三十二 学科試験
実技試験が終わって一週間ほどのち、学科試験がスタートする。
一週間ほどかけて、自分の専攻科目の試験をクリアしていく、自身の未来をかけた試験である。
この結果によって卒業後の配属先も変わってくる、容赦ない試験なのである。
「よう、どうだ?」
ジーンが声をかけてくる。
「まあ、ほどほどってところかしら?」
そうグレイスが答える。
「目の下に隈作ってる奴が多いんでよ、どうかと思って」
「今更詰め込みしたって遅いでしょ。美容にも悪いし。ねぇ、フレッド」
「全くだ」
髪のキューティクルにも影響してくる。ここは普段どおりが一番。
「焦っても仕方ないだろ?なるようになれってとこだ」
とはカイルの言葉。
「……その通り」
とは、言葉少なめなウォンの言葉。
「普段通りの実力で行こうじゃないの」
こう言えるのはプランキッシュ・ゲリラの面々だからこそかもしれない。
試験初日――初題、宇宙物理学。
グレイスの専門ではないが、航宙士として取得しておかなければならない科目である。
他の科目でも基本となる科目である。
物理学は基本が大事。
仲間から教わった公式や解法を駆使して試験に取り掛かっていた。
他にも物理学関連や航行学の試験があり、この日は物理学一色で終わった感があった。
試験二日目――人事管理
いろいろ居るクルーの中のどこを評価しどこを罰するべきか、それぞれが判断しレポートとして提出する。
人としてどう向き合うか。
それが問われる試験だった。
この日は主に、人事労務関係の試験に追われていた。
三日目――法学概論および専門課程法学
自分の対処が、連邦法の下で合致しているか問われる問題であり、更に専門課程の法学では細かい設問でどの項目と合致するかまたは相違するかをレポート形式で提出しなければならない。
この日は主に法学関係のテスト日。法医学、犯罪心理学もあって、この項目を主として取っているグレイスとリウは、レポートの嵐に巻き込まれ、何とか息をしている状態だった。
四日目――専門分野科学技術系問題。
これには、プランキッシュ・ゲリラの面々ではフレッドとウォン、ジーンが、プランキッシュ・ゲリラの面々は、ロバートとケンが当たっていた。
とにかく基本、基本が大事のこの分野。
せっせと問題を解いていく四人だった。
五日目――技術総論
これは全員が受けなければならない科目だった。
もし、担当技師が操艦できない状態にあった場合、自分がどのように対処するか、それを答えなければならない問題だった。
半泣きの学生も少なくなかったが、これは全員回答が求められた。
プランキッシュ・ゲリラ、ライトニング・ブルーの面々は時には筆を止めて考えながらも、どうにかレポートを纏めていった。
六日――連邦航宙士としてあるべき姿とは
これには明確な答えがない。
自分が感じていること、考えていることをすべて文字に起こす必要がある。
自分が目指す航宙士とは、士官とは何か、どうあるべきか。
それを文字に起こしていく。
一人ひとり、違って当然の回答。
これを起こして記載していく面々だった。
七日――非常事態宣言について
連邦が危機的状況に陥った場合、非常事態宣言が出される。
これをもって連邦宇宙航空局は連邦艦隊と合算され、特別艦隊となり連邦特別行政法により一階級上の士官となって軍人として統合される。
これについての考えや、疑問点、問題点等をレポートとして提出するのである。現行の施行を是とするような内容では、試験は突破できない。そういう内容だった。
一週間を終えて……。
「つっかれた~」
「マジでレポート多くね? 普通の○×問題ならやりやすいのにさ」
「文章から私たちの本心読み取ろうとしてるんでしょ」
「最悪だ」
文句が次々と出てくる。
グレイスは非常事態宣言に関しては懐疑的だ。
そこまで連邦が追い込まれていたとしたら、連邦軍は壊滅的なダメージを受けていることになる。宇宙航宙局が併合されたとしても事態を打開できるかと言えばそうではないと結論付けている。
果たしてこれが、良い評価になるか悪い評価になるかについては後日の成績でわかるというものだ。
「とにかく、試験は終わったんだから、ゆっくりしましょ」
この一言で、お茶をゆっくり飲むことになった面々だった。




