表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
280/718

ver.4.1-68 ポケットが欲しくなる

「…間違いない、ミーちゃんだ」


 あれからそこそこの年月が経っているが、昔なじみの従妹の顔があった。

 それが有名になってTVに映っているのならよかったが、残念ながら状況を見ると最悪な方になっている様子だろう。


【受信映像を巻き戻しして、画像処理でより鮮明化しましたが…間違いないのでしょうカ】

「うん、続報が入ってきた映像でも、ここに映っている人質に、ミーちゃんがいるよ」


 なんで久しぶりに会えるかって時に限って、こんな目に遭うのだろうか。

 様子を見る限り、他の人たちと同じように人質になっている様子だ。


「というか、他にいるからおとなしく捕まっている感じかな。これ、もしも彼女一人だけだったら、こんな報道される状態までならないはずだし」

【と言いますト?】

「確実に、ハイジャック犯の2~3人骨折、4人ぐらいはまだ軽傷で済みつつも、残りが重傷かな。昔、近所のガキ大将が仲間を引き連れてやらかそうとしたときに、ドン引きするレベルの猛反撃をしたし、たしか小学校のころ違うところ通っていたとはいえ、不審者情報が出た3日後ぐらいには、交番にその不審者が自ら逮捕を望んで安全な牢の中へ逃げ込もうとしたこともあったぐらいだし…ここでまだハイジャック犯たちが無事なのは、人質効果が多少はあるのかもしれないんだよね」

【…どういう従妹ですカ、ソレ】


 どういうといわれても、そういうとしか言いようがない。

 まぁ、年齢が上がるにつれてそのようなエピソードも鳴りを潜めていったが…いや、むしろ濃度が上がっていたような気がしなくもないかな?

 確か、不良たちが全員出家したとか、極悪誘拐犯が世界中の子供たちを救う旅に出たとか、色々あったはず。



 それなのに、こうやっておとなしく人質になっている状況というのは、彼女が単純に昔よりも無茶をやらかせなくなっているだけか、あるいは普通に人質が効いているのだろう。


「かといって、何もできないんだよなぁ…TVで状況を見守るしかできない一般人の身なのがもどかしいな」

【一般人…ですかネ?】


 ロロ、そこ疑問を持たない。オンラインの世界では確かに女神になったりしているが、現実世界だとただの一社会人に過ぎない身なんだよ。

 こういうときに、使える手があったほうが良いだろうが、こういうのを見るとフンフおばあちゃんあたりに…いや、いくら婆ちゃんでもこの状況をどうにかできるかわからない。できそうだけど、余計に厄介なことになりかねない気がする。


 どうしたものかと悩みつつ、ここはおとなしく一般人として見守るだけしかできないかと思っていると…ふと、ロロがぴくっと動いた。


【ン?】

「どうしたの、ロロ」

【今、システム上動けている使用人の使用人通信で連絡が…ふむ、どうやらここに来るようですネ】

「何が?」


 こんな時に何の連絡が来たのかと思えば、外を指さすロロ。

 何か来るのかと見れば、空の彼方が一瞬ちかっと光った次の瞬間…



ドォォォォォォォォォン!!

【イェーイ!!メンテナンス中のオンラインから飛び出し、ただいま予定時刻通りに爆速到着!!現実の音速メイドジェッター、ここに到着デース!!】

「じぇ、ジェッター!?」


 何でここに、オンライン内の音速の配達人がいるのと思ったが、考えてみればたしか、ジェッターも使用人システムの一部であり、現在のメンテナンスからは免れる立場にあるはずである。

 なので、ロロ同様に外のほうに動ける体があれば、確かに現実世界に出てきてもおかしくはなかったが、何故ここにきたのだろうか?


「というか、何やってんの?」

【この移動速度を活かして今、運営のほうで音速配達サービスができないか試験運用しているのデース!うまくいけば、半年後には実装予定ですが、今日はそれも兼ねた用事でお届けに参りまシタ!】


 さらっと運営のやらかそうとしている企みが見えた気がするが、そんなのはどうでもいいらしい。

 そう言いながらジェッターは、いつの間にか大きな黒い箱を取り出していた。


「何、これ?」

【メンテナンスで今、オンラインの世界は停止状態デス。ですが、可能な限りまだまだ遊びつくしたい人もいるということも考え、今のところ問題なさそうな相手として『神』系統のスキルを持ったプレイヤーへ、これを配達して試してもらっているのデス!プレイヤーハルさん、あなたもその系統のスキルを所持しているために、お届けするために来たのデース!】


 運営側の企みはまだまだありそうだが、その一部を渡すために来たようだ。

 そしてその中身に関しての情報を聞き…驚愕させられつつ、すぐに使用を決めるのだった。


「ナイスタイミング…というか、都合よすぎない?え、これ配布していいものなの?」

【試験運用のために、限られた人だけデス。『神』スキルを所持している人はよっぽどの邪神悪神破壊神などの類でなければOKということのようデース!!」



…ほかにも多分いるだろうとは思ったけど、そんなものも所持したプレイヤーがいるのだろうか。

 いや、おかしくはないのかもしれない。なりたくはないけど、やろうとするひとならやりかねないしなぁ…

届けられた、音速の配達物

それは、まさにこの状況に欲しいものだったが、あっていいのかと思うもの

だが、選択するならこっちのほうが早いかと思い…

次回に続く!!



…なお、まだ試験運用なのは色々と課題が多いためでもある。ゲーム内と現実だと、色々と違うところがあるからなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