二十八 食後の後は……
さて、ファミレスを出た面々は、特に何をするでもなくぶらぶらとショッピングモールを歩いていた。
「ただ歩いているの、もったいないぜ、何かしないか?」
そのセリフで、ジーンははたと思い出した。
「そういや、以前会話に出たボーリング対決、やってなかったよな。……やるか?」
「そうだったな。いいね! やろうぜ!」
というわけで、ショッピングモールにあるアミューズメント施設へと立ち寄った。
全員前金を払い、施設に足を踏み入れた。
「さてさて、ボーリングは空いているかな?」
運よく、一レーンが開いていた。
「よっしゃ、やるぜ!」
というジーンをしり目に、他のメンバーはボールを選ぶのに余念がない。
「グレイス、お前はどうするんだ?」
「ライトニング・ブルーとは人数が合わないでしょ、私は見学に回るわ」
「了解」
初対決。プランキッシュ・ゲリラとライトニング・ブルーのボーリング対決はこうして始まった。
「さあ、ジーン。ストライク目指しましょうか?」
「冗談、前やってから一年以上たってるんだぜ? 俺は初心者だろうが」
「ふん、すぐにストライク量産した奴の台詞じゃないな。根性で思い出せ」
「そんなぁ」
チーム員の容赦ない言葉に追い立てらてられる。
「行くぜ!」
先行のジーン。ゴロゴロとボールを転がす。
九本のピンを倒した。
「何だ、感覚覚えているじゃない」
「問題は、あの残った一本を倒す実力があるかということだな」
「お前、俺にプレッシャーかけてないか?」
「もちろん掛けているとも。スペアを取れ、至上命令だ」
「そんなぁ……」
半泣きの状態でレーンに向かうジーン。
そんなジーンにグレイスが声をかけた。
「ここで決めたら、男前! やって来い」
「了解」
気合が入ったらしい。
残りの一本に向けて、ジーンはボールを転がした。
全員が息を飲み込む瞬間。
――カーン。
ボールがポールに当たった。
「よっしゃー、やったぜ」
スペアをキープしたジーンだった。
これにプレッシャーを感じたのが、ライトニング・ブルーの面々。
スペア以上を取らなくてはならなくなったからだ。
「ロバート、お前行けや」
「お、おれ~?」
「まあ、気楽に行けや、こっちはプレッシャーかけないから」
「すでにかけてるじゃないか!」
「まあ、本数稼いでくれればそれでいいから」
「左様ですか……」
ロバートがレーンに向かう。
「うおっしゃー」
ボールを転がした。記録は七本。
「うわ、残った三本の位置が微妙。二本狙いで行くのがベストか」
ボールを転がした。
二本ゲット。スペアにはならなかった。
「俺の実力ではこんなもんでしょ」
後のメンバーに勝敗を預ける。
次はプランキッシュ・ゲリラのフレッド。
「おい、ストライクを狙えよ」
「もちろん」
フレッドがレーンに向かう。チーム員はじっと見つめていた。
「そりゃ」
ボールを投げ込む。勢いが良く、全本を倒した。
「やったぜ」
これはライトニング・ブルーの面々にとって大きなプレッシャーとなった。
「ここでストライク取っておかないと後がつらいぜ」
そして、運が強いリウが第二陣となった。
「そりゃ」
ボールがレーンを転がる。中心点を通ってピンのところへ……。
ストライクだった。
「よっしゃー」
首がつながったライトニング・ブルーの面々はハイタッチしている。
「あの牙城を何とか崩さないとね。カイル、行ける?」
「ああ」
「ストライク狙い、出来なくてもスペアってところで」
「了解」
カイルは気負いもなくテクテク歩いて、どっこらしょとかがみ込み、股の間からボールをごとっと転がした。
投げるスタイルは全く様になっておらず、笑い転げる面々だったが、成績を聞いて蒼白。
――ストライクだった。
「何であの投げ方でストライクなんだ?」
「知るか」
後攻のライトニング・ブルーの面々は焦った。
もう攻め方がどうのと言っている暇はない。
「真ん中狙ってボールを投げろ」
そう言うしかなかった。
さて、戦況はというと、今ライトニング・ブルーのケンが八本倒した。
そして二投目……ガーター。
これで勝負がついたようなものだったが、彼らはあきらめていなかった。
「最後のウォンがドジるかもしれない。まだあきらめるな」
そう言って自分達を鼓舞していた。
そのウォンはというと……。何時ものごとく無言でボールをタオルで拭いていた。
「ウォン、大丈夫?」
「ああ」
何時もの無口のまま、レーンに向かう。
外野がわいわいしていても、彼は平常心そのもの。
ガタン。
ボールをレーンに投げ入れた。
すると……。ボールは中心に吸い込まれポールは全部倒された。
「いやったぜ! 勝ちだ―!」
ジーンが両手を突き上げて喜ぶ。
勝敗を決めたウォンはというと、そうですね、といつもながら穏やかな口調でそう言った。
「ここは一発、リベンジマッチを申し込む!」
ライトニング・ブルーのロバートが言った。
「おう、受けて立つぜ」
とは、ジーンの言葉。
「無理よ」
と言ったのはグレイス。
なにおうという目でグレイスを見たが、グレイスはどこ吹く風と受け流し、腕時計をポンポンと叩いた。
「時間」
「あっ」
寮の門限が迫っていた。
これでは試合が出来ない。
「リベンジマッチは今度ということで」
そう言って、メンバーは帰路に着いた。
――これにて、今回のボーリングマッチは終了となる。




