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ver.4.2-118 常に彼らだけが挑み続けているわけでもなく

「えー、というわけで合同のクエスト攻略となったわけだが…」

「なんか異色のメンツというか、珍しい組み合わせだと思うのだぜーよ」

「まさか、あの欲望まる出し大進撃戦隊とやと組む機会があるとは、思わなかったのだべぇ」

「こちらこそ、攻略・前線組と合同で受けるとは思わなかったが…いや、待ってほしいんだけど。なんかすごい聞き捨てならないものが聞こえたんだが」

「間違っていないと言えるのも、なんというべきかのぅ」

【ブモモモ…(自覚しているなら、ちょっとは抑えればいいのでは)】


…ハルたちがシャドウフェニックスと遭遇する少し前。

 アイギス火山の山小屋にて、集うものたちの姿があった。


 かたや、以前からハルと合同でクエストを受注する機会があった、攻略・前線組と呼ばれるようなプレイヤーの中で先を目指すぽっけねこやギターマン、オハナ、グランプ。

 かたや、既にプレイヤー業界では時折宇宙のどこかで出没する宇宙海賊以上にある意味恐ろしいのではないかと言われつつも、先日のイベントによって勇者になったオークが所属している方でも有名になったネオ・欲望戦隊ミセタインジャーαの一味。


 色々と目指すものが違い過ぎているこの二組が、本日この山に訪れたのはわけがあった。


「まぁ、お互いの合わない部分はさておき…用意はできたんだよな?」

「ああ、こちとら自分が猫神様に気に入られたおかげで、ちょっと評価が惜しいけどボルケーノクリームSPはどうにか入手できたよ」

「これで、本来ならできるだけの大人数で挑む必要がある裏クエスト(・・・・・)に挑みやすくなったね」

「ネット上にはまだ出ていないけど…この特殊クエスト『参上!炎上!!即退場!!豪炎影の鳥の謎』に隠されていたものに必要だからな」


 彼らの目的は、ハルたちみたいにMACのスキルを求めてではない

 求めているのは、数多くあるクエストの中で…密かに隠されているという、裏クエストである。


 通常のクエストは普通に達成できるが、そのクエストを行う中で、実はある条件を満たせば特殊なイベントが発生することが確認されていた。

 そして実は、この欲望戦隊と組む前に攻略・前線組は今回のこの火山のクエストにも裏クエストがあったことを確認していたのである。


「ただねぇ、見つけたのはいいけれども、初めて遭遇したらぼっこぼこにされたのよねぇ」

「そうだべぇ。情報不足で対策しきれず、ぼっこぼこにされてデスペナルティを受けたのだべぇ」

「そんなクエストに、我々欲望戦隊も加えて戦力増加して、挑もうというのはわかるが…大丈夫なのか?」

「ああ、間違いないだぜーよ。そっちのテイムモンスター、真・ブレイバーオークがいればより大丈夫なんだぜ―よ」

「自分の猫神様に認められた、猫勇者となったブレイバーキャットもいればより万全になっているかな」


 そう言いながら彼らが目を向けるのは、それぞれのテイムモンスターで勇者の名を持つ者たち。


「マッチョンが、ボスモンスターに対して有効だということかのぅ?」

「ああ、間違いない。一度目の戦闘で敗北したが、それでもただで負けるわけにはいかないからね。全滅するまでの間に相手の情報を徹底的に集めて…相手の弱点に勇者系のモンスターの攻撃が有効だということを確認できたのさ」


 ただ、一度目の戦闘において、攻略・前線組の方にも猫勇者が存在していたが、対策不足でやられてしまった。

 そのため、勝てる手がなくてそのまま敗北したようなものなのだが…勇者の数を増やし、なおかつ相手への対策を徹底的に行えばそれだけでも十分勝率は上がっているだろう。


「相手の名前は、クイーン・シャドウフェニックス。このアイギス火山の真の主という立場に君臨しているようだけど…その身には、ものすごい魔障の炎を纏っているんだ」

「魔障…魔界フィールドのほうで有しているモンスターとかもいたりするけれども、そんなものを纏う奴らの弱点としては、強烈な光かもしくは聖なる攻撃、または勇者系のモンスターの攻撃がかなり効果的だということは確認しているからね。そちらの勇者とこちらの勇者、そろえて立ち向かえば百人力なんだよ」

「なるほど…」


 本当ならばより戦力を充実させたいところなのだが、実はまだ勇者系のモンスターに関しての情報は乏しく、テイムモンスターとして持っている人の情報が少ない。

 その中で、先日のイベントの一件で物凄く目立ったのが欲望戦隊のマッチョンであり、このクエストを行うにあたって引き込んだのである。


「もちろん、テイムモンスターの力を借りつつ欲望戦隊の皆さんも戦力になるからね。しっかりと、事前に話した対価を支払うよ。ああ、敗北しても勝利しても、どっちにしてもまた攻略情報としてはかなり貴重なデータになるから、どっちに転んでも確実にね」

