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ver.2.6-57 美味しい話は、裏もある

‥‥‥魔界の町中という事で、通常のフィールドの町中とどう違うのか期待しているところもあった。

 そして実際に訪れてみれば案外普通の活気あふれる賑わいがあるのだが、それでもいくつか違う点もあるので、文句はないだろう。


「でも流石に、この見た目で美味しいのも意外というかなんというか。たこ焼きじゃなくて『お化けだこの眼球焼き』って、どこからツッコめと言うのかなぁ」

【ドロドロに溶けたはずなのに、焼きあがると元通りの目玉になっているのが不思議ですよネ】

【ギャベイ】


 もぐもぐと皆で悪魔の屋台で売られていた食べ物を食しつつ、そう感想を漏らす。


 NPCである悪魔もまた、きちんと屋台を出して商売をしている光景は予想できたかもしれないが、売っているものがゲテモノのような見た目なのは魔界らしい。

 でも、味は良いんだよなぁ…‥触手丼はうな丼風、揚げ腕は唐揚げ、地獄鶏の親子丼は普通の親子丼と、見た目が異様すぎるだけで、まともな味ばかりなのだ。いや、ちょっとうまい面もかなりあるけれども、ゲテモノ風な見た目のせいで微妙にマイナスになっているともいえる。そもそも食べられなければ先ず売ることも無いので、きちんと実食などを経て販売されているのかもしれない。


「食べ物ばかりじゃなくて、魔界限定の特殊な鉱石や木も売られているのは良かったかもね。錬金術を使って作る幅も増えるし、皆の装備も魔界産のもので一新できるかもしれない」


 元のところには無いような貴重な品々も多く、魔界に来てよかっただろう。

 こうなってくると解放されている天界の方にもかなりの期待が持て、今後の探索がより楽しみになってくる。


 まぁ、しいて言うのであれば…‥‥



「常識的な悪魔と非常識的な悪魔が混在しているってことは苦言を申したいなぁ‥‥‥衛兵さん、すいません。テイムモンスターに絡んできたこいつらを病院に運んでください」

「ははは、大丈夫だ。こいつらは病院ではなく牢屋の方に送るから安心したまえ。行くぞ、ゴンザレス」

「うごう!!絡む奴、回収、地下送り!!」


 ずっしずっしと巨体を揺らしながら、地面に倒れ伏した悪魔たちを軽々と担ぎ、衛兵たちは連れていく。

 治安が完全に良いわけでは無かったようで、容姿が良いテイムモンスターたちを見て絡んできた悪魔もいたが、次々にほいほいかかって潰されていくのは邪魔である。


 ここまで絡んでくる理由としては、どうもこの町にサキュバスがいるけれども、そのサキュバスのせいで色々あって同種族に対して怯えてしまうようになった悪魔がそれなりにいるようで、だからこそ悪魔ではない彼女達に対して欲望を出してしまうのだとか。


‥‥‥色々あって同じ悪魔が怖くなるって、何があったのだろうか。というか、そんなサキュバスたちのもとへ欲望戦隊は向かったわけなのだが、無事なのだろうか?


「あ、でも女性恐怖症になれば、それはそれで結果オーライなのか?」

【世のため人のためになるかもしれないと考えると、そっちのほうが良いかもしれませんネ】


 色気のない生活に飽き飽きしている彼らだが、つつましやかに暮らせるようになったほうが良いのかもしれない。

 何事も欲望が災いを産んだりするし、そう考えるとサキュバスに欲望戦隊をどうにかしてもらった方が全世界のために良いのかもしれないと、僕らは本気で思えてしまうのであった。




 何にしても町中をある程度探索し終えたところで、再び町から出て魔界の探索を続けることにした。


 天界も気になるが、町中で道行く人々に話を聞いたところ、どうやら近くに魔界の観光スポットのような場所があるようで、見に行くことを勧められたのである。


「魔界特産の血のように真っ赤な水晶『クリムゾンクリスタル』がキラキラと輝く綺麗な谷なら、ちょっと見に行ってみようかな」


 名称がやや物騒な気がするが、それでも現実世界では見られないようなきれいな景色があるのならば、それを楽しむのもありだろう。

 ゲームだからこそ気軽に行きやすい観光スポットならば、目にしたほうがお得だしね。クリムゾンクリスタルという鉱石自体も現地で少々販売されているらしく、装飾品の類に加工できそうなので、使える幅が広そうなことに期待もできる。


 そのため僕らは探索を続けつつ、勧められたその谷へ向かうのであった…‥‥







‥‥‥町から出てハルたちが出港した丁度その頃。


 町中の裏路地にあった扉から、ここで話し合っていた人々が出て来た。


「ふぅ、こういう会合の場も案外悪くはないのかもしれない」

「これはこれで、普段のチャットでは見にくい表情が見やすくなったでアールからな」


 いろいろなことで盛り上がったが、経過した時間は案外少なかったようだ。


 けれども、内容としては濃いものになったので、時間に反して濃密な話し合いが出来ただろう。


「それにしても、現地集合現地解散の流れは良いのだが…‥‥この後どうしようか」

「せっかくログインしているのでアールから、クリムゾンクリスタルの谷へ目の保養へ行くでアールか?」

「いや、止めておきたい。あの谷は今、アップデートのはずみでちょっとひずみが生じてな。本来なら予定していなかったことが起きてもおかしくないから、現在封鎖しているんだ」

「そうでアールか?その情報、出てなかったでアールよ?」

「は?共有しているはずだが?」


 出て来た言葉に信じられないと思いつつ、その人物は確認を取る。


「…‥‥うっそだろマジか。知らせに載せてないじゃないか。広報の担当なのだが、何をやっているんだ?」

「あー‥‥‥そう言えば昨日、副社長がピタゴラス〇ッチのごとく不幸の連鎖をくらって、運ぶために慌てていたでアール」

「副社長、ついてないな‥‥‥いや、そうじゃなくて、つまり忘れていたと?」

「そうなるでアール。とは言え‥‥‥ふむ、今のところ、谷に入っているプレイヤーはいないようでアール。辿り着いて聞く前に、魔界のモンスターたちと戦い、経験値を蓄えているやつが多いのでアール」

「なら問題はないか‥‥‥とにもかくにも、何か起こる前に先に広報へ連絡を取らなければな」


 今のところは何も起きてないようだが、何かあってからでは遅い。


 その為、話し合いで疲れてはいるが、それでも安全の確保のために彼らはすぐに動くのであった‥‥‥


「でもそもそも、知らせる前に閉鎖をプログラム部門の方へお願いすればいいはずでアールよね?」

「この魔界の構築に関しては、別の魔界担当者に頼んでいるのだが…‥‥昨日、倒れていたからな。そっちはそっちで、運ばれていったから、先にプレイヤーへ知らせるために広報へ通達していたんだ」

「それはそれで何があったのでアールか?魔界担当のプログラマーはちょっとやそっとでは倒れないやつでアールよな?」

「‥‥‥話すちょっと前に、知り合いに呼ばれて色々と後始末に追われていたようだ。何でも本気で不味いものの封が、いつの間にか誰かの手によって解かれていたようでな…‥‥」

黄昏時の色合いで、輝く水晶の谷。

赤だらけで目に悪そうな気がしなくもないが、美しい光景らしい。

どんなものなのか、期待をしている裏で‥‥‥

次回に続く!!



‥‥‥誰だって、疲れ果てる時はあるのだ。でもあのピタゴ〇スイッチの不幸には勝てないのかもしれない。

ちなみに、ちょっとだけ作者の実話だったりする。連鎖って現実でもあるんだよなぁ‥‥‥

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