ver.4.2-0.7 ミステリートレイン
ポポポ、ポ~~~!!
『お客様へご連絡いたします。明日、当列車は目的地へAM8:30に到着予定でしたが、予定路線の一部で問題が発生し、一時的に路線変更を余儀なくされました。夜間走行速度を上昇させますが、予定時刻より10分ほど遅れてしまうことをお詫び申し上げます。繰り返します、明日…』
「…路線変更?そんなこともあるんだ」
「他の路線が使えるらしいけど、何か事故でもあったのかな?」
お風呂から上がり、まだ体が冷えずにぽかぽかとして、寝台車でゆったりとミーちゃんと過ごしている中、汽笛が鳴ったと思っていると、社内全体へアナウンスがあった。
ミステリートレインの目的地は変わることはないようだが、ちょっとだけ到着が遅れる様子。
まぁ、予定通りにいかないことはあるし、10分程度の遅れだとしても結構早いとは思うので問題があるわけではないだろう。
「まぁ、もうちょっとゆっくり寝られる時間が増えたと思えばいいかな」
「あと5分…と言って、起きなくなるやつにならないよね?」
「…」
「春、どうして目をそらすの?」
そんなことを言われても、ちょっとなりそうだなと思う自分がいるせいである。
割とありがち…いや、絶対になると思ってしまう。
「5分、たったそれだけのに気が付けばずるずると伸びて…気が付けば遅刻ギリギリになったことがあったなぁ」
「わずかな時間なはずなのに、何故か欲したくなる思考の時間なのは同意するよ」
短いはず、それですっきりと切れるはず。
それなのになぜか、よりもっと求めてしまう人はいるだろう。
あれか、人の欲望の尽きない理由って、もしやこういうちょっとしたことが原因だから、そのちょっとが大量に出る人だからこそ欲望は消えないのだろうか。
そんな世の中の真理を垣間見たような気になりつつも、寝る準備をしておく。
本日もミーちゃんと勝負をして、今回は勝利したので二段ベッドの上を取ることができた。
「というか、一番良いのは横にベッドが並ぶホテルような感じの構造なんだよなぁ…こういうタイプだと、上か下かで争いが起きるのは当たり前な気がする」
「私としては、これはこれでよかったと思うけどね。…それにしても、今日は負けちゃったかぁ」
あははと笑うミーちゃんだが、どことなく悔しそうな気持が出ている模様。
仕方がないだろう。本日はカジノではなく、列車内にあった図書室で歴史の本を適当に選び、お互いにクイズをしあう方式の勝負をして、彼女が敗北したからね。
「というか、問題が難しいって…歴史の問題、あやふやな部分も多いもん」
「しかも海外のものも混ぜてやったからなぁ…世界史とか取っていても、それで詳しく覚えているのかと言われれば、微妙なところだったからな」
それでどうにか勝利できたが、正直言って危ないところだった。
まだ年が語呂合わせとか何かで結び付ける類ならばともかく、関係ない様なものだとどちらも外しまくったからなぁ。
「というか、歴史に合わせてその国の歴代首相とかの名前を出されても、知らないところが多いってばぁ!!自国でもコロコロ変わる時期とか出されたら、結構厳しいよ!!」
「確かに、年一ぐらいで変わるところもあったもんね…」
そんなとことはさておき、勝負はもう終わったのだから、後は明日に備えてしっかりと寝るだけである。
上のベッドに横たわり、下のほうでもミーちゃんがベッドに入り、お互いに確認して消灯する。
「それじゃ、お休み、ミーちゃん。明日の目的地、どこかはわからないけど楽しみまくろうね」
「わかっているよ。どこなのか気になるけど…楽しむなら、全力で!ついでに勝負もできたら、やってみよう!」
遠足前の子供のように、どことなく漂うわくわくとした雰囲気。
そのまま寝付けなくて起きてしまう可能性もあったが、幸いなことにそのまま穏やかに意識を沈め、眠りにつくことができたのであった…
―――乗客たちが眠りにつく中、ミステリートレインは速度を速めていた。
夜間の間は安全と快適な眠りのために、速度を落としてゆったりとした走行なはずだが、今晩は違ってかなりの加速を行っていた。
路線の一部が使えず、少しでも予定通りに間に合わせるために早めているのか?
否。万が一の可能性を考え、念のためにいくつかの路線を走れるようにしており、何があっても予定通りの走行を行えば、確実に間に合うようになっており、夜間の高速移動は行わなくてもいいはずだった。
しかし、実は先ほどのアナウンスの前から、とある連絡を受けたことによって、大幅な遠回りと振り切るために、加速しているのである。
【第二種非常警戒態勢、さらに加速を行いマス】
【走行補助のため、予備機関車及び路線拡張車両要請。後方断ち切るために切断車両も同時に要請】
【機関出力を増幅、オーバーブーストは乗客への負荷が予想されるため使用は行わず、圧力上昇により回転率を向上】
静かに乗客を寝かせつつ、乗務員たちの手によって次々と動き、夜間を猛スピードで駆け抜けていくミステリートレイン。
元々特殊な超特急仕様に改造される計画があったこともあり、完全ではないとはいえ、並大抵の車両が出せるような速度ではなかった。
そんな列車になっているにも関わらず、後方より迫りつつあるものを探知し続けており、振り切るにはさらなる加速が必要になるだろう。
【乗客への加速による負荷を予測。加速負荷軽減装置を最大限に作動】
【線路走行はこれ以上の速度では厳しいと判断。特殊路線へのポイント切り替えを要請】
ガシュガシュと全力で動輪が回転し、空転ギリギリのところで保ち続けて加速するミステリートレイン。
乗客へ不安を悟らせぬように細心の注意を払いながら、後方への警戒も怠らずに突き進んでいくのであった…
【補助機関車CD-25及びMS-03、前方路線に進入完了】
【高速移動状態での連結及び、後方路線切断車両の後方ポイントからの連結…】
さて、いよいよ到着予定の目的地
どこにどうでてくるのか、どんな場所なのか楽しみにしつつ、爆睡する春たち
一方で、何やら迫りくる影が…
次回に続く!!
…何も気にせずに走ればさらに加速可能だが、乗客がいる以上制限もある




