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ver.4.0-16 理科の実験ではないけれども

【オグォォォォォォォォォォォォォォォン!!】


 ダンジョンのボスモンスターがいる部屋に入って早々に、周囲に響き渡る相手の咆哮。

 ビリビリと痺れるような感覚を抱きつつ、ログを確認したらどうやら相手が先に仕掛けてきたようだ。


「巨大なUの形の磁石っぽい敵かぁ‥‥‥金属の星だけど、それに対応する形のボスってところか?」


―――――

『ギガスマグネット』

巨大なU字の磁石のような見た目でありながら、表面には無数の目が備え付けられている磁石の力を手にしたボスモンスター。

周囲の金属鉱石を己の周囲に引き寄せ、反発させて飛ばす攻撃を得意としている。

また、自身の磁力を音に変えて放つことで、様々な状態異常を引き起こす『磁力咆哮』を使って有利に状況を進ませようとする。

なお、同時に動き出した瞬間からその莫大な磁力によって、一時的に惑星バルゲストロン全体が磁力を帯びるので、金属製の武器が非常に扱いにくくなるので注意が必要になる。



『磁力咆哮』

強力な磁力によって影響を与えられ、磁性を持とうがそうでなかろうが関係なく、ランダムな状態異常を相手に発生させることがある咆哮。

状態異常に対しての耐性で弱い分を突きやすく、また共通して『磁力状態』という状態異常も同時に起こさせることがある危険な咆哮。

磁力状態時、ギガスマグネットが武器として利用する金属鉱石から受けるダメージが倍増する。

―――――


 結構えげつないが、幸いなことに黒き女神のスキルを発動させたままなせいか、面倒な状態異常関係に対しての耐性はかなり引き上げられているので、そうやすやすとかかることはない。

 磁力状態に関しては、残念ながら既存耐性に当てはまらない特殊な状態異常の枠組みに入っているようなので、それだけはかかってしまったが‥それでも僕の方は動くことが出来る。


「他の皆は!!」

「あちゃぁ、軽い麻痺になった!!動きが鈍るよ!!」

「おげげぇぇ!?武器破壊状態になっているんだぜ!?ギターが装備できなくて何がギターマンというのだぜぇぇぇ!?」

「ははは、こちらは脱力状態になっているわねぇ。物理攻撃主体じゃないから、正直関係ないものよ」

「おうっぷ!自重増加になっているべ!!重い分動きが鈍るが、逆に拳の威力があがるべ!」


 一口に状態異常と言っても色々とあるようで、全部が悪い方向に働くとは限らないらしい。

 でも、被害としてはギターマンさんが一番悲惨かな…確かに、ギターマンさんからギターを取ったらどうなるのか。特殊な状態異常をかける咆哮という事で、状態異常の時間は短いようなのがまだ不幸中の幸いというべきだろう。

 なお、テイムモンスターたちも確認してみたが、こちらも状態異常への耐性が高くなっていたのか、結構はじいてはいた様子。

 ただし、コユキが召喚不可能状態になったらしい。状態異常系が他の雪兵にも及ぶ可能性があったが、大人数が動けなくなると不味かったので、まだ良い方向だというべきなのか。あとは、説明にもあるように磁力を帯びたことが原因で、金属の武器が扱いにくい状態になったようだ。糸使いに転職していてよかった‥金属の糸も使ってなくてよかった‥‥‥



