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ver.4.1-51 ダダンダンダダン、みたいな曲が流れそうで

…宇宙に漂う、一つの宇宙船。

 その宇宙船の改造された主砲に、あるものが装填されつつあった。


「…改造したこれで、うまくいくかは不明だろう。正直言って、手探りで作った部分もあるから未知数だが…姉を討つことができると思いたい」


 VRMMOの世界ゆえに、ここでHPを削りきって倒したとしても、復活地点でデスペナルティ付きでリスポーンするが目に見えているので、倒しきれないのはわかっている。

 だが、それでも自分の身の安全の為に、終わらぬ恐怖をここで終えねばならないのはわかっている。


「回線つなげ!!姉はあの星の恐竜城にいることはわかっている!!」

【ジョロキァァァァ!!】

【ガラッシャァァ!!】


 既にこの宙域に入った時点で、彼は、中三病の位置は補足されているだろう。

 だが、ここまで来て何も反応がないのは、捕まえる気がないのかそれとも何をするのか静観しているかのどちらかだろうが…おそらくは後者のほうだろうと予測できる。


 そしてカタカタと通信を試みていると、モニターに姉のティラリアの姿が映りこんだ。



『おやおや、デース?行方不明な我が弟が自ら居場所を知らせるようなことをするのは弟らしいのデース』

「…久しぶりだね、姉さん」


 急な通信だった割には、映し出された映像では余裕たっぷりなように玉座らしい場所に座っている様子がうかがえるだろう。

 ただし、人型のものではなく明らかに巨大な恐竜サイズのものであり、今の姿から切り替わったときに使われるものだと予想できる。


『行方知れずになって、どこへいったかと思ってましたが、場所は割と近い宙域のようデースね。エンストでもやらかしてしまったのデースか?』

「そんなことはない!!この船のエンジンは完全足漕ぎ式だからな…この通信をしたのは、救援要請するためではないのだ!!」


 万が一の可能性を考え、念力がなくても動けるように、公園の池で浮かぶような足でこぐタイプのボートをモデルに作っている宇宙船。

 人力ではなくテイムモンスターたちが漕ぐのだが、人ならざる者たちゆえにその馬力は人以上のものを誇り、スタミナもかなり高いのですぐに力尽きるようなことはないだろう。


「姉よ、こうして通信したのには訳がある!!その理由はここで今、宣戦布告を…姉に対してPvPを申し込むために、正々堂々と出てきたのだ!!」

『ほぅ?それまた意外デース。プレイヤー同士の戦闘は確かに可能デースが、こうやって正面からやってくるとは思いもしなかったデース』

「だが、ただのPvPではなく、完全な条件付きタイプのものを使いたい!!プレイヤー同士の契約受理タイプのものだ!!」

『挑んでくる側が、出すのデースか?…まぁ、それはそれで面白そうデースね』


 中三病がたたきつけてきた言葉に対して、しばし考えつつもにやりと笑みを浮かべるティラリア。

 圧倒的な実力を持っているからこそ出る強者の余裕だろうが、その余裕も計算のうちに入れている。


『いいデース!姉弟の戯れとして、条件付きのPvP受理するのデース!!それで聞きたいのデースが、条件は何デースか?』

「こちらが勝った時にやってほしい条件は一つ!!現実では厳しい面も多いが…アルケディア・オンラインの世界だけでも、自由を獲得できること!!姉からの束縛を解放されるためにも、今後一切の接近ができなくなるストーカーなどの迷惑者接近禁止令を行ってもらうことだ!!」

『おや、これまた厳しいものが来たデースね。ならば、そちらが負けたときには何があるのデース?』

「その逆もしかり…今後逃げることなく、そのもとに居続けることを受け入れることだ!!自由を得るための戦いで敗北したら、自由がないのはわかりきったことだ!!それだけの覚悟をもって、挑ませてもらいたい!!」

『ふむ…』


 じっと中三病を画面越しで見て、その真剣さをティラリアはうかがう。

 約束を破るような弟ではないことはわかっているのだが、ここまで覚悟を持っているかのような姿に思うところもあったのだろう。



『…その条件、飲んだのデース。ミーが勝てばずっといてくれるのは良いデースし、負けたとしてもここでのめぐり逢いができなくなるのであれば…まぁ、その程度大丈夫デース。ところで、お互いに直接一対一で戦うタイプなのデースか?』

「ああ、そうだ。ただし、実力差を考慮して…できれば、姉は一人で。こちらは代理を一人出して良いだろうか」

『ん?助っ人デース?ほかに見える植物テイムモンスターたちは使わないのデースか?ミー、一人だけでも十分相手にできるのデースが?』

「流石に一方的にやり過ぎると、運営のPvP規定に違反しかねないのと…代理人には色々と詰め込んだせいで、むしろ連携ができない。今から目の前に撃って送り込む」

『宇宙船の主砲で砲撃して送ってくるのデースか。直接降りてくれば良い話なのデース』

「万が一を考え、安全な宇宙空間に居たいからな…それじゃ、送るよ」


 かちっとボタンを押すと、どんっと音が鳴り響き、姉のいる場所へめがけて代理人となっている者が送り込まれた。

 到達までに少々時間がかかるので、その間に今回のPvPに必要な申請を先に行いつつ、メールで姉に送信して受理を行ってもらい、双方ともに問題なしとして処理をしてもらう。


「さぁ、頼んだぞ、我が代理の…このために作り上げた、対姉用最終決戦兵器ともなりうるものよ。今ここに、姉の恐怖政治から解き放ってくれる聖女となってくれることを、ここで祈ろう」


 ぐっとこぶしを握り締め、大気圏へ突入し始めた代理人が入っている砲弾を見てそう口にする中三病。

 一世一代の最高傑作、ここから先で再現してほしいといわれても二度と作れぬ最高傑作を送り出し、心の底からの勝利を願う。


「最高技術を詰め込みまくった、科学とその他やばいもんの結晶よ、我が姉との縁に終止符を!!」


 叫び、祈り、画面を見て確認する中三病。

 心血を注ぎこんだ最高傑作は今、大気圏を突破して城に直撃しようとしているのであった……


「…そういえば、星のほうにいる反応を見ると、ハルさんたちらしいのもいるっぽいな。我が姉との激戦の目撃者にでもなってくれるのだろうか」


正面から堂々と、やってきた中三病。

闇討ち不意打ち奇襲など色々とできただろうが、圧倒的な力の前では愚策だろう

だからこそ、思い切ってやるのであれば、目の前からということだったが…

次回に続く!!


…某頭の主導権が毎回変わるパンの敵の人のメカではないからね?

いや、この言い方は何なのかわからんか…

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