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十二 通常訓練

 反省文の嵐に見舞われていたプランキッシュ・ゲリラとライトニング・ブルーの面々は、何とか嵐を乗り切り、通常訓練に戻っていた。

 この船に奇襲をかけ、一時占拠したテロリスト達は、連邦宇宙航空局のテロリスト対策部に引き渡され、連行されていったらしい。

 「らしい」というのは、その時は反省文の作成の嵐の中であり全く関知せず、他のクルーからそうなったと伝聞で聞いたためである。


「よう、悪ガキ。今日の体調はどうだ?」

 そうクルーが声をかけてくる。

 テロリストの一件以来、プランキッシュ・ゲリラとライトニング・ブルーの面々には、クルー達は「悪ガキ」と声をかけるようにしたようだ。

 アカデミーのエリートと船の乗組員といった、一歩引いた感じの対応ではなく、「悪ガキ」とクルーといった、近い信頼関係が築けたのは良かったのだろう。

「今日も順調っすよー」

 そう答えたのはジーン。格闘技が得意なのも知れ渡って、クルーから対戦の要望が来るのである。

「今日は何時までだ?」

「標準時で十八時まで勤務です」

「こっちの悪ガキも格闘技得意だったよな?」

 こっちの悪ガキとは、フレッドのことだ。

「じゃあ、夕食後、そうだな、標準時で十九時半、手合わせしないか?」

「了解!」

「了解!」

 二人はこんな返事をした。このような感じで悪ガキ達はコミュニケーションを取っていた。


 グレイスがトレーニングルームでランニングマシーンを使ってトレーニングしていた時、ジーンとフレッドがトレーニングルームに来た。

 約束していた対戦を果たすためだ。

 トレーニングルーム横にある格闘スペースに身を寄せる二人。グレイスは興味半分でスペースを覗く。

「調子はどう?」

「まあまあ、いいんじゃないのか?」

 二人は手にグローブをはめ、臨戦態勢に入った。


 格闘スペースにあるサークルに入る前に一礼した後、クルーに挨拶する。

「お願いします!」

 こんなところは、育ちの良い礼儀正しさが表れている。

 クルーも一礼した後、攻撃を始めた。

 はじめは攻撃を防御することで様子見の状態だったが、だんだん慣れてきたのか、悪ガキどもは攻撃に転じた。

 しかし、相手は、実戦経験ありの強者ども。思うように攻撃が効かず膠着状態が続いた。……そんな時。

「途中参戦! よろしく!」

 そう言って攻撃参加してきた者がいた。……グレイスである。

「わーっ! バカやろ! グレイス! 途中参戦で相手側に回るとはどういう了見だ?」

 攻撃を防ぎながら、ジーンが吠えた。

「あなた達のサポートなんて、面白味がないじゃない。相手側に回った方が面白いわ」

 ジーンに回し蹴りをしながら、グレイスはこうのたわった。

「――!!」

 二対三の攻防。一気に片が付くかと思いきや、お互い更に攻撃が加速していく。

「新しい悪ガキ! いいじゃじゃ馬ぶりだな! 調子がよさそうじゃないか」

 下士官がグレイスにそう声をかけてきた。

「じゃじゃ馬? まあ、いい方に受け取りますよ。調子は思いっきり、良好です」

 グレイスは攻撃を受けながらこう返す。余裕がある証拠だ。

「グレイス、腕が落ちたんじゃないのか?」

 ジーンが挑発する。

「抜かせ!」

 ジーンの攻撃をグレイスは受け流し、反動を使って攻撃に転じる。

 フレッドも負けておらず、クルーに反撃を仕掛けていた。

 ――パンパン、ドンドン!

 無言でお互いの攻撃が続いていた。

 そして最終的には人数の多い三人組が相手からギブアップの合図を受け取っていた。

「勉強になりました!」

 とは、ジーンの言葉だった。

「ありがとうございました」

 これはフレッドの言葉。

 グレイスもクルーに同じような言葉をかけていた。

「お前らが上官になったら面白いだろうな。楽しみだぜ、早くアカデミー卒業しろよ。待ってるぜ」

 その言葉は何よりもうれしい餞別だった。



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