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第01試験科中隊  作者: 津田邦次
第一章 第二次日中戦争
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久米作戦

 皇紀2722年、西暦2062年4月3日。帝國は中華攻略の狼煙を上げる。その作戦概要は、まず上海強襲上陸後ここを絶対防衛圏に指定し橋頭保とする。上陸後は南京、山東半島を占領後北上。作戦第二段階として、山東半島を占領した直後から香港強襲上陸作戦を開始、敵を拘束、南北に大きく敵を分断する。第三段階は北上した軍と朝鮮半島から南下した軍を合流させ北京を包囲、講和条約を締結させる。とういうものだ。

 その作戦――久米作戦こそがこれから巻き起こる第二次日中戦争、引いては第四次世界大戦への銅鑼の音であった。


 (どうやら帝國は思った以上に早々からこの戦争の準備をしていたようだな...まぁ、無理もないか)

 鶴喰煌月羽はそう思わざるを得なかった。というのも、陸戦機の配備数が戦争以前よりも圧倒的に多いのに格納庫が足りなくなる事態に陥っていないからだ。

 「あれ、ここにいたんですね、てっまだ飯食ってなかったんですか?」

 時計を見ればもう八時を回っている。周りを見渡せば既に食堂に人はおらず、俺と上守だけだった。しかしこいつはこんな時間になにをしに来たのか。

 「何か用でもあったか?」

 まあここにいたのかと聞かれれば誰だってこう答えるだろう。

 「いや、刑部中佐が呼んでましたよ。個室に来てくれって」

 「そうか。なんの用か聞いてるか?」

 「いや、聞いてないっすね。それより個室に呼ばれるって、そう言う感じっすか?」

 どことなく含みのある笑みでそう言う。何かと考えてみてすぐに分かる。つまりコイツは俺が中佐とロマンスに目覚めたとでも言いたのだろう。

 「まあ分かるっすよ。キリッとしててカッコイイっすもんね」

 コイツの言う通り刑部中佐は美人だ。シャープな顔立ちで狐目程では無いが鋭い眼をしている。黒髪黒眼。髪はいつも後ろでまとめてポニーテールになっている。その上に黒の制帽が乗るのだからなかなか似合っている。ただ、一つコイツは勘違いをしている。

 「残念ながら俺は年上は趣味じゃないんだ。無駄口叩いてないで訓練でもして来い」

 「へ~い」

 適当に追い返しながら刑部中佐の部屋へ向かう。といっても中佐の個室は生活目的のものでは無く、単なる待機部屋だが。中佐の部屋は、確かここの四階にあったと思うが、どうだったか。現在は営舎の一階食堂なので取り敢えず階段を上っていく。四階に着き取り敢えず右に歩き出し、刑部と札のかかった部屋をノックする。

 「第01試験科中隊第一小隊鶴喰煌月羽中尉です」

 「開いている。入れ」

 ドアノブに手を当て、右に回す。

 「失礼します。要件は何でしょうか」

 「なに、簡単な話だ。次の出撃は恐らく渡河作戦だろう。そこで貴様ら試験科第一小隊のみ単独行動をしてもらうことになった」

 「なっ!!」

 (んな無茶な!!)

 「無論、無茶は承知だ。だが、上も貴様等を使い捨てるほど無能ではないだろう。私も作戦に目を通したが出来ない話ではなさそうだしな」

 「では...作戦を」

 

 4月4日、遂に帝國は鴨緑江渡河を開始。その先陣を切ったのは第一小隊だった。

 




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