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ver.4.2-0.3 ミステリートレイン 

 人を駄目にするソファの恐ろしい魔力のようなものを味わった後、無事に列車は出発した。

 ツアーのしおりによれば、2日ほどかけて目的地に到着し、3日間滞在、その後はまた同じ時間をかけて駅へ戻っていくらしい。


 つまり、1週間あるうちの3日間ぐらいしか目的地で遊ぶ時間はなく、それ以外は結構長めの旅の時間にはなるのだが…飽きさせないための工夫が色々とされているようだ。



 例えば、窓から見える景色に関して。

 ミステリーツアーという目的地が不明な旅路だが、外を見て自分が今どのあたりにいるのかわかる人もいるだろう。



 だがしかし、そんな簡単に居場所が分からないように工作がされている。


「GPSがまず使えない、外の景色も一部違う路線に入ったり、トンネルが多めの場所も使用するからわからなくなりやすい…万が一事故が起きたら大変そうだけど、それでも居場所が分からなくなるようにして、目的地を悟らせないか…」

「これがやばい人身売買の組織のものだったら、どこにいるのかもわからない不安を与えそうだけど、ちゃんとしたツアーだから安心はできるよね」


 使いようによっては危ないことこの上ない工夫ではあるが、ツアー名目なので大丈夫だとはおっもう…多分。

 気にし過ぎたり、考え過ぎてはいけないだろうし、今は目的地がどこになるのか考えながら、ゆったりと過ごす方が吉か。



「それに、他の車両でマッサージやお風呂とかも堪能できるから良いか」

「お風呂のほう、ただのお湯とかじゃなくて本物の天然温泉のお湯を、タンクに積載して給水しているらしいよね」


 その分重量がかなりあるようで、実はその車両だけ連結器とか足回りがかなり頑丈に固められている。

 旅路の途中で尽きないのかと思うが、どうも目的地までずっと止まらないわけでもなく、時折どこかの駅で停車することがあって、そこで補給するようだ。


「その駅で居場所が分かりそうだけど、名前もわからないような田舎の駅とかだったらどうしようもないかな」

「温泉の給水ができるってことは、温泉で有名な場所でわかりそうだけど…それでもそこそこあるような」


 なお、効能は入れ替えた際に切り替わるようにもなっているらしい。

 フットバスのような機能もあるようで、マッサージやら血行促進やら、体調を整えるものが今の温泉の効能らしいが、次の停車駅で切り替えると、目や肩の疲労を抜くようなものになるとある。


「ありがたいけど…このツアーの間に、全効能を試す客もいるだろうなぁ」

「あ、すでに何人かあいさつしたけど、さっそく入りに行った人もいたね」


 なお、娯楽室つきの車両もあるがカジノもあったりする。

 一応、賭博関係の法律や破産防止のためか、本当のお金は使用せずにこの列車内だけで使用できる疑似的な通貨しか利用できないようだが、下車時に使用して商品を買うこともできるようだ。


「何人も参加しているから、各々好きに過ごしている感じだよね」

「目的地まではたっぷり時間があるから、やれることはやってしまおうって感じかな。…そうだ、せっかくだから勝負しない?」

「勝負?」

「娯楽車両のカジノで、どっちがどれだけ稼げるか勝負!!やらかして素寒貧になるようなことがないなら、普段できない勝負をやってみるのも面白いかも!!」

「なるほど…良し、その勝負のった!!ミーちゃん、僕のほうが勝ってみせるよ!!」

「いやいやいや、運の良さだったら私も負けないからね!!」


 時間たっぷりあるし、危険の香りもしないような娯楽があるならば、それを利用して勝負するのも良いだろう。

 そう思い、初日は速攻で車両内にあるカジノへ向かうのであった…


「…というか、本当のお金を使う勝負とかはやりたくないよね」

「昔、私たちがそろってお婆ちゃんたちへ勝負仕掛けて、お年玉がぱぁになって泣いたときあるもんね…」


…今は亡き人も混ざっているけど、祖父母ひい祖父母、ひいひい祖父母とお年玉倍増を賭けた勝負をやって、敗北した日のことは忘れない。

 というか、ひいひい爺ちゃんの自作スロットで連続ジャックポットとか出されて勝てるわけがないでしょ…何か工作でもしているかと思ったけど、そんなのもなかったし…うう、つらい思い出だな…









