ヴェルトの条件
「あ...」
俺はゆっくりと目を見開いた。さっきの洞窟と場所が違う...
周りを確認すると、誰かの家のベットに俺が寝ていたという事が分かった。
「そうだ...テ..レシア」
そう、テレシアが半死状態になったんだった。そこで、ヴェルトと名乗る女騎士が来て、助けられたんだった...
すると、ドアが開き誰かが入ってきた。俺は目をこすってよく見てみるとテレシアだった。
テレシアは腹の周りに包帯がまかれていた。
そして、テレシアはこう言った。
「ごめんね、仁。私の自分勝手な行動でこんな事になっちゃって...」
俺は恐る恐る聞いた。
「テ...テレシアなのか??」
すると、テレシアは微笑を浮かべた。
「ええ、あの...ヴェルトって人にかなりハイレベルな治癒魔法を私にしてもらったらしいのよ。その時、仁が腕にあった傷が開いて、かなり出血しちゃって倒れたのよ...本当にごめんね。」
俺はテレシアが助かって良かった、という気持ちでいっぱいになり無理矢理、体を起こそうとした。
「ぐっ...」
俺はあまりの激痛に気を失いかけた。
「だ、だめよっ!!!!そんなに激しく動いたらたらまた、腕の傷が開いちゃうわ!!!!!」
とテレシアは言い、俺の体をベットに戻した。
「テレシアは腹の所、大丈夫なのか???」
俺は、テレシアが普通に話せたり歩けたりする事に不思議に思っていた。
「ああ...私は自動蘇生能力を持っているから、10分くらいでちゃんと話せたり動けたりできるようになるよ。」
「それはすげぇな...」
俺がそう呟いたのと同時にドアが開いた。
「ほう、かなり元気になっていてなによりだわ。」
そう言ったのはテレシアと俺を助けてくれたヴェルト・シンセスト・ツーだ。
「あ、ヴェルトさん!!」
「テレシアも元気になっていて良いじゃないか。」
「ちょっと、上から目線で言ってくるのやめてくれない???」
「それが騎士という物だ!!!!!」
「「ムムムムムム!!!!」」
うやらテレシアとヴェルトは相性が合っていないようだ。
俺はため息をつき、こう言った。
で、ヴェルトさんはテレシアを助ける条件で、一緒に戦うと言っていたけどそれはどういうことなのか??」
これはヴェルトがテレシアを助ける条件で言った事だ。
「ああ、そうだわ...私にもそう言われたわ!!」
とテレシアが思い出したように言った。
「その話なんだが...まず、私は魔王の娘なんだ。」
「は??」
俺は混乱してしまった。魔王=俺たちが倒そうとしている敵。で、魔王の娘とかも魔族と同じだからいつか戦わないといけない存在のはずだ。
ていうことは魔族と協力!?それはさすがに俺は反対だな...
「ねえ、じゃあ何で私たちを助けたの??」
「それは...お父様が嫌だったからよ!!お父様...いや、魔王は私に何回も人を殺されられた。それで、魔王のせいでこの世界にはあなた達以外にニンゲンがいなくなっちゃったのよ!!!!私はそんな事嫌なのよ!」
「つまり、逃げ出したという事で合っているか???」
俺は聞くと、ヴェルトは頷いた。
「でも、スパイかもしれないし...」
テレシアがそう言うと、ヴェルトはこう叫んだ。
「そんなっ!!違ッ!!!私は...私のせいで...」
「ヴェルトさん落ち着いてください。」
俺がそう冷静に言うと、
「で、でも...私は母を殺したお父様が憎いんだ!!だからお願いだ!!!仲間になってくれ...」
「仁、どうする??」
俺はテレシアの問いを無視しこう言った。
「もちろんだ!!!俺たちの事を助けてくれたしねな!!!しかも、俺とテレシアも魔王を倒す旅に出ていたんだ!!」
すると、ヴェルトはほっとした顔をした。
「ありがとう、仁。これからもよろしくね!ついでにテレシアも。」
「私をついで扱いしないでくれない??」
ああ、また始まった、と俺は思った。
色々な意味でだがな(汗)