闇
私がどうして?
そう思ったことはないだろうか?
二,
今日は昨日と違ってうんざりにするほどの雨である。窓からボーッと見ていた。そしてあることに気づく。傘を持ってくるのを忘れてしまった。そういえば今日の朝に父が傘を持っていけと言っていたのを思い出す。やらかしたな、と思いつつも、何かをしようとするわけでもなく、ただ見つめるだけ。
私が世間を見るときと同じように、この雨もまた私にとってはどうでもいい存在で。
世間が私をみるときと同じように、私もまた雨にとってどうでもいい存在と成り下がる。
世界はきっとそういう風にできていて、今までも、そして、今、これからも。
人を傷つけていくのだろう。何も知らないまま。
私はそんな雨から目をそらす。そらしても、音だけが聞こえてくる。
雨だというのに、相変わらずパリピは騒ぐ…最近わかったが、パリピたちは騒ぐことしか能がないらしい。可哀想な奴らだ。奴らの作文を読んでみろ。中身のないスカスカの文章をたて並べている。そして、自慢する。痛々しいにもほどがある。
*
「ただいま…」
知っている。そんなことを言っても返事は返ってこない。ただ薄暗い部屋が私を向かい入れる。私の声のみが虚しく響く。
どうして…?
私がこんな思いをしなければならないのだろうか
何をした?ただ私は生まれてきた。それだけだ。まさかとは思うが生まれてきたことが罪なのか?ふざけている。
ひねくれないでいられなかった。こんなふざけた世界で生きていく上で私にとって『ひねくれ』は必要なことだった。
カーテンから漏れる小さな光はこの闇を照らす一縷の光に似ていた。果たしてこの光は本当に一縷の光になってくれるのだろうか?
「…私……ねぇ、ママ?」
切なくてか細い叫びに似た呟きは誰にも届かずどこかへ姿を消した。
外の雨はいつのまにかやんでいた。まるで置き土産のように、綺麗な虹を残して。
うんざりする。虹なんていらない。私が欲しいのはそんな平和の象徴みたいなしょぼいものではない。もっと価値があって、私を救ってくれる特別なもの。だれも持っていないような才能。魅力。
出来るのならば、『空気の読み方』の説明書。
この世界の説明書。
どうしてママが私を捨てたのかを記した説明書。
私はそれが1番欲しい。