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ver.4.1-54 成果というのは、予想しづらく

【『メガスチールワイヤー』発射!!】


 ルララのフリルな袖から、ワイヤーが射出され、ティラリアさんへ向かって進んでいく。

 回避しようと横に動くが、その動きに合わせてワイヤーの進む方向も変わり、ティラリアさんへ巻き付く。


「ホーミング機能付きデースか!」

【ご名答、接続完了『十万ボルト』!!】

「あべべっべばばっばばば!?」


 巻き付いたワイヤーへ電流が流され、ティラリアさんへ電撃が襲い掛かる。

 拘束からの電流はある意味王道だが、この程度で終わるような恐竜女帝だったら、どれほど楽なのだろうか。


「痺れますけれどもまだまだ余裕デース!!ちょっとだけパワーアップして抑えてやるのデース!!スキル使用『ザウルスチェンジ・タイプT』!!」


 そのままの状態では拘束が解けないと判断したのか、ティラリアさんがスキルを使用して恐竜の姿へと変貌する。

 恐竜といえば定番のようなティラノサウルスに近い姿へ…いや、現代では羽毛が生えていたのではないかとか最強の肉食恐竜ではないのではないかと言われたりするようなものだが、このアルケディア・オンライン内ではそんなことも気にしない肉食恐竜の姿が再現されるようだ。

 しかも、ただのティラノの姿ではなく、よりがっしりとしており肌がむき出しではなく鎧を身に纏ったような、攻防ともに凶悪化したようなものになっている。


「ふんす、デース!!」

ぶちぃっ!!


 拘束していたワイヤーの強度を軽々と凌駕し、力を入れるだけで簡単にはじけ飛ぶ。


『うわぁ、ドラメタルも混ぜ込んであったやつで、細いとはいえ相当強度があったはずだが…やはり、姉さんは容易く打ち倒せないか』


 上空に投影されている中三病さんがそう口にするが、まだまだこちらも余裕がある様子。

 一進一退の攻防が続くが、中々一手が決めにくい…それでもお互いに余力は十分にあるらしく、その一手を決めるために動いていく。


【エネルギー集中、主砲用意】

 

 ガコガコンっと音を立てたと思えば、ルララの背中に大きな大砲のようなものが出現した。


【対恐竜滅亡エネルギーG注入、圧縮率80、90…120%、『GB(ジャイアントバスター)砲』発射!!】

 

 

 こういうのはもうちょっと時間がかかりそうなものなのだが、ものの数秒程度で装填できたのか、砲口からすさまじい勢いのエネルギーが撃ちだされる。

 しかも動きながら正確に狙えているようで、このままティラリアさんへ直撃かと思われたが、そうは問屋が卸さなかった。


「帝国内の機密エネルギーの流用のようデースが、問題ないデース!!反射用防御板用意済みデース!!」


 さっとその巨体を隠せるほどの透明な盾を持ち、真正面から受け止める。

 衝撃音が鳴り響き、収まってみるとその姿は無傷だった。


『くっ、そりゃそっちも対策を練っているか』

「もともとこちらの技術を、弟が盗っただけデース!盗られたものを把握していれば、何が来るのかで予想しやすいのデース!!」


 恐竜帝国の保有していた技術で作ったのは良いが、その技術の中心にいた人物だからこそ、どのような対抗策があるのか把握しやすく、すぐに対応できてしまうようだ。

 

 お互いに譲らぬ攻防だが、戦闘経験や対人戦などの面ではティラリアさんのほうが有利かと思われた…その時だった。


【システム変更、砲を切り離し次の、ガビッ、対、対、シュギギギギギギギギ】

「「『ん?』」」


 撃ち終えて背負っていた大砲を切り落とし、次の行動に移ろうとしていたルララ。

 だが、突然変な音を出しはじめた。


「な、なんだ?」

『おかしいな、こんな行動は想定外だが…げっ』


 何やら様子がおかしくなったルララを見て、中三病さんが画面外で何かを確認して、ものすごく嫌な声を出した。


「どうしたのデース?」

『…こちらから、常に状況をモニタリングできるようにしているんだけど…メイン炉心、暴走。内部保留エネルギーの急速な上昇を確認した』

「つまり?」

『もともといざとなれば自爆して相打ちを考えていたが、それが勝手に作動した。しかも、予定していたエネルギー数値を大幅に超える計算だから、現在進行形で惑星破壊が可能な爆弾へ変貌している』