【…ふむ、地下のほうからはまず、シールドマシンのようなものを使用してますカ】


 春たちが勝負をしていたちょうどそのころ、家の地下に作られた特別管制室にて、ロロは相手の動きを確認していた。

 

 空、地上、地下からそれぞれ接近する反応があるが、動きとしてはまず地下のほうが早く動いているのが分かる。

 人の手で掘っているとかではなく、地下の振動や音を検知する装置の分析では、トンネル採掘用のシールドマシン…いや、本来のものよりもさらに性能を上げて、ガンガン採掘して接近することができる機械を使用しているようだ。


 だがしかし、一般住宅であればその方法でどこにでも入り込めそうなものなのだが…あいにくながら、この家はしっかりと改造済みなので、対処方法は用意されている。


【地下魚雷セット。1番、2番発射】


 ぽちっとボタンを押せば、地下内に設置されている兵装が起動し、地面の中に魚雷を打ち出す。

 いや、普通の魚雷であれば海で使用するものなので地下で使えるわけがなさそうだが…その頭の部分には特殊な掘削装置が使用されており、地面の中でも潜り進むことが可能になっている。

 

【接近、着弾まで10秒………着弾】


 ドォォォンと地面の中で爆発する音が聞こえ、反応が消えたことで着弾を確認した。

 一応、相手の生命を奪うことを目的にはしておらず、爆発したといっても爆薬を仕掛けているわけでもない。


【超圧縮土砂の放出確認。穴を防ぎつつ中身を外へ押し出し完了】


 穴をあけたり爆発したりして、陥没など地上への影響を考慮して、地下魚雷には爆発と同時に埋め戻すことができるようにたっぷりと特殊圧縮土砂を詰めている。

 相手が何かの機械に乗って迫ってきていたとしても、爆発させて一気に押し戻すことが可能なのだ。

 しかも、ただ押して埋め戻すだけではなく、放出される土砂は自然と周囲になじみつつ、より強固岩盤へと変化するように仕掛けているため、次に掘削しようとしてもそううまくはいかなくなるだろう。


…将来的にここに地下鉄とかがやってくる時があれば非常に困ったものになりかねないが、その時はそのときであり、後でしっかり通常の土に戻す工作も可能。

 そのため今は、相手の地下からの侵入を諦めさせるために、魚雷を発射し続けるのであった。


【…しかし、やはりというか普通の相手ではないですネ。並の技術で地下からの接近ができるわけがないのですが、それを凌駕してできるだけの技術を持ち合わせている…ハッキングの件も考えられると、いくつか絞られますが…今は空と地上のほうにも目を向けておきましょうカ】


―――まぁ、魚雷をかいくぐって接近できたとしても、この家の領内には入れませんけどネ。防壁として、レーダーなどで探知はできない加工を施した特殊超合金の壁が連なってますので…地下30kmほど設置しましたが、魚雷だけではなく超音波振動砲、地下水利用型ジェットカッター、地熱式外殻マグマ変換装置…色々とあるので、そこまでやってくるガッツのある相手が来てほしいところデス。

リアルマネーを使用しないからできる安全な遊び

良い子はマネしちゃいけないが、さてどっちが勝利できるのやら

そして一方で、しょっぱなから地獄を見ている相手だが…

次回に続く!!



…責められにくい場所だけど、だからこそ油断せずに防衛手段を用意しておく。

むしろ、来てくれないと試せないという問題が発生するので、やってくるなら都合の良い実験台として役立ってくれるから良いのだが…良くないか?

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