 とにもかくにも、出鼻がいきなりくじかれたようなものだが、それでも完全に僕らの動きを止めるには至らないだろう。

 むしろ、やはりボスモンスター戦で何が起きるか分からない不測の事態に対して、より身を引き締める心構えが出来たので、攻撃にすぐに移りやすい。


「全員、一斉攻撃開始!!相手は周囲の鉱石を磁力で操って飛ばしてくるから対空攻撃の用意も!!」

「分かっているよ!!」

「おーいおいおい!!ギターがない状態でどう戦えと言うんだぜ!?」

「ひとまず、状態異常が解除されるまで、全員へアイテムなどでバフを頼むだべさ!!」


 他のプレイヤーと一緒に戦っている利点として、すぐに皆行動に移せている様子。

 協力しての戦い‥レイドボスとまではいかないけれども、それでも巨大な敵に怯むことはないようであった。










‥‥‥磁力バトルが行われているその頃。

 少し離れた場所で、中三病は困った状況に陥っていた。


「う、動けねぇ‥‥‥ザウスールが、何かに引っ張られているのか?」


 丁度ボス部屋のある場所から反対側の壁にて、巨大恐竜メカが壁に張り付いて動けなくなっていた。

 原因は簡単なことで、ボスモンスターが動きだした瞬間に、周囲一帯の金属の壁が磁力を帯びたらしく、それに引っ張られてしまったのである。

 生っぽい見た目もいくつか出ているとはいえ、それでも巨大なメカであることに変わりはなく、磁性も所々あったようで、結果として磁石に弾きつけられて、壁に張り付いてしまったのである。


 宇宙に時々出る宇宙怪獣対策として作られた巨大なメカではあったが、それでもこんな事態までは想定していなかったらしい。

 エンジンを全開にして稼働させるも、びくともしない強力な磁力。むしろ、無理に動かせば壊れる危険性もあるだろう。

 だったらここで放棄して、外に出て動けばいいかもしれなかったのだが‥‥‥残念ながらハッチも何かも、同じく磁力に引っ張られて開閉が出来ない身の上になった。


「原因は何だ?ログに何かないか‥‥‥ああ、なるほど、ボスモンスターか」


 惑星の上にいるからか、この状況になった原因に関してログに表示されていた。

 どうやらこのダンジョンのボスが動き出したようで、そのために周辺一帯の金属が磁石と同じような状態になっているようだ。

 そうなってくると、後はボスモンスターが倒されるかあるいは挑んでいるプレイヤーたちが全滅するかしないと、状況の改善は見込めないだろう。


「となると、さっきの蹂躙をしていた人たちが挑んでいるのか‥‥うん、負けることは無さそうだし、ここは待つしかないか」


 そもそも中三病の目的としては、このダンジョンの奥深くに逃げのびる事で、姉の魔の手から逃げきることにある。

 ゆえに、ボスがいようがいまいがここで過ごすことは決めており、焦って動く必要はなく、ここでどう転ぶか静観している方が良いと判断する。



「それに、惑星全体が一時的にやばい磁石になっているのなら、余計にあの恐怖の女帝と化した姉は来ないだろうしなぁ。はははは!!面倒そうな場所には簡単に近寄ってこないだろうし、一時的にだけど安全性が上昇したようなものだから喜ぶべきか!!」


 はははっと笑いつつ、この状態がどうなるのか静観を決め込み、ゆったりと操縦席でくつろぎ始める中三病。

 だがしかし、彼はまだ気が付いていなかった。自分の目論見がいかに甘く、姉の力がどれほどのものなのか見誤っている事実に。

 さらに言えば、惑星全体が磁力を帯びたせいで、より一層引き付ける強さが強くなり‥‥‥異常が起きたという事は確信に近いものを相手に与えてしまうということに。



 まだ見ぬ、悲劇の未来。

 もしかするとここで、早くハルたちにどうにか協力して、磁力をさっさと失わせるようなことが出来ていればもう少しだけ違ったのかもしれないが、残酷な時が着々と加速しながら近づいてくるのであった…‥‥


制限が色々とかかるが、それでも全体的に動けなくなるわけじゃない。

だがしかし、一方では着実にその時が迫ろうとしていた。

ああ、ここでもしも行動に映れていたのであれば‥‥いや、「もしも」と考えている時点で、もう取り返しのつかない事だろうか。

次回に続く!!




‥‥‥誰か、なんか某有名なサメが近寄ってくるBGMを流しておいて

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[一言] ちゃ~ら ちゃ~ら ちゃらちゃらちゃらちゃら~ ずーん←BGM?
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