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ver.4.2-92 こちとらずっと、あぐらかいておらず

―――キンニンコングの生み出す臭気の濃さは、空間にじっとりと広がって色合いがくっきりと出されており、どれほどの臭さが充満しているのか目に見てわかりやすい状態となっていく。

 それはまるで、空気のドームとなっているようで、周囲を次々と飲み込んで広がっていく。


 どれほどの臭さが、その濃さを保って広がっていくのか。

 それがすべてを覆いつくすまではまだまだ時間がかかりそうだが、星全体を包み込みかねないほどの規模であり、その中に入ってしまえば牧場中のモンスターたちの命にかかわりかねないだろう。

 いや、キンニンコング自体もザマスリア一味によるチューニングがしっかりと施されているのか、相当な強さを持ち、まるで一種のレイドボスのようだと思ってもおかしくないのかもしれない。


「…この濃さは厳しいが…それでも脱出できないことはないか」


 ぼんっと音を立てて、濃厚な悪臭のドームから僕らは脱出しつつ、いったん距離を取った。

 脇にはミーちゃんを抱えているが、あの悪臭に先にやられてしまっているようで、すぐに動けない様子。


「本当に、RMPのスキルが使えて良かった。シアのほうのジェットパック装置が利用できたな」


 シア…ドラゴノイドなそのボディの前は、中三病さんが作り上げた使用人のボディ。

 対ティラリアさん用として備え付けられていた様々なギミックの30%ぐらいは、種族がドラゴノイドになったせいか使用不可能になっていたようだが、それでも高速移動用のジェットパックなどのギミックはまだ使用可能だったようで、テイムモンスターということもあってRMPのスキルで使用することが可能な対象品になっていたようである。

 黒き女神の第二形態もある程度は飛翔が可能だったりするが、それでも飛ぶ速度は知れており、高速で動けるものがあればそれを利用したほうが良いと思ったが、こういう時に役に立つとは思いもしなかった。



【ウホニクホォォォォォン!!】

『おーっほっほっほっほ!!姿が変わったようざますが、脱出するのが精いっぱいの様子ざますねぇ!!あまりにもひどすぎる悪臭が濃厚すぎて姿が見えないけれども、距離を取って逃げているのが手に取るようにわかるざます!!』

 

 外部スピーカーとやらで、キンニンコングの中にいるザマスリア一味が高笑いを上げているようだが、このまま好き勝手させるわけにはいかないだろう。

 この星はミーちゃんの牧場であり、その全てが悪臭に包まれるわけにはいかないのだ。


「とはいえ、あれはどうやって相手にすべきか…」


 ふざけた中年悪党一味と思っていたが、色々なモンスターを各地で狩りまくっていただけあって、経験値も相当積んでいたらしく、中々手ごわい相手になっている様子。

 そのうえ、キンニンコングというふざけたニンニク頭巨大ゴリラのせいで、悪臭の防壁が常時纏われている状態であり、近接戦闘も厳しいだろう。同じゴリラでもゴリラマンさんのほうがどれだけ優しかったのかよー-くわかるな。

 だけど、遠距離攻撃をしたくとも、このすさまじい悪臭の壁は物理的な強さも持っているようで、マリーの毒の霧などと違って可燃性の性質も持っておらず、遠くから火を投げて爆発させることもできなければ、ルトの電撃やネアの糸、コユキの吹雪等の遠距離攻撃の効果も薄いだろう。


「うぐぐぐ…なんて、ひどい臭いだ…」

「あ、ミーちゃん気が付いた?大丈夫?」

「なんとか…でも、HPとかはまだ大丈夫だけど、メンタルダメージのほうが酷いかな…」


 アルケディア・オンラインはVRMMOではあるが、感じられる感覚は設定次第でよりリアルなものに近く感じられるようになっている。

 そのせいで、あの悪臭もリアルで受けるようなものに近くなっており、あの臭さも現実で感じ取れるような代物になったのだろう。


…というか、あのザマスリア一味が何やらミーちゃんの情報を集めた結果、あの兵器を作り上げたみたいなことを言っていたが、なんでキンニンコングなんて言うふざけているようですさまじいものを用意したのだろうか。

