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ver.3.1-55 カフェイン中毒よりは、まだ健全・・・?

「うだるぞぬっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


‥‥‥ぼぉぉぉっと業火が燃えるような勢いのごとく、そう叫び働きまくる太郎丸さん。

 いつもの様子とはまた違っており、恐ろしくやる気に満ち溢れた姿に、職場の同僚たちと僕らは驚愕していた。


「嘘だろ、あの太郎丸さんが‥‥‥!?」

「先日解脱して悟りを開いていたと思っていたら、今度は燃え上がるような熱意で仕事に取り組んでいるとはどういうことだ?」

「どことなく煩悩も感じさせるような気もするが、それでも凄まじい勢いだ…!!」


 室内の気温もその燃え盛る熱意に影響されているのか上昇しており、先ほどエアコンのスイッチが入り、冷却作業に入った。

 だがしかし、冷たい風も何のそのというように真っ赤に燃え盛っており、その熱意を冷ますことは出来ていなかった。


「えっと、太郎丸さん‥‥‥なんかいつもよりも熱意に満ちあふれてますね?」

「当り前だろぅ!!この仕事をすさまじい勢いで片付ければ、それだけやりたいことに注げる時間を増やせるからなぁ!!いや、仕事の時間は変わらないが、隙間時間が出来ればよりやれることが増えるのだ!!」

「そうだ!!ちょっとある用件があって、それをこなすために資格を取りたいと思い、仕事の合間に勉強する時間も得るために、こうやって熱中しているのだ!!」


 恐る恐る質問してみれば、返って来たのは熱意溢れまくる返答。

 詳しく聞いてみれば、何やら目的があるそうだが、それを達成するには色々と資格が必要かもしれないという事で、この会社の資格修得支援制度も利用するためにここまで燃え上がっているそうである。


「資格修得支援制度‥‥‥そう言えばありましたね」

「ああ、きちんとした手続きを行えば、仕事の隙間時間も勉強が可能で、なおかつ受講する時の補助金もでるんだったか?」

「でも、何を取りたいんでしょうか?」


 尋ねてみるとごそごそと机の引き出しから取り出し、僕等の方にいくつかの資格に関する本が投げ渡された。


「危険物取扱者、船舶免許、宅建士、整備士、溶接、発破…‥‥一部除いて物騒だな」

「何でこれらの資格を取ろうと?」

「その目的のためだ!!そこまではプライバシーとして何も言えないが、それでも得るだけの価値はある!!」


 まぁ、確かに資格を幾つ取っても困るようなことはあるまい。万が一転職することがあってももっていれば選択肢も増えるだろうし、この会社の制度を利用して資格を得るというのもいいかもしれない。

 でも、それだけの熱意をもって得るというのもどういう事なのか?


「ここまでの熱意や、これまでの事を振り返って推測すると‥‥‥幼女関係で?」

「‥‥‥ほぼ正解だ」

「マジか?」

「それでも何でこれだけの資格が必要になるのか理解できないんだが?」

「まさか、幻覚のようなものが見えて言いなりになっているとか‥‥‥それでもわからんな?」


 ここまでの熱意をもって仕事をしてくれるのはいいけれども、何をどうしてそんな資格を大量修得する選択肢が出たのか、まったく理解することができない。

 無駄に高い能力を活かして全力でこなす様子を見つつ、僕等は首をかしげるのであった‥‥‥








‥‥‥燃え盛る炉のように熱意をドバドバと溢れさせている太郎丸がいたその頃、別の場所では同じように燃え盛る男たちがいた。


「うぉぉぉぉぉ!!ここの式はどう解けと言うんだぁ!!」

「焦るな!!参考書のこっちだとまずは公式を使いつつ、他の物も併せて応用するとなっているのぅ!!」

「薬学関係、面倒だがこれしきのことで負けるかぁぁぁあ!!」



「‥‥‥ねぇねぇ、お婆ちゃん。あのお爺ちゃんたちはどうしたの?いつものセクハラ大魔神の様な事をせずに、さっきから分厚い参考書やその他資格の本を大量に持っているんだけど」

「そうねぇ、どうしたのかしらねぇ?アルケディア・オンラインは今メンテナンスで遊べないから、いつものように遊んでの暇つぶしをするのかと思ったら、急にまじめに勉強しているもの。原因は不明だわ」

「そうなの?んー‥‥‥マッチョン、理由は分かる?」

【ブモ、ブモモモ】

「え?メールの方で友人とやり取りした後に今の状況になった?何があったのかしら?」


 メンテナンス中とは言え、箱庭のシステムは使用可能らしく、一番彼らを見ているテイムモンスターに少女は問いかけたが良い回答は得られなかった。

 とは言え、普段の彼らの行いが行いだけに、ここまでまじめに勉強に励んでいる姿を見ても、何かしらの邪な思惑が絡んでいるようにしか見えないのだ。


「うーん、急なメンテナンスにも驚いたけど、こっちの方が驚くわね」


 怪しいとは思うが、どうこうすることはできないだろう。

 この煩悩の塊共をいかに叩きあげて鍛えて煩悩退散したとしても、何かきっかけがあれば返ってくるようで、既に諦めの領域に入っているところもある。


「でも、放置もできないし‥‥‥知り合いにメールしてみようかしら?」


 何がどうなっているのかは不明だが、どう考えてもロクデモナイ予感しかない。

 ならば、事前にそういう事に遭遇しやすそうな人でありつつ、彼らの暴走現場によく遭遇する人へ彼女は相談のメールを送り、事前に対策協議の提案を行うのであった‥‥‥




‥‥‥なおこの日は、この熱意溢れる男たちによって、世界中の気温がちょっと上昇したとかしなかったとか‥‥‥その真偽は定かではない。





熱意に対して、何か裏がありそうだ。

そんな事を思うが、どうしてなのかはまだわからない。

ただ、嫌な予感だけはしていて‥

次回に続く!!



‥‥‥さて、今回は珍しく現実サイドで動きそう。

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[一言] 案の定、奴の元に現れたのか…
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