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どうやら俺は異世界へ行くらしい

初めは短編にしようとか思ってたのに連載へとシフトして今に至ります。作者も作品内容も初志貫徹しない、悪い意味での『らしさ』が前面にでた作品となっております。

※11/10 さっそく書き忘れを発見。後書きの項目を増やしました

 ふむふむほうほう。今は異世界転移して主人公最強が流行ってるのか。なるほどなー…

 あと、他にも色々傾向があるっぽいな…なるほど奥が深い(適当)。

 よし!じゃあ誰か適当にトラックを突っ込ませて、チート能力どっさり与えて異世界に放り込むか!


◆ ◆ ◆


 俺は高坂京…じゃなくて、尾垣玲太。自他共に認めるごくごくフツーな高校生だ。

 そんなフツーを地で行く俺は、特に部活をするわけでもなくフツーに授業が終了するとフツーに帰宅するためフツーな家路をフツーに帰っていった。

 ――そして、フツーじゃないことに出くわしたんだ。


 帰宅途中の大通りを歩いていると、正面からトラックが走ってくるのが見えた。そう、正面からだ。車道ではなく、広く取られた歩道の上をトラックが爆走してきた。あまりにも非常識な事態に体が固まってしまったが、すぐ我に返って近くにあった脇道へ転がり込むことができた。


「危なかった…!間一髪でもないけど危なかった…!

…ただ、ちらっとしか見えなかったけどさっきのトラック、運転手がいなかったような…?」


 さすがにそれはないかと思い直す。だいたい、運転手がいないのにどうやってアクセルを踏むというんだ。結構スピード出てたぞ。

 『多分気が動転していて見間違えたんだろ』その言葉は呟いたのか思っただけなのか。最後まで言い切ったのかどうか。いまいち覚えていないが、そうやってさっきいた歩道へ目を向けると――

 ――目の前にあのトラックがいた。

 慣性の法則(今日の物理の授業で言ってた)を無視して90度向きを変えたトラックがこっちへ向かってくる。

 当たり前だが脇道はトラックが通れるほど広くない。当然、両脇の建物とぶつかって止まるかに見えたのだが…どういうわけか建物がトラックを避けるように道を開け、何も阻むものがなくなったトラックは勢いそのままに突っ込んでくる。

 『そんなのアリかよ』とか『どこの夜の騎士バスだよ』とか『やっぱり運転手いなかったな』とか思いながら、俺の意識はぷっつりと途切れた。


◆ ◆ ◆


「…まぶしっ」


 意識を取り戻して目を開けた途端、一気に雪崩れ込んでくる光の量に眩暈に似たものを感じて手で覆う。

 体を起こして周りの明るさに目が慣れてきた頃、もう一度目蓋を開く。そこは真っ白な空間だった。壁一面真っ白で、自分が寝ていたベッドのシーツも真っ白。そこにはベッド以外何もなくただただ真っ白な世界だ。白以外の光を反射する俺は、どうしようもなく異物でなんだか居心地の悪さすら感じる。


「あ~心がぽいぽいするんじゃ~………お、丁度起きたか」


 いや、俺の他に誰かいた。その人は何かのキャラがプリントされたTシャツにチノパンというスタイルで胡坐をかきながらアニメを見ていた。そのアニメが丁度終わったようで俺へと向き直る。

 …というかこいつはどこにいたんだ?それにこの男の周りにはテレビ以外にも各種据え置き型のゲーム機やらお菓子の袋やらが散乱している。これだけ散らかっていたら見落とすなんてありえないけど、さっき部屋を見回した時にはいなかったんだよなあ…?


「さて、恐らく今お前は混乱していることだろう。俺から説明する前に質問があるなら答えるぞ?」


 謎の男は朗らかに笑いかけながらそう言ってくる。

 急に現れた俗物っぽい男に対して色々と思うところもあったが、一番気になっていて尚且つ本題っぽそうなところから聞くことにした。


「じゃあ…あなたの名前はなんですか?あ、俺は尾垣玲太って言います。初めまして」

「あ、ご丁寧にどうも。初めまして、俺は…って真面目かっ!優先順位第1位がそれ!?他にあるでしょ他に!もっと大切なことが!」

「いや、初対面なんだしまずは自己紹介するのが普通だろ」

「うん。そうだね。立派だね…でもちょっと待って。今の状況、絶対普通じゃないよね?多分この状況で優先するのって自己紹介じゃないと思うんだ。寧ろ優先順位的にはかなり低いと思うよ?」


 ちょっと気を紛らわそうとしただけじゃないか。

 テンション上がったと思ったら急に下がるし、忙しいやつだ。なんだかこいつの言動を見てると、年上っぽいのに同い年みたいに感じて自然と砕けた口調になってしまう。


「因みに俺はブラフマーねっ!創造神的なことやってます!よろしくっ!

はい次!次の質問に移ります!カモン!」

「創造神…?おいおい、いくらなんでもそれはイタいだろ。神様を名乗るとか、さすがに中二でもそこまでぶっ飛んだ奴はいないぞ?」

「うるせーっ!なんなの!?お前なんなの!?聞くとこそこじゃねーだろ!