「「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」」


【あー…やはりですカ。ボディが私たちに近いものが使用されている時点で嫌な予感がしていたのですが、的中したようですネ】

「どういうことだよロロ!!」


 驚きの声を上げる中、やれやれと呆れたように肩をすくめてそうつぶやいたロロに問いかける、


【中三病さん、彼女はおそらく様々なデータをかき集めてつなげたフランケンシュタインの怪物のようなことになっているようですが、その大本のボディデータはどこかで私たちに近いものを得て利用しましたネ?】

『あ、ああ。そうだが、それがどうした?自分でもちょっとヤバいかなと思えるところに手を出しつつ、購入したんだが…』

【試作型などのデータならともかく、使用されたのはおそらく完成版のコピー品…いえ、肉体構成プログラムからオリジナルに近いものを使われたようですが、それがまずかったですネ。機密保持用の消去プログラムがあったのですが、技術を詰め込んで様々なプログラムが食い込んだ結果、書き変わって自爆プログラムを侵食、より盛大な爆発を引き起こすようになったようデス】


 話を要約してもらうと、おそらく中三病さんが使ったルララのボディは、オンライン内で使用されている使用人の盗品の可能性があるらしい。

 機密漏洩の防止などもあってプログラム上消去できるようになっているはずだが、中三病さんの手に渡るまでに何らかの改造が施されていた可能性があり、それで今まで発動せずに残っていた。

 けれどもそれはプログラム自体に相当負荷がかかるものだったらしく、限界がかなり近い状態だった。


 そこに、中三病さんがティラリアさん対策として帝国の技術を色々と詰め込みまくってつなぎ合わせまくった結果、元々用意されていた数多くのプログラムが複雑怪奇に絡み合ってしまい、じわりじわりと内部のブラックボックス的な部分を侵食。

 そして今、かなりのエネルギーを使用すると思われる攻撃を行うために、いくつかの安全装置が外されていたようだが、その結果侵食がドバっと進み、自爆プログラムに干渉してしまい、暴走したようである。


「そんな可愛い子を自爆させるのは鬼畜の所業デース!!弟、後でしっかりお仕置きしますが、そのまま自爆されるのは不味いのデース!!」

「惑星消し飛ばすような爆発って、シャレにならない!!ロロ、あれを止める方法ってないのか!?」


 その場で動きを止めつつも嫌な音を立てはじめたルララを見つつ、どうにかできる手立てがないか僕らは彼女に問いかける。

 絵面が不味いのもあるし、惑星破壊だと当然僕らも巻き込まれるだろう。

 それを止める方法がないか、模索したのだが…


【むぅ…素体のままならまだしも、改造されてますからネ。おそらく作った本人も意図しないほどの絡み合いになって、解除はできない状態でしょウ。安全を考えるなら、いっそ宇宙へ打ち上げて被害ない場所で爆発してもらう手もありマス。計算上、自爆まで残り3分ほどなので間に合いませんガ】

「あの子を一人さみしく散らせたくないのデース!!まだ頬ずりも抱き着きもその他できてないのデース!!」

【かなり私的な部分が目立ちますが…うーん、方法としては残りあとわずかでやれるものとなると、一つありますネ】


 後3分どころか数秒で爆発してもおかしくない様子のルララを見つつ、ロロは僕のほうに向いた。


【人格プログラムへの干渉ですネ。ボディ自体は使用人のものと言っていいですが、使用されていたプログラムに関しては、素人が何とか手を出せるもの…おそらく、ぎりぎりまで補助しまくったとしても簡易的なAI程度でしか動いていなかったでしょウ。その命令系統が現在作用しておらず、暴走で既に消去されたようなので、ここに自爆しないような人格データをぶち込めばギリギリ…行けるはずデス、多分】

