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問い掛け

彼女はいつも発する言葉に

小さな願いをかけていた。


「ただいま」


その言葉は彼女にとってどんなに大切なもので

思い入れのある言葉なのだろうか…?

四,

朝は一人で四階まで上がっていく。横では友達と一緒に歩く同級生たちが通り過ぎていく。まるで私の存在がそこにないかのように…

四階の階段から下を見る。ぐるぐると回る階段はなんだか違う世界のように感じてしまう。私の知っている世界ではないかのように感じてくる。こういうことをしている時だけみんなは私の存在を確認する。悪い意味で…


視線が痛い…鋭く、厳しく、残酷に


刺さるのだ、背後から


だけどだれも気づかない、そんな事など御構い無しに遠慮なくじろじろと見る。後ろを振り返る。まるで、痛いものでもみるかのような、可哀想なものを見るかのような目をしている。


私は小さく舌打ちをした。


この世界に反感を覚えた。どうして私が変な子みたいな目で見られなければならないのだろうか。不思議で腹立たしい。私以上に痛い奴はそこら中にいるではないか。実質問題そう言うまで私を見てくる人たちこそが痛いやつだったりするのだ。なのに……



返ってこないと思っていた、私の小さな問いかけに…


「ただいま」

「お帰り」

私の問いかけに似た「ただいま」に応えたのは

「…お父さん…」

私は自然と肩の力が抜けた。

「帰ってきたんだ…」

「帰ってきたらダメか?ここは俺の安らぎの場所だぞ」

「そう言う意味じゃないよ、一ヶ月くらいは帰れないって言っていたからまだ帰ってこないと思っていたの」

「あぁ、それな。予定より早く終わったな…」

私は約半月ぶりくらいに微笑みを浮かべる。私はいつも発するあの言葉に、『返事』を願っていた。正直言うと父がいなくて寂しかったのかもしれない。…そうだ、それだけだ。多分…

私が唯一心を許した人は父だけだ。


他のものなど信用できない


信用しても裏切られてしまうだけだ


あの時と同じように、あの人と同じように

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