、『超音速ミサイル』っと」

「いきなりどぎついのがきたんだけど!?」


…そしてそのミサイルに変形し、すぐに飛翔する粘土。

 変形力の速さは技術の高さをうかがわせるが、ミーちゃんが次の内容を思いつくまで全力で追い続けていくのであった…


「えっとえっとえっとミサイルミサイルルルル…!!『ルンバ』!!」

「バ、『バズーカー』」

「かかかか『カルビ』!!

「『ビーム』!!」

「明らかに殺意マシマシなものばかりやってない!?」


 いえ、殺意はないです。ミーちゃんにそんなもの、抱くわけがない…あ、いや、女装の賭けをされたのはほんのちょっとだけ抱きそうになったかな?







…平和的なようなそうでもないような、そんなやり取りが行われていたころ。

 家の方では、ロロが後片付けを行っていた。


【結局、地上に残されていた方々は、バックについていたものがいなくなったことで、帰る家がなくなりましたね…まぁ、留置場ならば問題なかったかもしれまセン】


 むしろ、今回の騒動の原因となったとあるコンピューターがやらかしたことを考えると、何の成果もあげられずにそのまま帰還させなかっただけ、慈悲がある対応を行たというべきだろうか。

 空と地下から攻めてきた者たちは、既に責任を取らされる形で利用されていたようだが、それらよりも遅れて行動したことが幸運だったのか、陸から襲ってきた者たちは国家権力によってとらえられて、無事で過ごすことになった。


 一応、融通は多少は利かせられるし、被害もなくなったのでそのまま放置でも良いのだが…与えられていた任務をやろうとしていたその忠実さは買うものがあるだろう。

 最初に襲ってきたやつらは、治療が済んだとはいえ色々と改竄しまくったようなので、使い物になることはない。


 だが、まだ無事な捕えられているやつらに関しては、多少の記憶操作が必要とはいえ、利用価値はあるのかもしれない。


【そう考えると、中々幸運な方たちですネ。良かったというべきでしょうカ】


 襲われていた側だったが、それでも相手のあったかもしれない未来を考えると多少は同情の余地があるし、使えるのあれば使ったほうが良い。

 問題ないのであれば、そのまま利用しなおしたほうがためになるだろう。


【しかし、結局使わなかった機能もありましたし、このあたりの防衛設備に関しては再考の余地ありですネ。飛行機能、巨大ロボ変形、合体機能などありましたが…ご近所の目を考えれば、余計なものはなくして代わりのものを使ったほうが良いのかもしれまセン】


 襲撃を経験した各地の同僚たちと連絡は取っており、何が良く使用され、逆に何がほぼ使わなかったのかという情報共有済みである。

 想定して用意することはできるが、実際に事が起きて見なければわからないこともあるため、今回の一件は都合の良いデータ収集にもなっただろう。


【なんにしても、主様方が帰ってくる前に多少調整作業はしておきましょウ。守りきれたのはよかったですし、無事にお迎えの用意が出来そうデス】


 やることは出てきたが、今はそのことを楽しみに待つべきだろう。

 情報によれば、旅行先でも心配していた通りの出来事が起きたようだが、無事に済んだとも聞く。

 それはよかったのだが、一手先、二手先を読めればさらに防衛できた可能性を考えると悔しい気持ちがなくもないが…悔んだところで、既に終わったので考えないほうが良い。


【さてと、とりあえず機能整理と、帰宅に備えての準備をしましょうカ】


 平穏が戻ってきた家の中で、ロロはそうつぶやいて動くのであった…




【…そういえば、黒き女神人形が無事に使用されましたが…ちょっと収集したデータがおかしいですネ?何か、横から読み取られてませんカ?】

元気いっぱいになったのは良いけど、良くなりすぎた

まぁ、これはこれで楽しめるなら良しとしよう

そして旅行から帰ってくるわけだが…

次回に続く!!


…平穏とは、あっけないものである

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