十四 アカデミーへ復活!
アカデミーに帰還した翌日――。
艦上訓練による時差ボケ解消のため睡眠をとっていた訓練生達を、教官達は問答無用、容赦なくたたき起こし、教官室に呼び出した。
眠さを抱えていた者がいただろうが教官達の前ではおくびにも出さなかった。
教官達が呼び出した内容としては……
「テロリスト対応の詳しい説明書を出せ」
とのこと。
それには全員「は?」と間抜けな返事をしていた。
「それはすでに出してありますが……」
「これは要点をまとめたものだろうが。誰がどのように作戦を決め、誰がどんな行動をしたか。端折らずに正確に記載したものを出せ。これはプランキッシュ・ゲリラ、ライトニング・ブルーまとめて一通のレポートでいいぞ」
ポンと渡されたレポート用紙。
それをじっと見るグレイス達。
「じゃあな、レポート待ってるぞ」
そう言って教官達は学生を教官室から退出させた。
教官室から退出した後、プランキッシュ・ゲリラ、ライトニング・ブルーの面々は寮の共有スペースに移動した。
「何か裏がありそうな気がする」
ぼそっとジーンが言った。
「それは俺も感じている」
こちらはロバート。
他の者は無言で与えられたレポート用紙を見つめている。
「とにかく、提出しなくちゃならないでしょ、書きますか」
そう言ってグレイスはレポート用紙と向き合った。
はじめ、予備の用紙に時系列を追って要点を書き出していく。
要点と要点の間にそれぞれの行動がプラスされ追記されていく。
それぞれが細かいことまで書き足したため、メモは膨大な量になった。
「これを纏めろってか?」
メモをびらーっと見たロバートが言った。
くじ引きの結果、ロバートが代表して纏めることとなったのである。
「ええと、はじめは艦長からの救助命令があって……」
ぶつぶつと言いながら、書いてゆく。
「第一級警戒態勢が発動された直後、テロリストから占拠の放送があって……。その後、各員部屋を偽装して換気ダクトに避難して……」
フムフムと言いながら書くことに集中する。
書き始めから十五分、ロバートはレポートを纏め上げていた。
レポートの提出は、こちらもくじ引きの結果、ライトニング・ブルーのケンに決まった。
彼に提出を任せ、他の者は中断された睡眠を取るべく寮の部屋に戻っていた。
「さあ、寝るぞ」
そう言ってベッドに入って横になった途端、サエキ教官の放送の声でたたき起こされた。
「プランキッシュ・ゲリラ、ライトニング・ブルーの面々は、直ちに教官室に出頭せよ」
それを聞いて溜息を一つ。
「またかよ」
教官の怒りの度合いを示した放送に、仕方ないかと身づくろいをして教官室へ向かう面々だった。
教官室へ着いた途端、全員一列に整列させられ……。
こちらでも教官から怒りの鉄拳を、ゴンゴンゴンと受けることとなった面々だった。
「痛ってぇ」
「当たり前だ、こちらの腕も痛いわ!」
サエキ教官の容赦ない鉄拳は学生達の頭の上に容赦なく落ち、学生達は頭を抱えてしゃがみこんでいた。
「危ない橋を渡りおって! うまくいったから良いようなもの、下手したらあの世行きだったぞ」
ケンから渡されたレポートを読んだ感想がこれだった。
「それは十分理解しています」
涙目になりながらジーンが言った。
「俺達にはその方法しか取れなかったもので」
ふーっと溜息を吐きながら、サエキ教官は言った。
「お前ら全員反省文!」
「え? 艦上でも書きましたよ、俺たち」
「こっちでも書け」
えーっ、と言う学生達にサエキは冷たく言った。
「嫌なら、学生審議委員会にかけるぞ」
強烈な一言だった。プランキッシュ・ゲリラ、ライトニング・ブルーの面々は、自分の顔面が引き攣ったことを自覚していた。
学生審議委員会。
一言で言えば、アカデミー学生であることそのものの可否を問う委員会である。
めったに開かれない委員会であり、逆に、委員会が開かれるとなれば、学生資格の消失がほぼ決定という、学生にとっては全くありがたくない委員会である。
「グレイス・九条、以下九名、反省文提出、了解しました!」
グレイスが代表として挨拶した後、全員敬礼をし、回れ右をして一列で教官室を後にする。
またもや反省文地獄を甘んじて受けることとなったプランキッシュ・ゲリラ、ライトニング・ブルーの面々だった。




