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二十七 日常へ……

 第二次航宙訓練も無事に終わり、グレイス達はアカデミーに帰還した。

 他の艦で訓練をしていたフレッドやウォンも特に問題なく訓練を終了し、アカデミーで行われる最終訓練に目を向けていた。

 今まで行ってきた訓練の内容を鑑み、グレイスは航宙士として、ジーンは火器管制として試験に臨むこととなる。


 その試験の前の休日、息抜きをしようと、プランキッシュ・ゲリラの面々は外出許可を取り、一般居住区に繰り出していた。

「勉強から離れるってのもいいものだな」

「久々にリフレッシュ」

 背伸びをしながら街中を歩く彼ら達。

 やはり目立つ存在で、自然と人垣が割れる。

 と、そこへライトニング・ブルーの面々がやってきた。

 こっちも人垣を割っていたようだが、自覚はしていないらしい。

「そっちは目立つねぇ」

 と声をかけてきた。

「お互い様だろ」

 そう言ったのはジーン。

「そっちも外出許可取ってたのか」

 フレッドが言った。

「ああ、試験勉強の息抜きにね。そっちも同じか?」

「その通り」

 でかくてイケメンの男八人プラス女子一人。目立たないわけがない。

「通行人の邪魔になる。どこか別の場所に移動しましょ」

 グレイスの提案で場所を変えることとなったメンバーだった。


 大きな男たちが大人数でいても差しさわりがないところと言えば……。

 ファーストフードかファミレスになる。

 今回は場所をファミレスに移した。

「昼まだだろ? なんか注文しようぜ」

 グレイスは漬けマグロ丼とスープ。メニュー表を置いて一息ついた。

 そして注文を取りに来た店員に告げた男性陣の注文を聞いて、グレイスは唖然とした。

 ――特大ハンバーグとカットステーキ、豚バラ野菜炒めがセットになった特別スタミナ定食。付け合わせにフライドポテトとソテーしたニンジンがついていた。

 定食なので、それにライスとスープ、サラダが付くわけで……。

 それが八人前。

 このテーブルに置ききれるのか? というくらいの量が来るはずだ。

 そうこうしているうちに、注文品がテーブルに届いた。

 テーブルに所狭しと並べられたメニューたち。

 どこにそんなに入るのかと思うくらいの量がある。

 それを男性陣はペロっと平らげて、デザートまでほおばっていた。

 さすが育ちざかり。

 グレイスもまだ育ち盛りのうちに入るが、そこまで食べられる自信はなかった。というより無理だった。

 ドリンクバーのコーヒーを飲みながら、あきれ果てていた。

「よく入るわね」

「試験前だから、ガッツリと行きたかったんでね。寮ではステーキは食べれないし」

 確かにおっしゃる通り。ごもっとも。寮では間違ってもこのようなメニューは出ませんとも。カロリーオーバーなのは目に見えている。食事として提供するはずがない。

「いやー、ここまで肉攻めだと、いっそ感激だな。食った食った」

 ジーンが満足そうな声を上げた。

 他の面々も同じだったらしく、ふーっと満足げに息を吐いてドリンクバーの飲み物の攻略に移行していった。


「来週からの試験、どんなものになるのかしらね」

「先輩たちも、これについては何も漏らさずに卒業していったからな」

「訓練の試験に、学科の試験か。嵐が続くな。全く」

「ほんとに嵐だ」

 ローズヒップティを飲みながら、フレッドは言った。

 蛇足であるが、彼がこのお茶を飲んでいるのは美容に良いといわれているからである。

「学科も気になるわー。範囲がこの学校で覚えたこと全部でしょう? 何を試験に出してくるかしら、あの鬼教官達は」

「ここまで来たら、グダグダ考えても仕方ないんじゃないか? 詰め込みで対処もできないわけだし。簡単な試験であることを祈るだけだぜ」

「やっぱりそうなる?」

「そう」

 彼らがこのファミレスに居座って三時間。流石に店員も彼らを追い出したがっていたが、ところどころに入るデザートの注文があるため、追い出せない。

 彼らはそれをいいことに居座り続けた。

 ジーンがデザートのアイスをほおばる。

「グレイス、そういや聞きたいと思ってたことがあるんだが……」

「何?」

「お前、連邦大学じゃ、結構高嶺の花って聞くぞ。誰か意中の人はいないのか?」

 ひゅううううう……。

 周辺の空気の温度が急激に下がった。

 フレッドがあわてて質問したジーンの口を塞ぐ。

(馬鹿野郎! ここを凍土にするつもりか)

 小声でいなす。

 周りの者は、恐る恐るグレイスの発言を待つ。

 数時間にも感じられる無音の時間だった。

「あなた達も知っていると思うけど、今私は恋愛に興味はないの。勉強でせいいっぱい。言い寄ってこられても迷惑なだけ。だから高嶺の花だろうが何だろうが意味はないの。分かったかしら?」

 キンキンに冷えた空気を醸し出すグレイスの言葉に、他の男性陣は無言で首を縦に振っていた。

「さて、河岸を変えない? この店に十一時から入ってもう十四時よ。流石に迷惑でしょう?」

「それもそうだな」

 ファミレスを後にすることに決めた面々だった。




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