ver.4.0-15 こんなこともあろうかと用意するなら、最初からやれば良いような気がしなくもない
稲妻を纏わせ、黒い炎の推進力で加速させ、強烈な槍を投げつける。
毒と氷の拘束で相手の動きを封じ、そこに糸でさらなる締め上げと切り裂きを行う。
強烈な蹴りと拳を叩き込み、兵士たちの集結している場所へ投げ飛ばす。
テイムモンスターたちの力を借りつつ、女神の力でさらに増幅して強化した攻撃を、目の前から沸き出してくるモンスターたちに全てをぶつけ、一気に薙ぎ払い‥‥ダンジョンの崩壊による移動も避けるために出来るだけ床や天井には当てないように気を使いながら、先を目指していた。
「というか、結構長く黒き女神を使っているけど‥‥‥なんか、いつもよりパワーダウンしているような」
「え?それで?」
「見た感じ、凄まじい蹂躙劇となっているんだぜ?」
盛大に蹂躙しまくった後、ある程度敵モンスターの排出量も減って来て余裕が出てきたところで、僕がそうつぶやくとぽっけねこさんやギターマンさんがそう答える。
まぁ、確かに滅茶苦茶な力になっているとは思うのだが…なんというか、スキルを使用していると分かるのである。以前使った時よりもパワーダウンしていると。
「‥‥‥あ、スキル部分になんか新しい説明が」
「何て?」
なんでかなと思いながら改めて黒き女神のスキルの説明文を読み直してみると、何やら新しい注意書きのようなものが追加されていた。
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※変身スキルの中で、自身の領域を設定できる類のものに関しての注意事項です。
神域などの設定を行った場合、自身の領域内であれば通常の2~3倍ほどの大幅なパワーアップとなりますが、領域外では0.8~0.9倍ほどにステータスがダウンします。
領域内と同等の力を使用するためのスキルが存在しており、獲得することは可能ですが、ある程度の相手と戦わなければ解放されませんので注意してください。
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‥‥‥どうやら神域設定とかを行えるようになったようだが、それと同時に少し修正が入っていたようである。
まぁ、確かにこの手のスキルって結構強いけれども、ある程度のゲームバランスも必要になるだろうし、その調整として出てきてもおかしくはないだろう。
「わずかな上下でも、何となく違和感を覚えるのはこれが原因だったのか」
「へぇ、興味深いわね。攻略・前線組にも似たようなのがいるはずだし、そちらの方も確認してみたいところね」
「むむ、領域を設定するとなると自分は『ウルトラ農場』の設定をしているのだが‥‥もしや、こちらにも影響が出ているのだべか?作物の実り具合や品質などで、試してみる価値はありそうだべな」
何にしても、この状況下では黒き女神のスキルも少しばかりパワーダウンしていたのははっきりした。
いつも通りだったらもっと楽になりそうなものだが、僅かなダウンとは言え影響は中々あるらしい。
納得はできるけどね。例えばいつものステータスが10と100のスキルがあったとして、最低倍率の方で倍率でパワーダウンしたらそれぞれ8と80‥‥下がるにしても2と20とでは大きく差があるからな。
でも、逆に言えばパワーアップしたら最高倍率で30と300‥‥‥わりとシャレにならない上昇幅になるかもしれない。
そう思いつつも、進行に対してそこまで大した弊害にはならないだろう。
しいて言うのであれば、いつも通りの感覚だと不味いので、割と制限をかけられていると考えて使わないと、感覚的なずれでヤバい事にもなりかねない。
そんな思惑と行動でズレにズレまくった例を知ってもいるので、気が付いたのをこれ幸いに感覚を確認しておく。
多少ダウンしていようが、それでも合わせようによってはより大きく力を使えるからな。単純に引火しやすい毒ガスと炎での爆発の合わせ技のようなものだ。そこにさらに電撃でより着火しやすくしたり遠距離からやったりと工夫が出来るので、アイディア次第なところもあるだろう。
「‥‥‥そして、そんな事を考えつつ先へ進んだら、これがあったか」
「これ、多分ここのボスモンスターがいる部屋の前の証明になる門だね」
ダンジョン内ではお決まりの、ダンジョン内のボス前に設置されている巨大な門。
この隠しダンジョンも例外では無かったようで、物凄く大きな門がそびえたっていた。
「以前、中三病さんたちと挑んだ時に、門自体がモンスターだったこともあったけど‥・これは違うよね?」
「大丈夫のようだぜ。いたって普通の門だぜ」
「問題ないなら、この先は普通にボスが待ち構えていると言って良いのかのぅ」
ならいったん、ここで準備をしておく必要があるだろう。
まだまだダンジョンからモンスターが湧き出るとはいえ、勢いそのままで突撃したら、体力とかMPの面で回復していない状態で挑むことになるし、しっかりと万全な状態にしておくのが望ましい。
「それにしても、巨大すぎるなぁ…なんか、この先すんごい広い部屋だと思うけど、限度を超えているのかも」
「ありえない話ではないべ。ダンジョンのボス前の門、潜り抜けたらダンジョンとは別世界のような、ボスモンスターにとって有利に働く別世界のようになっていたということもあるのだべ」
「ここだと、どういうパターンで来るのかな?」
鋼の大地に酸の海がある星だが、基本的に出てきたモンスターはほぼ鋼の身体をもつような者ばかりだった。
つまり、ボスもその系統に連なる可能性もあるのだが、全然酸の要素も見なかったのでそっちを詰め合わせたようなものになっていてもおかしくはないだろう。
酸と鋼だと…王道的なものだと、鋼の身体に溶解液を吐くような奴。逆にして全てを溶かすような産の身体に鋼の牙とかそういうものを持ったりとかする奴。
「隠しダンジョンゆえに、情報がないのが怖いが…これぞ、攻略を行う醍醐味なのだぜ」
「そうねぇ、未知の場所に行くのは怖いけど、新しい発見はワクワクするわねぇ」
「何にしても、突撃しないと先へ行けないのは変わらないというのもあるだべがな」
色々と相手の予想を立てるが、やっぱり直接見なければわからないだろう。
攻略情報がないというのは不安でもあるのが、その分未知の楽しみもある。
「それじゃ、入ってみるしかないかな。鬼が出るか蛇が出るか分からないけれども、進もうか」
【シャゲェ!!】
「いや、蛇は既にマリーで出ているからって言わなくてもいいよ」
「でもその理屈だと、鬼の可能性もありそうだよねぇ」
「怖いな…」
何にしても、突撃しなければ先へ行くこともできない。
このダンジョンのボスモンスターとやらへ、僕等は挑むために扉を開き、中に入るのであった‥
さて、何が飛び出てくるのかはわからない
情報がないからこそ、見つけ出していかなければならないだろう
まぁ、ダンジョンってそもそもこういう感じで探る場所でもあるかな?
次回に続く!!
‥‥‥どういう出会いがあるのか、どういう敵がいるのか。
そのあたりのワクワク感も、やっぱりほしいからねぇ。




