十三 またいつか逢う日まで
プランキッシュ・ゲリラ、ライトニング・ブルー、ブラウン・ベアーの面々は、途中テロリストの妨害にもあったが、無事、艦上訓練を終えた。
今日は、訓練最終日である。
このメンバー、人懐っこいせいもあってか、下士官達に異様に人気があった。
「おれ、お前の下でなら働いてもいいな」
「お前達が上官なら、退屈しなさそうだな」
といった声が聞かれた。
この評価は果たして良いことなのか、悪いことなのか。
ただ、今回のこの航海は『悪ガキ』達にとっても、忘れえぬものとなった。
艦長からの鉄拳という、他の訓練生では味わったことのない体験もあったが。
「お前達、アカデミーに提出する報告書は出来たのか?」
艦長が聞いてきた。
「はい、すべて終了しています」
「この艦の悪口書いたりしてないよな?」
「それはないのでご安心を。むしろ、普通の訓練では体験できないことを体験したわけですから、感謝しています」
「本当か?」
「本当ですとも」
実際訓練生は体験したことを細かくレポートに記載していた。テロリストの拘束を受けたものと、遊撃兵として行動した者と。
ほかでは体験出来なかった内容だ。
感謝こそすれ、苦情を言うはずがない。
他のクルーとの交流もそうだ。
事件があったこそ、親密になれた。
これを見ると、テロリスト様様といった内容になってしまうが。
「俺たちはアカデミーに戻ります。もし、俺たちの部下になったら、喜んでくれますか?」
「もちろん、喜んで上官として歓迎するぜ」
その言葉を聞いて、悪ガキ達は安堵した。
これで、この艦ともお別れだ。
「また逢う日まで、see you!」
そう言って航宙艦『フレイド』から、プランキッシュ・ゲリラ、ライトニング・ブルー、ブラウン・ベアーの面々は艦長から退艦許可をもらって下艦した。
これで彼らの艦上実習は終了となる。
実のある実習であったことは否定できない。
これから、アカデミーに帰還する。
――またいつか逢う日まで
彼らと会うとすれば、この宙の上。
自らの心の奥にこの実習をしまい込み、翌日からのアカデミーでの訓練に向けて気持ちを整理して、アカデミー行きのシャトルに乗り込んだ。




