第13話
再び監視塔の鐘が鳴り響く。城壁に予め設置しておいた砲台を使用する音も同時に鳴り響く。
"暗黒より出でし者"が侵攻してきたのである。
しかし今度はセルウィディアだけではなく、ユンナクィア、バルディート、ウォルトの方角にも侵攻されているのだった。
まるで、神子が関わった国へと災いが向くかのように…。
今度の影は侵攻に遅くはなく、槍を持った者や弓を持った者、武器の形が様々である。
各国の騎士達はルクスから授かった魔法武器を用いて応戦する。
ルクスもまた、影の討伐に乗り出す。
だが、前回の影よりも強さが増していた。ルクスの魔法が効きにくくなっていた。
時間が経つにつれて、ルクスの魔力にも限界が近づいている。
ルクス「(いつのまに)」
気づいたら影に囲まれていた。挙句に竜の形をした影も出現していた。
ルクスはこの時、何故か壁画の伝承を思い出していた。
神子がいる限り、影が出るのではないかという考えも出ていた。
ルクス「(だが、それだと僕がこの世界に現れた理由にならない!)」
悩みながらも影と戦闘。影の竜による竜爪が迫る。
ルクスは防御魔法を展開するも間に合わず、怪我を負った。
危険を察知したのか、ウォルトの姫巫女シーリアと騎士ゼス=クロウディアがシーリアの転移魔法でルクスの元へと参った。そしてゼスはルクスを抱え、シーリアと共にウォルトへ。
今、セルウィディアへ行っても守りは硬くないと判断したためか
シーリアはウォルトへルクスを連れて行き、治癒術師を呼び出して治療を指示した。
治癒術師長のクレアは、ルクスが負っている傷が深く助けられるか分からないと発言した。
ルクスに意識は無く、ただシーリアとゼスは見守っていた。
治癒術師は魔力の限界が来る前に交代して回復し続けていた。
この間、各国は激戦を強いられていたのだった。