公爵令嬢、初めての魔法を使う
1話からの投稿が随分と開いてしまいすみません。
亀よりも書くのが遅いのですが、頑張って投稿していきたいと思います。
公爵家の敷地は無駄に広いと思う。
屋敷は無駄に大きいし、空いている部屋や用途不明の部屋も多い。
公爵だからとこんなに大きな屋敷は必要ないんじゃないかと思うんだよ、私は。
見栄だか何だか知らないけど、馬鹿でかい屋敷を持つとそれだけで維持費とか無駄な出費が出そう。まあ、私がこの屋敷継ぐ訳じゃないし、別に関係ないんだけどね。
ただ、ちっこい体で歩き回るのには一苦労なんだよ!
無駄に広い屋敷に舌打ちしたくなる。
今までは自室で侍女にあれこれ指示していただけだけど、今は指示するよりも自分でしてしまいたいのでそうすると、この屋敷は広すぎて書庫から庭に行くだけでも子供の身体では一苦労なのだ。さらに、頭の中は前世の二十数年分の記憶と知識がありながら体は六歳。
頭脳は大人、身体は子供。どこぞの名探偵…じゃなくて、頭脳と身体が合っていないせいで思った通りに体が動かせないのが歯がゆい。
「あーもうっ!ドレスが鬱陶しい」
ズボンが欲しい。てか、ジャージの生活がしたい。
前世の緩い私服が懐かしい。
ドレスは見てる分には華やかでかわいいけど、実際着てみると大変だし、汚してはいけないと常に気を張っていないといけないから大変だ。
令嬢って意外と大変なんだな、どうでもいいことを考えながら歩くこと数十分。やっと庭に出れた。
「はー…さてと、何処か人目のなさそうな所はないかなー」
建物も広ければ、庭も広い。なので、良さそうな所を探して取り敢えず庭を歩き回ることにする。
* * *
「はー…疲れた」
無駄に広い庭を歩き回り、人気もなく、整備されていなさそうな場所を何とか見つけた私は、そこでいったん休憩することにした。
無造作に積まれたレンガや木材の中から、座るのにちょうどよさそうな丸太を見つけ、そこに座る。
見たところ、廃材置き場って感じかな。
ここなら間違って何か壊しても叱られることはないだろう。
「…魔法って、どうやって出すんだ?」
魔法に関する本を読んで来なかったなぁ。でも、まあ、いっか。やってみれば何とかなるでしょう。
そんな軽い気持ちで私は手を前に突き出し、目を閉じた。
よくあるファンタジーものだと、こう、手の中に目に見えないエネルギーを集めるイメージで行けばできるんじゃないっけ。
「むむむ…」
バチッ
「ん?」
今、バチっていう音しなかった?
何かが爆ぜるような音がして、閉じていた目を開ける。
パチッ、パチパチッ。
「……」
突き出した手の中、青みがかった白い稲妻が爆ぜている。
「え?」
バチッ、バチバチバチッ!
なんだこれ、と思った瞬間、手の中の稲妻が勢いよく爆ぜ、ドォン!と地鳴りのような音が響き、私の目の前の廃材の山が爆発した。