「そんなことできるの?」

【すぐには無理ですネ。何か代わりになるような、まだ浅めの人格データでありつつ、強度がかなり強めのものが必要になりマス。そんな都合のいいデータは…シア、アナタならギリギリ行けると思われマス】

【ピュイ!?】


 きょろきょろとロロが見渡し、シアを見てそうつぶやく。

 あてられたシアはびくっとビビったように震えた。


「シアを彼女に入れるってことか?」

【ハイ。主様の…この状況だからはっきり言いますが、以前にあの神殿へエネルギーを投入した要領でシアをつかんで、あの中へ突っ込みマス。女神エネルギーと合わせて、強制的な書き換えになりますが、おそらく可能でしょウ。シアは今、ドラゴンに向けての形成状態ですので、不安定な構成プログラムでできているとも言えますので、荒業ですがやろうと思えばできマス。ただ、ここまでの経験で積み重ねたことで土台ができつつあるので…成功確率はおよそ30%デス】


 できるかでいないかでかなり微妙な確率だが、方法としては現状これしかない模様。

 ただ、この場合自爆は防げたとしても、どういう結果になるかまでは不明らしい。


「そもそも、シア、やっていいのか?」

【ピュィィ…ピュイ!!】


 霧状のような体を動かしつつ、しばし考え答えたシア。

 その返答は、やっていいよというようなものなのだが、ここまではっきり返事している時点でだいぶ形成されているような気がしなくもない。


「失敗すれば全部吹き飛び、成功してもどうなるか不明だけど…やるしかないか。ティラリアさん、中三病さん、できればこれ秘密でお願いします!!」

「何をやるのか尋ねませんが、秘密守りますからどうにかしてほしいのデース!!」

『宇宙の果てまで逃げるから、どうなってもいいぞ!!』


 考えたら中三病さんが一番安全圏にいるんだよな…あ、失敗したら爆発エネルギーをどうにか製造責任者のほうへ投げつけられないだろうか。

 上空の投影が遮断されて、逃亡されたのを感じつつ、黒き女神のスキルを使用して女神の姿となる。


【第1形態のほうで、借りる方法で、シアのすべてをアレにぶち込んでくだサイ!!】

「わかった!!シアの霧状の部分を全部借りる勢いで…」


 こぶしに纏い、全力で駆け抜け、もうすぐ爆発するルララの目の前に立つ。


 もう限界というように全身が輝き始め、ちょっとした刺激で爆発しかねないがそこに衝撃を撃ちこむ。


「『シア・ストレート』!!」


 シアのすべてを込めて、全力で拳を光の中へたたきつけると、感触がなかった。

 どうやら実態をなくすような形で進行していたようで、膨大な爆発が目のまえにせまりつつあるような感覚を味わいつつ、奥底へ向かうように願う。


 そして数秒後に…ぼしゅううううううっとすさまじい蒸気が吹きあがり、何とか爆発の危機を回避できたのであった…




「…成功か。収まったようだけど、中三病さん逃げたな」

「逃げたデース。…ふふふ、弟の挑戦がうやむやになったので、あの約束は無しで良いデース。けれども、可愛い子を自爆させようとしていたことは変わらないので、宇宙の果てに逃げても追いかけてお仕置きするのデース!!」


…爆発の危機は去ったが、中三病さん自身の危機は去っていない模様。

 むしろ余計にやばいものを点火しているようであるが…うん、フォローなくていいか。


素人改造ゆえに引き起こされた今回の事態

どうにかなったとはいえ、責任はしっかりとってもらうべきだろう

ゆえに、お仕置きのフォローはないかなぁ…

次回に続く!!


…さて、シアはシアで、どうなるのやら

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