二十九 帰寮
昼食を大幅なカロリーオーバーで帰寮したメンバーは、夕食は無理かと思いきや、いつも通りペロッと夕食を平らげてみせた。これにはグレイスは呆れるほかない。
「あなた達の胃袋ってどうなっているのかしら。解剖してみたいところだわね」
「俺達、わっかいもーん。このくらいで胃もたれはしません」
「若いからという問題じゃないと思うけど……特殊仕様なのかしら。でも、納得」
グレイスは、彼らの胃袋は別次元のものと思うことにした。
「さあ、最終試験に向けて勉強するとしましょうか」
各メンバーは自室へと姿を消していった。
グレイスは自室の机の上で「宇宙航行学」のテキストを開く。
目は字面を追っていたが、心は別を向いていた。
訓練航行は間違っても順調とは言えなかった。
テロリストに遭遇するわ、ブラックホールに巻き込まれかけるわ……。
でもそれに対処できたことが、自分の強みになっている。
それは他のメンバーも同じだろう。
それを生かしてこれからの航行、そして人生を全うしていく。
それが自分たちの人生を作っていくのだろう。
まずは、試験を突破しなければ、その人生が来ない。
テキストを見ながら、経験と照合して、纏めていくグレイスだった。
ジーンも同様だった。
グレイスと組んで一次航行、二次航行を行った。
他の者と組んだ訓練では味わえなかった、数々のトラブル。
それに対処した自分達。
自信を失う必要はない。
堂々と、前を向いていればいい。
テキストを前に、訓練を思い出していたジーンだった。
カイルもまた同じ。
彼らと訓練を組んでいなければ、医療スタッフとして前線に出ることはなかっただろう。
ただの研修として終わっていたはずだ。
ありがたくないトラブルであったが、自分を成長させてくれた訓練でもあったわけで、それは素直に受け止めようと思ったカイルだった。
フレッド、ウォンは、グレイス達と一次訓練を共にした。
テロリストの艦船占拠という非常事態に遭遇したわけだが、仲間がそれを支えてくれた。
自分一人ではとても対処できなかっただろう。
仲間がいて、一緒に対策を練り、行動に移す。
教官には大目玉を食らうことになったが、良い経験をしたと思う。
テキストから意識は離れていたが、自分の良き経験として、心のうちにしまい込むのだった。
ライトニング・ブルーの面々もまたしかり。
他のメンバーと組んでいたのではとても対処できない事案に対処できた。
これは大きな経験となった。
プランキッシュ・ゲリラの面々同様、自分の糧として、これからの自分と向き合う面々だった。




