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第01試験科中隊  作者: 津田邦次
第一章 第二次日中戦争
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第一小隊

「失礼しました」

そう言って多少の装飾のある扉を閉める。ここは、日本帝國領朝鮮半島帝国陸軍満浦基地。そして、今日から俺が配属された第01試験科中隊の基地でもある。最新の陸戦機が配備されており、最新の整備機器が揃っている。第01試験科中隊は日本帝國ソ連方面軍第107師団の陸戦科に属する。陸戦科とは、陸戦機を専門とする兵科だ。陸戦機は、正式名称次世代汎用空陸戦兵器で、搭乗することでパイロットが直接操縦する人型兵器で現在の主力兵器だ。陸戦機には主に格闘機と攻撃機があり、格闘機にはブースターエンジンが搭載されており、空を飛ぶことも一応可能だが、低高度が現在の限界である。その高い機動力を生かし、敵機を撃破することが主な任務だ。攻撃機はブースターエンジンを搭載していない代わりに、地上適正能力と武装積載量が高く、主に格闘機の援護と対空警戒を任務としている。

 (基地司令に言われた通りに他の隊員に挨拶しておくか)

基地にはいくつかの施設で分かれており、現在扉を閉めて出て来たのは司令塔。そして、俺たちパイロットが待機する施設は司令塔から少し離れた場所にある。司令塔からいくつかの施設をはさみ、白く横に長く三階建てで窓が多い建物に着いた。そこには看板が掲げられており『第一満浦営舎施設』と書かれている。大きく透明なガラスの扉を開け中に入ると、入口近くにある施設案内を見て第一小隊談話室を探す。二階の西端にそれを見つける。階段を上がり右に曲がり最端に足を運ぶ。廊下にドアが対面してあり、片方に『陸戦科第一小隊談話室』と書かれ、もう片方が第二小隊となっている。第一小隊談話室のドアの前に立ち、大きく深呼吸をする。

 (どうも初対面の人に会うのは緊張するな)

なんて、当然のことを考えながらドアを開けようとドアノブに手を伸ばした時、バァン!と音を立てて勢い良くドアが開き、左手の指と額にドアが直撃。

 「痛ってぇ...!!くぅぅ...」

猛烈な痛みが走る指と額に手を当てる。情けなく倒れ込んだ俺に対し、ドアを開け放った犯人が、

 「うわっ、大丈夫...?」

と、声をかけて来た。声の主を睨みつけるように顔をあげて、その顔を見て少々驚いた。いや、変な顔だとかそういうのではなくて、単に今まで見たこともないほど綺麗だったからだ。その短い黒髪を揺らし赤い瞳で俺を見つめて手を伸ばしてきた。その手を取って立ち上がりながら、

 「大丈夫...じゃないです、鼻に当たらなかっただけましですけど...」

 「ごめんね、悪気があったわけじゃないんだ。ところで、何か用事?」

そう聞かれた俺は、何しに来たのかを思い出し、

 「あっ、そうでした。私は今日からここ、第一小隊に配属になりました、上守周軍曹です!」

 「あぁ、君が!私は上野。上野神輿曹長だよ!皆、新人の到着だよ!」

振り返りながら神輿と名乗る容姿端麗な女性は言った。

 「とりあえず、中に入って」

言われるままに部屋へ入り、同じように自己紹介をした。

 「今日からここ第一小隊に配属となりました、上守周軍曹です!」

 「ようこそ、陸戦科第一小隊へ!歓迎しよう、私が隊長の鶴喰煌月羽中尉だ。堅苦しいのは無しにしよう」

そう言って、ソファーに座っていた男が立ち上がった。その男は、なんというか普通であった。年齢は20代後半といったところか。身長は170㎝程、少し癖のある短い黒髪で、瞳は少し茶色がかった黒で顔は少しおっさん味があるが決してブサイクではなかった。

 「私は鷹司優典曹長だ。君が噂の古沢教官を初戦で倒したとかいう...いくらシュミレーションとはいえよくやったものだ。」

鷹司と名乗った男性は近づきながら手を差し出した。その男性は一言で言うなら正に絵に描いたような美男子であった。やはり、黒に限りなく近い青髪ではあるが少し伸びており肩に届く少し前まである。こちらも髪の色に近い青い色の瞳で目つきは鋭いが悪くはない。しかし、最も気になることを俺は手を握りながら聞いた。

 「いえ、たまたまですよ。それより鷹司って、あの鷹司ですか?」

 「私の家は分家だからそこまででもないんだけどね。いや、あの人を倒したのは君含めて三人だけだ。誇りに思うといい」

 「あと副隊長がいるけど、今席を外してるから。あっ、私も呼ばれてるの忘れてた!」

そう言うと、上野曹長は部屋を出て行った。

 (とりあえずは、まぁ、悪い人たちではなさそうだけど...緊張感ないなぁ)

そんなことを思いながら取り敢えずの挨拶は終了したのだった。

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