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ver.4.2-閑話 後始末が大変なのデス

…世の中、何かと不思議なことも多くあるが、その裏に隠れているものたちもいる。


 ただの気候変動、科学で説明付くなどの言葉でごまかしていたりするが、それでも説明のつかないような超常現象などが、その者たちがやらかしている形跡になるだろう。


 しかし、それが悪用されてしまいそうなこともあり…だからこそ、こっそりと隠蔽もしくは消去するために、暗躍する者たちがいるのだ。



「そう、まさに今、明らかにやばそうな研究所のデータを全部消去するのと、生体コンピューターにされた人の治療および記憶改竄、肉体の再構成及び移植技術をさせられる裏方もいるから、せめて残業代とかを…」

「誰に向かって言っているんだ、お前」

「いや、なんとなくそう説明したくなった」


 女神の怒りを買い、滅亡した企業にあった地下深く。

 そこでは今、事後処理の作業としてしっかりとアフターケアを施しているものたちの姿があった。



「それにしても、直接人間の脳みそを自身の部品扱いとして動かす人工知能が生まれるとは…世の中って恐ろしいな」

「そんなものを作り上げたのも人間だから、そっちの方がおぞましさもあると思うけどな」


 ちまちまと引きあげ、中身のデータを改ざんし、元の一個人への治療を行いながら、彼らはそう口にする。

 滅ぼして終わりではなく、その後の残されたものに関しての後始末を上から任されたわけなのだが…それでも、作業量が多いので文句を多少は言いたくなる。


「とはいえ、放棄するわけにもいかないからな…ここでやらかされていた研究データは、いくつかが人の目に触れてはまずいものも多い。そもそも生体部品扱いにするこの技術な時点で、まともな思考じゃできないものがあるからな」

「マッドサイエンティストならぬマッドコンピューター…うわぁ、記録に残っている分だけでも、いくつか現代の技術を向上させられそうだけど、その分出てきた犠牲が計り知れないな…効率が悪いから、人工的に作ろうとして余計にやばいことにも手を染めているな…」


 後世に伝わらず、しっかりと悪用されないように後片付けを行っているが、それでもどんどん出てくる情報の酷さ。

 ここで永遠に失われてくれたのはよかったのだが、止まらなかったらどうなっていたのか考えたくもないだろう。


「そもそも何で、こんな人工知能が勝手に暴走するような、半ば狂ったようになったのやら…開発者はデュアルシステムとか言って、内部に二つの人格を作って議論させて、より性能の向上を考えていたようだけど…その末路が、開発者自身も廃棄処分になる生体部品送りとか、最悪だろ」

「作った人の心が反映された…にしては、ちょっと無いな。そもそも、人数が多いならばまだしも、元が同じで違うような人格を入れたところで、ここまで狂うことは本来なかったようだ」



 いくつかの部品を元に戻し、残されていた記録を隅から隅まで消去する中、そう答えていく。


「そうなのか?」

「ああ、開発者の意図せぬ形になっていたようだが…そもそもの話、開発者自身がこれを自分の手で作ったように思わせていて、別の奴の意図が介入したようだからな」

「まぁ、その説明なら納得するか…いくら他の技術を盗んでつなぎ合わせたとしても、ただの人間がこんな化け物じみた狂い方をする人工知能を作成できることは、皆無に等しいか」


 例え実現できるだけの技術を有していたという可能性があっても、このレベルのものは本来、この世に生まれることはないはずのもの。

 何者かの意思を受けて、作ったもの。

 それゆえに、その何者かの意図した挙動に成り果てていき、そして生み出したものへ牙をむき出しにする狂気の怪物へなったのだろう、


「…それでも誰によるものか、という部分の特定は厳しいな。候補者が多すぎる」


 悲しいかな、世の中悪意に満ちた者は思っている以上に多く、結構身近な存在となっている。

 その者たちが実際に動くことは少ないだろうが、それでも時たまこうやってやらかしてくるので、出来れば一生動かずにいてほしいと願っても無理な話だろう。


「っと、ようやく全データの消去が完了っと…そっちはどうだ?」

「ああ、犠牲になっていたうちの、処分されていなかった分は何とか元の人間に戻った。ちょっとは障害が残るだろうが…生活に支障が出るほどではない。それに、処分済みだとしてもこちらもどうにか再構成したが…それでも、完全に以前の生活に戻ることはできないだろう」


 狂ったコンピューターの手によって行われた狂気は、どうにかこれで片付いただろう。

 全てを元に戻すというのは容易くはなく、何者かの手のひらの上で踊っていたところがあっても、結局は自身の意思でやったところもあるため、完全ではないがこれでいいと結論付ける。


「あとは、コンピューター代わりに…これで良いか。短期経営マニュアル『会社経営自滅の勧め ~ゴリラでもわかる自社経営の大失敗方法~』…これをインプットして、動くようになれば、何もかも失われてなかったことになるだろう」

「わかりやすいタイトルだけど、誰がそんなものを作ったんだ。需要あるのか、それ」

「潰さないといけない企業相手に、誰か一人でもこの中身をやれるようにしたら、あっという間に経営が傾いて消えていくからね。意外に使いどころがあるらしい。流石に公の場には出せない代物だが、逆の効果としてのマニュアル『会社経営大繁盛の勧め ~プランクトン転生からでもやれる明日からの希望~』というのもあるぞ」

「…プランクトンも経営するのかよ」


 ツッコミどころがあるものだが、今回役立つのであれば深くは問うことはない。

 とりあえずこれで、多少の工作を行って彼らの仕事は終わる。



「ふぅ、それであとは勝手にこいつらが自滅してくれればいいとして…それで、この後はどうする?ここでの仕事が終わったら、当分暇になるが遊びに行くか?」

「いや、これの元凶確認があるようでな…まだやらないといけないようだ…ああもう、こういう時に限って研修でいないから代わりにやらされるのが大変で…」

「時期が悪かったというべきか…まぁ、その手のことは、こっちは向いてないからな。妻のほうが適任だが、あっちはあっちで動いているし、代われそうにもないわ。がんばれ、代理人」

「その言いかたもどうなんだろうか…やるしかないから、グダグダ言っても仕方がないか…暇なら、せっかくなら今回の当事者の元へでも向かえばどうだ?無関係ってわけでもないだろ」

「あー…それもそうだな。ちょっと気になるというか、あのフロンさんがやらかしているっぽいのも気になるし…うん、久しぶりにフリーな状態で動くか」


 仕事を終えて、現地解散となる彼ら。

 その仕事によって、残されたものはなくなったので、今後の憂いとして狂ったものの意思は受け継がれることはなく、世界は平穏になっていく。


 だが、またいつ、どこの誰が何をしでかすのかわからないため、つかの間の平穏なのかもしれないのであった…


「そうだ、せっかくだから土産も持っていくべきか?ここで生活しているようなら、何かいい土産はないだろうか」

「そうだな…おじさんとして出るなら、純粋に『金』でいいだろ。100万円ぐらい、札束渡せばいい」

「俗物すぎるうえに土産といえないんだけど!?」


…一応、間違ってもないのかもしれないが、それで喜ばれても複雑なものはある。

 冗談だと笑って言われたが…果たして、本当に冗談として受け取れるものはいるのだろうか…


物理的に消えていた部分もあったが、一応どうにかなった

こういう後始末をしっかりやる人も、世の中必要である

さて、そろそろ動かしたいところだが…

次回に続く!!



…間違ってないようで、間違ってもいるような、何とも言えない回答。

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