part13
今回もお読みいただきありがとうございます。
今回は渋沢大蔵大臣の話です。渋沢という苗字でお分かりかと思いますが史実渋沢栄一さんを元としていますが、やってることが全然違ったりするんでそのへんはよろしくです。
渋沢からの返答がないまま3日が経ちそろそろ出発の準備が必要であり、また私がサインをしないといけない文書にサインし続ける日々が続いた。渋沢は当然私が旅行しサインを貰えないことはわかっている。
そんななか宮廷の首相官邸室で各大臣が集まったとき唐突にその話題が出された。それも首相からだ。
「渋沢大臣、大蔵大臣の職を辞したいというのは本当ですか?」
「何故それをご存知で…まさか陛下から?」
「そうだ。それで理由というのはなんだ?」
「我が国では陛下が君臨なされ、それをもって初代王様即位以来の大転換を迎えると考えました。そのため現在国内にある生産体制、販売体制をもってしてはこれからの激動の時代についていけなくなり、民間の力が失われ、全て国営の企業になり、結果競争がなくなり成長が遅くなったり、ひいては経済停滞・衰退が予想されるからです。これからのことを考えると私は民間に行き、民間の力によって国家を支えていきたいと考えました。」
「後任は高橋副大臣でいいんだな?」
「はい。高橋は私より若いですが、国家の財政を担うとすればこれ程優秀な人はいません。よって私は高橋を推薦致します。」
「いいえ、首相並びに大蔵大臣お待ちください。我ら陸海軍部からすれば次の大臣は服部くんにお願いしたい。服部くんは大蔵省の出で採用時には首席で入ったという。それほどの逸材を据えない理由がないというものだ。」
「わかった。次の大臣は私と大蔵大臣、元老と相談の上決めることとする。あくまでも軍部は軍部を担当し大蔵大臣を直接的に決定するとは認められない。これは軍大臣の決定に大蔵大臣の決定がないのと同じである。しかしその案に関しては一つの案として考えさせてはいただく。」
「分かりました。」
「では渋沢大臣、この閣議が終わり次第君の最後の仕事をしていただく。いいね?」
「はい、首相。」
2時間後閣議は終わり首相と大蔵大臣は5階へと歩いていった。その途中首相は泣き始めた。泣くと言っても二三滴ほど涙がこぼれたのである。実は高校から大学にかけての親友であり卒業時の首席には現首相、次席に現大蔵大臣となっていた。首相は外務省、大蔵大臣は大蔵省にそれぞれ首席で入りお互い切磋琢磨し続けた仲だった。そして首相と大蔵大臣は初めて一緒に仕事が出来る機会として長い間を経てようやくなり、短い間ではあるが忙しい日々を乗り越えていたのだ。そのため大蔵大臣としては辞めるとは言い出しにくく、また首相としても辞めて欲しくない気持ちでいっぱいなのであろう。首相が目元を濡らしながら国王室をノックした。
「陛下、岡田と渋沢であります。失礼します。」
「どうぞー。」
「陛下、今回の渋沢は大蔵大臣の職を辞したいとのことです。私は承認致しましたので最後に陛下から承認を得たいと思っております。
「渋沢、今までありがとう。お疲れ様。」
岡田と渋沢は感極まり泣き始めた。
「ありがとうございました、陛下。」
「うん、では妙連呼ばないとね。私が呼んでくるからそのままでいいよ。」
2人が泣き止むまで私は妙連の部屋に少しいさせてもらった。泣き止むのを見計らい妙連と2人の元へ行った。
「お疲れ様でした、渋沢さん。」
「西園寺様…」
「落ち着いたようだし次の大臣決めないとね。」
「はい。私渋沢は高橋を推薦致します。」
「閣僚からは服部を推薦する声がありましたが私からしては彼は増税派、これからの財政の考え方から逸脱するもので良いとはいえません。」
「この感じだとみんな高橋さんを推薦ってことかな?」
妙連がそういうと二人とも頷いた。
「軍部からすれば増税して軍備強化したいのでしょう。しかし今はそういう状況ではありません。」
渋沢としてはどうしても服部にはさせないようだ。そして私が言った。
「紙幣発行が始まったら国債を発行する。そうしたら多少は財政の心配を必要としないだろう。」
「おー、なるほど。となると私は民間におりてそれを購入していき、紙幣を流通させるため銀行を作れば良いのですね。」
「それは国王自らそのような指示や助言は出来まい。」
「陛下は常に立憲君主制を重んじられておりますね。元老の立場としてそのような直接の指示、助言は困ったものですので嬉しいことではあるのですが…」
「それじゃあ高橋副大臣を大蔵大臣に致しますね。陛下、ここにサインを。」
「うん。」
そう言って書いた瞬間に渋沢は一個人となった。大蔵省の職員が渋沢の辞職を知ったのは翌日私のサインが入った辞職証明書の複製が掲示板に貼られた時だった。大蔵省内は混乱状態になったが高橋がまとめたため大きくはならなかった。その後大蔵省で渋沢の送迎会が行われることになった。渋沢は大蔵省内で絶大な人気と支持を受けていたためそれは大々的に行われるそうだ。
今回もお読みいただきありがとうございました。
渋沢…
ここからは高橋チートが始まります。
次回もよろしくお願いします。




