ver.3.0-4 それはふと、思う疑問なんだけど
「そういえばさロロ、ふと思ったけど尋ねて良いかな?」
【何でしょうカ?】
天界のフィールドを探索する中、雲の大地を見てふと僕は思ったことがあった。
「ロロからのクエストで鉱石を捜すものがあったけど、こんな雲の上で鉱石なんて見つかるのだろうか?」
地面の中にあるような、岩場の多い魔界。
あの世界であれならば、普通に掘っていけば鉱脈なども見つかりやすそうで、様々な鉱石が産出できても納得が出来るだろう。
だがしかし、ここは天界で雲の上。鉱石が埋まっているような山などは見当たらないし、掘り進めば落っこちるそうで、そもそも雲の中にどうやってできるのかという疑問がわくのは普通の事だろう。
ゲームだからと言う理由でも片付くかもしれないが、そんな簡単に説明できるものではないように、ここの運営が何かを施していてもおかしくはないはず。
そう思い、思い切ってロロに尋ねてみた。元々このアルケディア・オンラインの使用人である彼女ならば、多分知っているだろうと思ってである。
【見つかりますネ。そもそも天界も魔界も産出する鉱石の種類は異なるものもありますが、成り立ち自体はほぼ同じだったりするんですよネ】
「え?同じ?」
【ハイ。天と地だから違うように見えますが、実は同じものもありマス。それは何でしょうカ?】
問いかけたはずが逆に問われ、僕は首をひねる。
【ヒントは、魔界であったけれども天界ではなっていないものデス】
「魔界であって、天界に無い‥‥‥もしかして、『常時魔力過多状態』か?」
【正解デス。そしてそれの原因は、魔界だとMPが大気中に溢れてましたが、実は天界でも同じような状態になる可能性もあったのデス】
「…‥‥どういうこと?」
いまいちわからないので詳しく説明を聞けば、なんでも天界と魔界は異なる場所だが、同じ条件が実はそろっているらしい。なんでも地面から常にMPが溢れるようになっているそうで、潤沢になっているからこそ、独特の生態を築き上げやすいらしい。
だがしかし、天界では魔界と同じようにならない理由としては、魔界だと天井が存在‥‥‥ようはMPの逃げ場のない状態になっていたからこそ大気にMPが溢れる状態になっていたが、ここは天界で空が解放されているからこそ、いくら湧き出たとしてもすぐに霧散するそうだ。
それならば地上の方でも同じようなことができそうだが、地質が色々と異なるというか、概念的な大本が違うせいで天界と同じ状態にはならないそうである。
とにもかくにも、天界も魔界も解放されるか密閉されるかで変わっているが、どちらもMPが常に自然発生するのは同じであり‥‥‥そしてそのMPが行き場を失っていった先に、集まって固まり、鉱石へ転じることがあるそうだ。
【魔界なら地面の中に、岩場の中に出来上がりやすいですガ、天界では雲の中に出来上がりマス。魔界ほどの密閉能力はないのですが、こうやって足場になる地面の雲の構造だからこそ、一部にどこか詰まってしまい、自然と鉱石になることがあるのデス】
「それが、地上とは異なる鉱石の出現の秘密ってことか…‥‥じゃぁ、もしかしてプレイヤーのMPとかも人為的に取り出して固めることが出来れば、それはそれで鉱石を精製できるんじゃないか?」
【簡単そうですガ、そうはいかないのデス。天界・魔界独特のMPはプレイヤーの持つMPとはちょっと構成が異なるのですが、そのわずかな差によって鉱石になるかならないかも決まっているそうデス】
なんというか、条件はそこそこシビアなようで、鉱石の発生条件を見つけ出して人為的に生み出せないかと探る悪魔や天界だと天使の人なども挑戦してきたことがあったようだが、世の中そううまいこと行かなかったようだ。
だからこそ、天界・魔界で産出される鉱石は独特なものになっており、それなりに価値も付くようだ。
…‥‥まぁ、簡単に人の手でなせないように設定されているだけかもしれないけど、面白い秘密ではある。
「そう考えると、鉱石を探すならもっとこう、MPが出にくそうな場所を捜したほうが良いのかなぁ‥‥‥そう考えると、雲の中にできつつ見えそうな部分だと‥‥‥」
天界に来る前に、実はちょっと天界門周辺のマップだけならば確保してきていたりする。
それを広げて考え、僕はあるところに目を付けた。
「なら、この湖の方に向かってみようかな。雲の上に湖が出来上がるのはそれはそれでおかしな話な気がしなくもないけど、水の中に閉じ込められて出来上がっていても不思議ではないからね」
MPが水で留められるとか言う話はないが、考えたらMP回復ポーションとかもあるのだし、こういう液体の中に留まっている可能性も否定できない。
それに、このマップによるとどうやらこちらはこちらで天界の観光スポットのようで、見つけられなくとも見る価値がある絶景のようで、期待が非常に高まるだろう。
そう考えつつ、僕らは湖へ向けて歩み始めるのであった…‥‥
トッテテトテテ♪トッテン♪
「ん?何の音?」
【あ、すいません主様。マナーモードにしてませんでシタ。どうやら使用人用の携帯が鳴ったようデス】
ふと何か変な音が鳴ったが、どうやら使用人たちが持つ連絡手段らしい。
このアルケディア・オンラインの中で携帯を見るのは変な気分だが、あの魔導船を仕上げる彼女を見る限り、持っていてもおかしくはないだろう。
【はい、こちらは今、主様と天界の湖へ‥‥‥ええ、ハイ。ほぅ?…‥‥分かりまシタ。念のために、情報を他の連絡先にも共有しておきマス】
「何があったの?」
【運営の方から直々に、全使用人への通達デスネ。何でも、本日使用人の雇われた数が綺麗なゾロ目になったようで、その報酬を決める会議が今晩使用人のトップたちで行われるそうデス。それと、主様に関して先日の裏魔界騒動で、もっときちんとしたお詫びの品を送付する予定らしいのですが、ギリギリのところでちょっと調整が入ったそうなので、本当に申し訳ないのですがもうちょっとだけ待ってほしいという話もありまシタ】
「それは普通にログに通達するとか、メールで送るとかもできそうなんだけどな」
【きちんと直接やらないと、後々大変だからそうデス。それにしても、決まっていたところで調整‥‥‥何か問題でもあったのでしょうカ?でも問題のある品を渡すこと自体がそもそもすさまじい大問題になるはずなので、ならないようにしているはずなのですガ、一体なぜ‥‥‥?】
天界のちょっとしたことを知りつつ、目的地を決めて歩み出す。
しかしこういう雲の中に、鉱石が出来上がるのは、説明を聞いてもやっぱり不思議に思えてしまう。
魔界なら違和感ないけど、天界だとちょっとあるんだよなぁ‥‥‥
次回に続く!!
…‥‥〇〇〇人プレイ記念とか、そういうのもやってみたい。でもちょど良い数が難しい。
ついでにちょっと、ゲスト出演も目論んでいたりする。