もう分かった。聞きたいことないなら質問タイム終了な!俺が説明するから、ちゃんと聞いてろよ!」


 『こんなところで字数の無駄遣いさせるんじゃねーよ』とかなんとか呟く。メタな発言すんなよな…

 咳払いで仕切り直した気にでもなったのか、自称創造神(痛)は説明を始めた。


「おい、今すごく失礼なこと考えただろ。

…まあいい。お前はさっきトラックに轢かれて死んだ。そこら辺は覚えてるか?」


 覚えている。あんな奇妙な体験、忘れるわけがない。

 頷きで返すと彼は『よし』と頷いて話を進める。


「それで偶々(・・)事故を見つけた俺が消えそうになってたお前の魂をここに避難させたってわけ。器が壊れた魂ってすぐ消えるんだぜ?ラッキーだったな(棒)!

そんで、ここはいわば『精神&時の部屋』だな」

「それが言いたかっただけだろ。元ネタの漫画がそこに散らかってるぞ」

「そそそ、そんなわけねーし!やめてくださーい。言いがかりはやめてくださーい。言ってること分かんないので話続けまーす。

…んで、こうして魂を連れて来たのは何も同情でこんなことをしたわけではない。お前にはある異世界に行ってもらいたいんだ」


 なんかよくある流れになってきた。

 異世界か…俺も異世界転移だとか転生だとかその手の物語は読んだことがあるから、ちょっと興味あるな。

 ただ、正直、ラノベみたいな話されても本気になれるわけがない。夢オチって可能性もあるわけだしな。まあ夢なら夢で越したことはないかと思い直し、話の続きを促す。


「おっ、乗り気?

異世界に行ってやってほしいことってのはな………」


 話の途中で溜める。どこからか『ダララララ…』とドラムロールの音が聞こえてくる。たっぷりと溜めた後、『ジャン!』という効果音が鳴った。うぜえ。


「異世界転移系のテンプレっぽいのをしてもらいます!どんどんぱふぱふー!」


 『どんどんぱふぱふー』は口で言った。

 いや…待て。なんだそのふわっとした目的は。今までそんな理由で異世界へ飛ばされた主人公がいただろうか?いやない(反語、授業で習った)。

 だめだ、混乱してきた。今まで突拍子もないことが続いてきたが、今が1番混乱してるのはどういうことだ。


「まあ、異世界転移系のテンプレとは言ったがそれ以外でもいいよ。ラノベとか『小説家になりたい』にある作品読んだことあるだろ?そういうののテンプレっぽいことをやってくれればいいから。

いやー、異世界に行ってもらうのはおっさんでもよかったんだけど、そうすると転生になるじゃん?時間かかりすぎるじゃん?転移がいいじゃん?若くてフツーな奴の方が都合よかったんだよね!高校生タグ多かったしこいつだ!と思ったね!

じゃ、そういうことだから」


 いや待て待て。肩に手を乗せるな。目的が目的なら俺を選んだ理由も理由だな!…いや、理由はいいんだけどさ。

 どうしよう、一寸先どころかゼロ距離で真っ暗なんだけど。

 夢だよな…?性質の悪い夢だが、夢オチで済むならそれはそれで…


「え?夢じゃないよ?何言ってんのさ、もー!」

「うるせえよ!…じゃあなんだ、その世界にいる魔王的な奴を倒してこいとかそういう感じか?」

「うん、それでもいいよ。チートもモリモリつけるから、適当にやっちゃって。

神様界でもそういうの流行っててさー、個神のブログとかツブヤイターとかでよく見るようになったんだよねー。だから俺もやってみようかなって☆ミ」


 『☆ミ』じゃねーよ!そんな理由で俺を巻き込むなよ!ますます不安になってきたわ!チートとか霞みそうになるくらい不安しかねーわ!馬鹿馬鹿しい。何故異世界へ行く前提で話を進めてるんだ。こんな話、断って終わりだ。


「まあ、断ったら死ぬだけだし実質拒否権はないんだけどね。引き受けた方がお前の身のためだよ?また見つけるのめんどいし…

じゃ、そこの門が異世界に繋がってるから。いってら!」


 死ぬだけ。その言葉を聞いて俺が置かれた現状を思い出した。

 そうだった。死んでるんだよな、俺………断って死んだままか、不安しかない異世界で生きるか。最悪の2択だが決断しないといけない。

 …答えは出てるんだけどな。死ぬより生きる方がいい。フツーな人生を送ってきたがまだまだ生きることを諦めたつもりも投げ出したい気もない。ただなあ…目の前で鼻くそほじってるこいつの言う通りにすることへの不安がなぁ…

 異世界に繋がっているという門を見る。四角く区切られた空間は白い煙が中心へと渦を巻いていて、向こう側の様子が全く見通せない。

 まるで俺を待ち受ける未来を表しているように見えて、余計に踏ん切りがつかない。


「いやいや、そういう覚悟決める的なのは向こう行ってからでいいから」


 背後から彼の声が聞こえてきたと同時に、ドンッと衝撃が走り体が前へと傾く。

 覚悟も何も決められないまま、俺の体は門の中の白い渦に飲み込まれていく。意識が飛びそうになる直前、『よかった。トラックについて何も突っ込まれなくて本当によかった』という言葉が聞こえた気がした。

 …あのトラック、お前がやったのかよ!どうりで変だと思ったわ!

 声に出して言ったつもりが実際は口すら動かせず、俺の意識は渦に飲み込まれるように深く深く沈んだ。

今回のテンプレポイント(各最大10点※点数は独断と偏見でつけております)

長文タイトル…+6点

タイトルがあらすじ…+5点

主人公が高校生…+5点

事故死…+6点(原因がトラックのため1点加算)

異世界へ行く…+8点

チート…+10点


短評:少ない項目ながらも全て5点以上の高得点をたたき出しているのは見事の一言ですね。

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