 あんな悪臭、誰だって苦手というか、来る前に吹き飛ばしたいと思うが…うん、考えていてもきりがないし、今はどう対応するか考えないといけない。



「牧場の用心棒が起きてくれればいいけど、地中深くで寝ているなら気が付くまで時間がかかるし、そもそも臭気がすさまじいいから…他のテイムモンスターも、全員鼻があるから厳しいね」


 悪臭への対抗手段と考えると、まずは嗅覚のほうをどうにかしたほうが良いだろう。

 だが、良くも悪くもレアだったりするようなモンスターたちは敵になりそうな相手をすぐに見つけるためか嗅覚が優れている奴も多いようで、あの悪臭地獄で動けるのはほとんどない様子。


「僕のほうも、皆厳しいかな…黒き女神の姿でどうにか脱出したけど、まともな相手は無理か」


 いくら女神の力があっても、相手が最悪の悪臭の塊ならば厳しいところ。

 いっそ鼻がないような、嗅覚そのものが最初から無いような存在じゃないと話になりにくい…いや、待てよ?


「あ、そうだ。鼻がない存在を最初から作ればいいのか」

「え?ハル何か方法があるの?」

「うん、方法あったよ」


 最初から嗅覚を有さないような存在を作れば早い話で、その方法はある。

 一応、作るというのかどうかという微妙さはあるが…それでも、手段としてはこれがあるだろう。


「コユキの『雪兵召喚』!!」


 RMPのスキルでコユキの持つ雪兵を呼び出すスキルを使用させてもらう。

 本来は雪だるまみたいな兵士たちを呼び出すものなのだが、そこそこ呼び出せる量やそのサイズや見た目等カスタマイズできることが使用するたびにわかってきたことがある。

 もちろん、黒き女神の状態で使用すればより強化できるが…今回は強化というか弱体化というか、その呼び出せる範囲を少しだけ変えれば良い。


【【【ユキユッキーーーーー!!】】】

「わーお!大量の雪だるまたちが出現して…あ、もしかして」


 出現してきた大量の雪だるまの姿をした兵士たちを見て、ミーちゃんも察したようだ。

 そう、雪だるまといえば様々なパーツを付けて顔を作り上げるのだが、今回のこいつらはその中でも「鼻」になるような人参とか木の枝などがない者たちである。

 念のために、香りをかげないかテストさせてみたが、鼻がないので匂いも感じ取れないことが確認できた。


「鼻無し雪だるま兵…これなら、あの悪臭の中でも行動できるはずだ」

「でも、数は多く出せてもそのあとはどうする?あいつら、結構強そうだけど」

「単純な数の暴力じゃ勝てなさそうなのは理解できているからね。でも、何も兵士たちだけで攻撃してやっつけろなんて無茶な命令はしないよ」

「というと?」

「…ちょっと前に、実家で母さんから伝手を教えてもらってね。あるレシピも得ておいたんだよ」


 悪臭の渦に包まれているキンニンコングに対して、雪兵たちだけの攻撃力で勝利しろというのは厳しいところがある。

 だが、何も雪兵だけで攻める意味もなく…使えるものがあれば、どんどん使ってしまうのが良いだろう。


 そう思い、あるものを僕らは増産し始め、雪兵たちへ渡していくのであった…



「うわぁ…これ確かにやばそうだけど、特攻みたいにならないかな?」

「流石に呼び出せても、そんなことをさせるのはちょっと心が痛むから、できるだけ大丈夫そうなものを選んだけど…まぁ、後始末のほうが大変ぐらいかな?」


…相手がゴリラでよかったかもしれない。これがドラゴンとかメタル系の敵とかだったら、また違う方法を取らないといけないからなぁ。まだ楽な方法を…うーん、外部にばれたらこれはこれで争いの火種になりかねないけど、秘密にしておけばいい話か。



さて、突撃手段も得られたのならば、攻撃手段も用意しておかないとね

ちょっと時間がかかるけど、それでも十分できるはず

女神としての力は今回いまいちだが…何とかなりそうなら良いのか

次回に続く!!


メカの飛び方って色々あるんだなと思った。

背中に背負うタイプ、手足変形ジェット、何かの浮遊装置、外部機械…ロマンあるな

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― 新着の感想 ―
[一言]  臭いがきつければ鼻がなければいいじゃない、ってのは 国民的龍玉マンガの最初の方のネタですね。
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