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第01試験科中隊  作者: 津田邦次
第一章 第二次日中戦争
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第二回瀋陽総攻撃 その4

 初めて乗った鵲のコックピットの中は新品特有の香りがする。鵲は既に外部視点連動システムを搭載している為専用のゴーグルを装備する必要があったが前回の作戦で使用したものよりも薄く、軽くなっている。その視界の端に通信ウィンドウが出る。

 『突入部隊は既に第三区画まで制圧していますが、未だ敵陸戦機は確認できません!!』

 岡田少尉からの報告だ。

 『敵は既に瀋陽を放棄したんじゃないか...?』

 『...』

 瀋陽に補給が出来るならば、その手段で以って撤退することもまた可能だろう。しかし、背後からの奇襲の可能性を殺すためにはいずれにしてもこのネズミ駆除はやらなければならない。

 『どのみちここの攻略は前線を上げるために必要だ。例え敵が少数でも全員排除する!!』


 『どう?動きそう?』

 ガルシアの問いに鳥部が答える。

 『ええ、何とか...』

 結局あの後片倉達が追い詰めた先で敵は自害してしまった。小型の爆薬を持って突っ込んできたらしいが足を撃たれ、倒れるとすぐに起爆したそうだ。

 小隊は倒れた鳥部機の周辺に集まり鳥部機の再起動を試みていた。

 『...アーム無しに立つのはやはり困難で...』

 『機体は破棄しろ。ここからは班を二つに分ける。私とガルシア、四天王はこのまま前進する。宍道と鬼ヶ島は鳥部を後方へ送れ。その後で合流する。合流地点はその時の我々の到達地点で決める』

 『『『了解』』』

 『御武運を...!!』

 そう言って鳥部を改修した鬼ヶ島機達が切り返して行く。

 『よし!!行くぞ!!』

 

 『やはり、敵はいませんね...』

 二班に分けてから既に十分経ったが未だ接敵せずに瀋陽の中心に近づいていた。

 『油断するなよ...。敵陸戦機を確認次第全力で撤退しろ...!!』

 『しかし、レーダーにも反応がありません』

 『...』

 ドォオオオオオオオオン!!!!

 『うおおおお!?』

 ついさっき最後尾の四天王機が通ったすぐ横のビルが爆発した。飛び散ったガラスや破片が機体に当たりカンカンと音を立てる。そしてこの爆発によってビルは柱を失い倒れてる。それも今まで通って来た道の真ん中に向かって。

 『マズい...。倒れるぞ!!前進!!全機直ちに前進!!』

 『クソがッ!!退路が!!』

 『!?レーダーに反応あり!!陸戦機よ!!』

 ガルシアの言った通りビルの反対側にコンクリートの建物の上に特徴的な四脚機の影が見える。

 『マズい...。マズい...。全機散開!!全力で逃げろ!!武装はここで使ってしまって構わん!!』

 『り、了解!!』

 『分かってるわよ!!』

 四脚機の持つ砲が向けられているのは片倉機の方向だった。


 『敵陸戦機確認!!敵陸戦機確認!!四時の方向!一機のみです!!』

 岡田の報告を受けるとすぐに、

 『待ってたぜぇ、この瞬間をよぉ!!全機二手に分かれ突入。俺と月夜は上から行く!!死ぬんじゃねぇぞ!!』

 そういうや否や鵲は真上に飛び立ち物凄い速さで飛んで行った。その後を追うようにもう一機の鵲も飛んで行った。

 『ぅおおお!!ほんとに凄い加速だぜ!!』

 

 『クソがぁ!!』

 全速力で蛇行しながらも上半身を後ろに回し牽制射撃をし続ける片倉機に道路に降りて来た漸撃は執拗に攻撃をしている。しかし、どうも一撃で仕留めずにチマチマと嫌らしい攻撃を続けている。

 『こんの嘗めやがってぇ!!』

 そう言って左右のロケットランチャーからロケットを発射する。スパパパパ!!と威勢のいい音を出し、合計50発のロケットが放たれる。しかし上にジャンプしそのまま左右にゆらゆらと動くことで全弾避けきってしまった。

 『クソがッ!!』


 しかし一方でガルシア機と四天王機は順調に撤退していた。そしてその上空を大きな二つの影が過った。

 『隊長!!』

 

 『どうしたどうしたぁ!!もう攻撃してこないのかぁ!!』

 わざわざ外部スピーカーから機械音声で煽ってくる。相当に性格が悪いらしい。

 しかし、敵機は急に攻撃を止め急旋回する。腕を上げ上空に向かって突撃砲を撃つ。

 「馬鹿め。さっさと止めを刺しておけば良かったものを...」

 

 敵の砲撃も躱す動作すら要らず、全く当たらない。すぐに敵の真上を通り過ぎてしまった。

 『これが鵲か!!』

 急旋回し、敵の意識を片岡機から逸らすように射撃する。敵は直ぐに後退を開始するが、時すでに遅し。もう一機の鵲が回り込んでいた。四脚機には余りに不利な建物に挟まれた道路にも関わらず、果敢にも天笠機に射撃しながら突撃する。

 『...ッ!!』

 天笠機は直ぐにジャンプで躱すがその下を漸撃が抜る。

 『どけぇ!!少佐ぁ!!』

 そう言って90mm突撃砲を撃つ。が、敵も改修機なだけあり素早い動きで絶妙に避けていく。どんどんと街の奥へと入って行く。

 『くっ!!少佐、入り過ぎだ。ここは一旦引こう』

 『...了解』

 そう言って機体を後ろに向けたとき、二機のカメラに、二人の目に映ったのは、三機の陸戦機だった。

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