ver.1.0-2話 チュートリアル、確認は必要だからね
本日は3話掲載予定。更新頻度はゆっくりですが、どうぞお楽しみください。
⋯⋯景色が移り変わり、出てきたのは何処かの野原。
意識をはっきりさせた時に、ざぁぁあっと草が揺れて風を感じさせた。
『アバター名「ハル」、生成完了いたしました。オンライン状態なので大勢でのプレイ環境が楽しめる「始まりの街」に予定していましたが、その前にチュートリアルを開始させていただきます』
「あ、そうか。そりゃいきなりゲームをやっても、基本がわからないと駄目だからね」
いきなり放り出される前に、まずは軽くチュートリアルのようだ。
ここで生成した自身のアバターの具合を確認し、ある程度の基本を学ぶらしい。
『チュートリアルその1。アバターの設定が希望通りのものになっているのか確認してください』
そう聞えるや否や、草原の真ん中に鏡が現われたので前に立ち、改めて自身の身体を確認した。
「ふむ、身長をちょっと小さくされつつ‥‥‥少し少年に近いかな?」
成人のはずだが、やや幼くされており10代中ごろの少年という容姿…‥‥あ、でもそこまで劇的に変わっているわけでもない様子。
とはいえ、ランダム設定にしたせいか髪色が金色で目が青く、どことなく外人風味。よくラノベとかで見る異世界転生先の容姿とでもいうべきかな?
他の容姿も存在しているが、アルケディア・オンラインを進めていくうちに分かっていくことらしいので今は考えないようにして置こう。魔改造した人とかいるらしいというこぼれ話も聞いたが…‥‥どうプレイするかは人の勝手だしね。
ひとまず調子を確かめるためにぐっぐっと準備運動しつつ、体の感覚を何となく掴む。思い通りに動くけれども、現実世界だと寝ているのかなぁ‥‥‥そのあたりも後で要検証っと。
自身の状態も改めて確認し直せば、錬金術師の職を選んだせいか、ゴーグルや厚手の衣服、肩からかかっている小さなカバンなどが装備されている。スチームパンクなゲームに出てくる整備士とかそう言う類っぽい。
『チュートリアルその2。詳細を確認するために、メニュー画面を開いてください』
「メニュー画面‥‥‥ああ、こんな感じか」
くいくいっと指示されるままに手を動かせば、びっとゲームのコマンド画面のようなものが出て来た。よく見れば様々な選択肢があるが、とりあえず今はステータス確認とやらを選択すると、今の自分についての情報が出て来た。
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「アバターデータ」
名前:『ハル』
種族:『人間』
職業:『錬金術師』
職業Lv:『錬金術師:1』
HP:10/10(+3)
MP:15/15(+3)
ATK:10(+3)
INT:15(+3)
DEF:10(+3)
MEN:15(+3)
AGI:(+3)
LUC:20(+5)
「現在の装備」
・頭部装備:『初心者の錬金術師ゴーグルセット』
・首元装備:『無し』
・上半身装備:『初心者の錬金術師の上着』
・下半身装備:『初心者の錬金術師のズボン』
・足元装備:『初心者の錬金術師の靴』
・その他アクセサリー:『無し』
「所持品」
・『錬金術師お試しセット』
「所持スキル」
『初心者の錬金術師』
「スキル説明」
・初心者の○○:各職業選択時に付くスキル。必要最低限のものであり、感覚でなんとなく理解が出来る。職業Lvの上昇や、プレイの仕方によって変化及び派生して選択することも可能になる。
「補足説明」
・初心者セットにより、初ログインから一週間の間は経験値が通常の1.2倍になります。
・セット装備によって、全体的に能力が通常状態に(+3)と表示・加算されます。また、運がらみの要素も存在しているので運が+5されます。
・HPは自身の戦闘時におけるもので、0になれば戦闘不能。戦闘終了後、パーティを組んでいる状態であれば棺桶に入れられます。ソロプレイの場合、強制的に最後にセーブした場所へ送られます。
・MPは魔法や道具製作時に必要になり、切れるとその行動が不可能になります。
・ATK、INTはそれぞれ物理・魔法的な攻撃に関わり、武器を持つことで大きく変動し、数値が高くなるほど威力が向上します。
・DEF、MENはそれぞれ物理・魔法的な防御に関わり、数値が高いほど受けるダメージを減らせます。
・AGIは素早さに関わり、どの程度このアルケディア・オンライン内で素早く動けるのかに関わります。ただし、その人の反射神経なども加味される為、完全に数値によって明確化できませんので、アップデートによってはスキルに変更される可能性があります。
・LUCはプレイヤーの運の強さであり、数値が高いほど急所への一撃への威力や、道具製作時の成功確率に影響いたします。
「所持品説明」
・『錬金術師お試しセット』:初心者錬金術師に必要な道具。中身は「お試し爆薬精製セット×10」
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ああ、なるほど。最初から道具無しとかはないらしい。錬金術師の戦闘手段は主に道具頼りなので、まずはその頼るための道具の製作か。
『チュートリアル3。これは職業ごとによって異なりますが、錬金術師は実際にセットを使用してください』
戦士は剣の素振り、魔法使いなら魔法を試し打ちなのだろうが、錬金術師は実際に作って見ろと言う事らしい。やや任せている部分もあるが、やってみることにした。
「開けてみると、中身は『爆裂草』に『水入りの割れやすい瓶』か」
セットの中身を開けて見ると、どうやら作成に必要な道具が出て来た。爆裂草はこのオンライン特有のアイテムの一つで、薬草に混ざって出てくるものらしい。説明によるとうっかり食べると口の中で軽く爆発…‥‥危険物じゃないかな?
後は、錬金術師だと製作には錬金術師用の錬成陣とやらがあるらしいが、無くても製作は可能のようだ。ただしその分、多少劣るものができるらしいので、錬成陣の確保も後でしっかりしておかないとね。
「ひとまずまずは、簡単に薬草を突っ込むだけで水に溶けて出来上がりっと」
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『お試し爆薬』
・製作評価:1
・効果:衝撃を与える事で小さな爆発を発生させる。ダメージ(小)。
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自由度が高い分、作り方も工夫できるらしく、製作評価が高いほどいいものになるようだ。とは言え今はまだお試しで作っただけで、評価が最低か…‥‥確か事前にちょっと調べたところだと、10まであるのは確定らしいな。
「となると、もうちょっと試したいけど‥‥‥一個作れば、ここでチュートリアルは終わりかな?」
『はい。錬金術師としてどのように作成するのか、という部分を理解してもらえればここで終わります。まだ不十分であればもうちょっとこの場に滞在できます』
んー、色々と試したいけど、錬成陣とやらがあったほうが良さそうだし、さっさとチュートリアルは飛ばして良いのかもしれない。のんびりと進めるためには色々と準備も必要そうだし、そう考えるときりが良いところで区切っていくのが良いかも。
「それじゃ、チュートリアルを終えたい」
『了解です。それでは改めて、アルケディア・オンラインの世界をお楽しみください!!』
その声を最後にして再び周囲の景色が切り替わり、次の瞬間には大きな門の前に立っていた。どうやらこの向こうがアルケディア・オンラインの世界で最初につく『始まりの街』なのだろう。
これからどうなっていくのか期待に胸を躍らせつつ、記念すべき第一歩を踏み出すのであった‥‥