ver.2.5-46 海賊VS黒き女神
>キャプテンリッチの出現により、名称が変化します。
>船内のスケルトンの種族名称が、『パイレーツスケルトン』になります。
>スケルトンたちの士気が上昇!!Atkが2倍になりました!!
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キャプテンリッチもとい彼らのボスである女海賊キャプテン・グレイが出現したことによって、状況に変化が起きたらしく、ログに詳細が出て来た。
どうやら出現するまではまだギリギリ普通のスケルトン扱いに近かったようだが、グレイが出現したことではっきりと彼女の支配下につき、種族名称が変化するらしい。能力なども大きく変わったようで、動きがさらに洗練されただろう。
「とは言え、指揮をしてやる気がみなぎったのならば、こっちだってやりようはある!!『黒き女神』!!」
周囲に他のプレイヤーの姿もないし、ここで戦力を出し惜しみしては敗北の可能性が出て来たので、対応するために僕はスキルを使用し、黒き女神の姿になる。
【ホネェ!?】
【ホネホネェ!!】
【静マレェ!!姿ガ変ワル相手ハ海デ見テキタダロゥ!!怯ムナ怯エルナ立チ向カエェ!!】
【【【ホネホネェェェ!!】】】
―――――
>キャプテン・グレイの『船長号令』によって、黒き女神のスキルによる周囲への恐慌状態などが防がれました!!
―――――
「うわぁ、絶対にいつぞやかのキングリッチよりも強い相手だよ!!でも全員こちらも全力でやるぞ!!」
【シャゲェェェ!!】
【ガウガウ!!】
【バルルルルルルゥ!!】
【ギャビィィィ!!】
【オォォォォォォォン!!】
【手加減抜きデス】
女海賊グレイ一行に対して、こちらは黒き女神一行としてぶつかり合い、お互いに指揮する立場にある者同士、手加減抜きでぶつかり合う。
電撃が飛び交い、骨が飛び交い、剣戟があれば槍で押さえ込むなど、一気に混戦が激しくなった。
毒の霧は回転で吹き飛ばし、電撃は耐久のある奴が避雷針となって防ぎ、槍には剣で対応。炎は流石に船上だと不味いのだが、流石に火事も想定してなのか消火設備で応戦してくるなど、こちらの攻撃に対応する形で応戦してくるようだ。
【ハハハハハ!!ヤルナオ前タチ!!アタシノ船ニ乗リコンデ暴レルダケアッテ、実力モアルト!!コノアンデッド生デ3度目ノ襲撃ダガ、一番骨ガアルナ!!】
「3度目?だったら前に二度はあるってことか!!」
【ソウダ!!真夜中ニ起キテ動イテイルセイカ、興味本位デ来ルノダ!!】
刃を交える中で、そう口にするキャプテン・グレイ。まぁ、こんな真夜中の怪物体としてのクエストに出てくる時点でとっくの前に誰かが先に来てもおかしくはないだろう。
【トハ言エ‥‥‥2度目ノ時ノ変態達ハ戦ウ前ニ放リ出シタガナ!!】
「‥‥‥何だろう、誰なのか凄い具体的に頭に思い浮かぶ様な」
【おそらく、主様の思っている人たちであっている気がしマス。全員、同じ人思い浮かべていマス】
キャプテン・グレイいわく、1度目の襲撃はこの辺りの人達から依頼された人たちのようだが、そちらはある程度戦ったらすぐに全滅したようで、消えたようだ。
そして2度目の襲撃は、大体予想が付くがどこぞやの変態戦隊と名乗っていたそうで、何故か骸骨なのにすぐに性別を見抜きまくり、手当たり次第に勧誘をしていたり、何かと必死にお願いをしていたようである。
‥‥‥まぁ、セクハラまがいな事が起こりかねたそうなので、船上での規律を守る立場上、樽に突っ込んで封印し、しっかりと重しを付けたうえで海に放り投げたらしい。肉体がほぼなくなって骨身になった身体だからこそ、本能的に骨までぞっとするような変態臭を感じたそうだ。
でも、多分復活しているな…‥‥NPCでないプレイヤーならば、死に戻りというか復活は可能。ある程度のペナルティが付くとは言え、それでも二度と遭わないという保証はない。
なお、何故かその一員の中にいたオークに関しては特に何もされず、むしろ他の人達を抑えるような動きをしていたことで少しばかり感心したらしく、樽詰め放り投げ後にいなくなる説明受けたのち、こっそり酒を少し譲ったそうだ。常識人、苦労していてもちょっとは良い事があるらしいなぁ…‥‥
何にしても海賊との戦闘になったが、骨身になっても生前の強さ以上のものをもち、更に船長の的確な指示によって見違えるような動きを可能にしたようで、強さは倍増したようだ。
けれども僕らの方も出し惜しみなく応戦し合い、お互い消耗しつつもいい勝負となっている。
【ギャビィィィ!!】
【オォォォォォン!!】
そうこうしているうちに、電撃とブレスの合わせ技でルトとアリスがスケルトンを数体ほどふっ飛ばした、その時だった。
―――――
>レベルアップ!!
>一定のレベル到達により、『カオス・スキュラ』の『ルト』と、『バフォメット・カーウ』の『アリス』の進化が解放されました。
>特殊進化に該当し、以降は別系統への進化が不可能になります。
>進化いたしますか?