「うむ、問題はないが…本当に良いのか、その対価?」

「我々が求める…ハルさんのところの様な、麗しき美女モンスターたちの情報を!!」


「…こいつらぶれぬのじゃが…まぁ、反対はせんのじゃよなぁ」

【ブモモ】


 本日もぎっくり腰の治療のために不在のカックウの代わりに、グリーンとして戦隊に加わっているアティのつぶやきに対して、同意を示すマッチョン。

 貴重な女の子というべき存在が現在グリーンとして入っているのは戦隊の他の面々にとって喜ばしいことなのだろうが、それでもまだ欲深きものの欲が満たされることはない。

 ハルのように美女モンスターをテイムしたいという欲望が尽きることはなく、日夜求めてはいるのだが、それだけの情熱があったとしても、テイムできるかどうかは、そもそもめぐり合えるのかどうかは別の話になってしまうのだ。


 そこで今回、この攻略組たちの話を受ける代わりに、美女モンスターの生息地やそのテイム条件であり、できる限り自分たちの中に加わってくれそうな確率の高いものを彼らは求めたのだ。

 アティとしてはもっと有用な情報を求める方法もあると言いたくもなったが…これでもしも、別の美しい美女が入ってくれれば、自分のほうに変態共が来る可能性が減るだろうし、マッチョンとしてはより身内のほうで制御できやすくなるならば仕方がないと思うしかない。


 そのため、いくらかの欲望には目をつぶりつつその対価を求めることに妥協し…攻略組たちにとっても、その位の情報で強力な勇者系モンスターの力や、欲望のほうで悪名高くとも素の戦闘能力自体がそこそこ高い欲望戦隊と共に挑めるのであれば、損はない。


 お互いに利益があるということで合意に至り、攻略・欲望合同チームとして、今回の裏クエストに挑もうと一致団結したのであった。

 字面にすると、欲望のほうがひどすぎて何とも言えなくなるが、それは口にはしない。





 そんなわけで、彼らはこの山に再び挑みに来たのである。


「でもできればもうちょっと、戦力欲しかったかもなぁ」

「あー、ハルさんあたりを誘っても良かったかもしれないね」

「いや、それ不味いかもしれないな」

「え?」


 余裕を持たせるならば、より戦力を補充すればいい。

 そう考えると、彼らの中でかなりのテイムモンスターを誇るプレイヤーとしてのハルを思い浮かべたりもしたが、ふとぽっけねこさんがそう口にした。


「なんで?ハルさんが不味いってどういうこと?」

「んー、今回の相手ってクイーン・シャドウフェニックス…まぁ、いわゆる逆ハーレムを築き上げているようなモンスターなのはわかるよね?」

「ハーレムのうらやましさはわかるが、その逆はとなるとどうなのかわからんが」

「それはどうでも良いとして…ハルさん自身がどう思っているかはともかく、彼のほうもほら、ある意味ハーレムの様な状態になっているよね」

「「「「アレは死ぬほど羨ましいものなんだが」」」」

  

 その言葉に対して、ガチの血涙を流しそうなほど力強く答える男性陣。

 

「逆ハーレムとハーレム…似ているようで正反対のものだけどさ、そうなるとちょっとどうなるかが分からないかな。見た目ですぐにわからないかもだけど、勘が鋭い獣と考えると…良くて逆もの同士として意気投合か…あるいは…」

「あるいは?」

「…自身のハーレムの雄どもを誘惑しかけないものたちを有している危機感から、排除対象って可能性になりかねないかも」

「あー…でも、ハルさんのモンスターって端的に言って蛇、豹、馬とかだぞ?明らかに鳥とは関係がなさそうな面子しかいなかったような」

「それでも、モンスターで種族が違っても実る愛はあるからなぁ。そう考えると、アリスちゃんとかがヤバいかもね。あの子、黒い炎を吐く時点で種族が違えども似たような特徴があるから同族嫌悪って可能性なんかもあるかな」


 どうも情報を読み進めていくと、このクイーン・シャドウフェニックスというモンスターはネームドモンスターと言えるレベルであり、ある程度の状況把握能力も高そうだというのが分かるだろう。

 ゆえに、語らずとも見ずとも、野生の勘だけで相手に対して的確な判断を下せるようだ。


「もしもこれで、条件的にはそうだな…黒き女神とかだったらより最悪かもね。イベントとかで見たけど黒い炎も扱ってたし、色合いとしても黒が被るし、同性別だし…下手すると…」



―――最初から、全力で焼却処分対象と見なして勝負するどころか潰してくるかな?


…嫌な予感というのは当てはまるものである

まぁ、今回は本人たちが抱くよりも前に、別の人たちから危惧されていたようだが

そんなことも知らずに、ついに対峙してしまったわけで…

次回に続く!!



…これが投稿されているときは祝日(2022/7/18)だけど、うっかり仕事しそうで怖い

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