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「っと、戦闘中に進化の連絡か!!」
ちょうど今のスケルトンをふっ飛ばしたことで経験値が入り、レベルがある程度の高さに達したらしい。それによって進化が解放され、黒き女神の影響で‥‥‥あれ?
―――――
『ルト』の進化先:『黒き女神の使い魔見習いー邪神見習いスキュラ』
・黒き女神に仕える道を選んだ、異なる神の可能性も秘めているスキュラが変化する種族。
・通常攻撃で混乱攻撃を可能になり、電撃がより強化された。
・触手力が強くなり、禍々しいありようとは裏腹に繊細な行動がより可能になっている。
『アリス』の進化先:『黒き女神の使い魔見習いハーロット』
・黒き女神に仕える道を選んだ、母の可能性をまだ持たぬ悪魔に近いモンスターが変化する種族。
・宝石や酒による攻撃が可能になり、自身の吐く炎を強化して攻撃に使うようになっている。
・進化の可能性はまだあるが、一部未実装要素があるため不完全な進化となる。
―――――
‥‥‥なんかこう、ちょっとルトの進化先の説明がおかしい気がする。いや、アリスの方もまだ未実装要素があるなどの気になる部分があるが、これまた変わった進化が出てきたようだ。
「でも、進化しない選択肢はないよね?」
【ギャベェイ!!】
【オォォン!!】
ようやく手にした黒き女神の使い魔という道を逃したくないのか、声をそろえて答えるルトとアリス。
彼女達の進化先に少々不安要素が芽生えはしたけれども、この状況下で一気にこちらの戦力も強化できる。
―――――
>選択、受領しました。
>進化開始します。
―――――
【ギャベェェェ!!ギャべィ!!】
【オォォォォォ、オォォォォォン!!】
瞬時に二人の身体が光り輝き、その姿を一気に変化させる。
ルトの蠢いていた触手はより禍々しくなりつつも数を少し減らしてスッキリした印象に変えつつ、手にはいつの間にかこちらも禍々しい見た目をした杖を握っており、怪しい電撃を放ち始める。
一方でアリスの方は体形に変化は少ないが、着ている衣服に変化が起きており、赤と白のカラーリングのドレスと宝石を指にはめていた。
【ギャ…‥‥ギャビィィィ!!】
【オオオオオオン!!】
進化したことを確認し、試し打ちのように彼女達は攻撃を再開した。
電撃は紫電というか、色が変わった電撃へと切り替わり、直撃コースではない電撃だとしても軌道が切り替わり、何かを盾にしてもそれを回避して直撃させる。
吐き出される黒い炎は、手をかざすと宝石が輝き、より広範囲へ一気に広がりつつも不思議と船は燃えることはなく、狙った対象のみへの攻撃となっている。
【コノタイミングデ、一気ニ強化カ!!ダッタラ、コチラモ最終奥義用意!!ヤロウ共、合体ダァァァ!!】
【【【ホネホネェェェ!!】】】
こちらの変化に対応するように、キャプテン・グレイが号令をかけた瞬間、倒れていたはずのスケルトンたちまでもが急に起き上り、その言葉に呼応するかのように一か所に集まり始めた。
瞬時に骨をバラバラにして、それでいて欠けることなくまとまっていき、いつのまにか船のマストが安全のためなのか収納され始め、甲板上が広々とした状態に切り替わり、その大きな姿を邪魔することなく、月夜に照らす。
そしてその体の中央にキャプテン・グレイが乗り込み、最後に骨で集合して出来上がった大きな頭でバランスを取って、完成する。
【ホネ、ボンネェェェェ!!】
―――――
>なんと、スケルトンたちが集まり、合体した!!
>『パイレーツスケルトン』、『キャプテンリッチ』たちは意志を統率し、『キングパイレーツスケルトン:タイプG』になった!!
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「どこかのスライム以上にでっかいなぁ!?」
【タイプGという事は、他の合体形態のもあるのでしょうカ?気になりますネ】
【ボンネェェェェェェェェェ!!】
【サァ、コノママヤリアオウ!!】
巨大な骸骨の中から声も響きつつ、船上の戦場は終局を迎えようとしていた。
なんかこう、最初の目的を何処かへ忘れている気がしなくもないが、こちらも全力を尽くすのみ。
そしてこのまま、決着がつくまで僕らは全力で戦いあうのであった‥‥‥‥
「‥‥‥そう言えば、キングって付いたけど王冠とかはないのか」
よく見れば、頭の大きな骸骨にドクロ帽子があるが、あれでキングになるのか?どちらかと言えばキャプテンと言うべきなのかもしれないけれども、形式美のようなものなのか…‥‥‥?
進化をしたら、相手の方も切り札を出してきた。
こうやってお互いにぶつかり合う戦いも、のんびりした生活を望んでいても熱いので面白い。
何にしても、文字通り乗りかかった舟もとい船なので、最後までやりつくそう!!
次回に続く!!
‥‥‥なお、2度目の変態と言うのは読者の方々ならもうご理解していただけるでしょう。
既に遭遇しており‥‥‥あれ?セクハラまがいなことがあったってことは、もしかして船員女性?
骸骨ってどうやって雌雄を見分けるのか‥‥‥いやまぁ、分かる人なら分かるのか。