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ごまちゃんクエスト!  作者: コグマ
第5章 旧魔王城編
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89! 無題

「全くわからないのかー!」

クレタは驚き、彼女を呆れた目で見た。

「仕方ないなー。んじゃあ、教えてやるよ。」

クレタはだらだらと喋る。

「…僕が見つけたときはもー誰もいなかったからさ。君しかいなかったしー。君は血も出していたしー。運ぶのにもまあ、きついほどではなかったけど、めんどくさかったよー。」

彼女は疑問に思っていた事があった。それは、今まで隣に居てくれた彼の事だった。

「…コト君はどうなったの…」

「………。」

クレタは応えられなかった。知らない方が良いと判断しただろう。

「…彼は居なかったよぉ…」

ごまちゃんは涙目になりかけた。目の潤いが視界を邪魔する。拭いたかった。ただ、ある謎が生まれ、涙を垂らしながら疑問を持った。

「なんで…首飾りが…。」

「それは僕にも分かりませーん。」

クレタは馴れ馴れしい。正直、うざったい。

「何で…」

彼女は何も知らなかった。


「…これが、南方の首飾り…デュアルデルタ鉱石か」

ジェドは満面の笑みで首飾りを見た。

「…憎いな…しかしながら、これでコトを封印できたから…有用だな。」

コトはデュアルデルタ鉱石に封印されていた。目を瞑り、生気を感じられなかった。

(………。)

「ふん。結局はこの程度。ただの木偶の坊だ。」


「コト君を助けようとした人は居ないよ。それが普通に答えだ。」

ダルダルがそのまま部屋に入ってきた。

「ダルダルさん、お疲れ様ですー。」

「一体…何を…」

「お前は護られなければならない。しかし、コト君は違う。彼は忌まわしき存在。魔族の一員だ。結果として居なくなって良かっ!?」

駒玖裡沙として、彼女は許せなかった。それと同時にダルダルの頬を引っ張った。

「いつも慰めてくれた…」

「おい!」

「助けてくれた…」

「待て!」

「コト君を遠ざけて…喜べるわけがない!!」

ごまちゃんはダルダルを睨んだ。そこから涙もまた出てくる。

「おおお落ちついてよお!」

「彼奴が居なくなっただけ、マシじゃ。」

「ふざけないで!!」

「彼奴が居たから、お前もその様な気持ちで居るのではないのか!?」

ごまちゃんは一瞬目を見開いた。ダルダルは話し続けた。

「コト君もそうした方が良いと思う。彼奴は一人でも生きてゆける。ジェドに追っかけられ、捕まるのも、これまた定めなのだろう。貴様が囚われなくて本当に良かった。これで貴様は魔人達の由無し事から救われたのだ。」

ごまちゃんは黙った。目も暗い。



(…コト君……。)



(コト君………。)



(コト君……!!)



『…。』



ごまちゃんは途端に走り出した。唇も噛み締め、あたかも韋駄天の如き勢いで走った。

「お、おぉい!」

「ふん。」


(あの時のコト君は泣いていた。雫を垂らしていた。何も言わずに。呼びかけたのに無言のまま。嫌がられたかの様に私を見捨てて…。)


ごまちゃんはただひたすら走り、城壁を抜けた。この城の色、此処はグランらしい。


(一緒に居たかったんだ。自分だってそうだもん。一人だけは嫌だって。それを誰も思わない。)


ごまちゃんはスライムと出くわした。見るからに大きい。ただ、今の彼女は違った。首飾りが輝く。


(コト君から来ないなら、こっちから…!)


ごまちゃんは目の前のスライムを切り刻んだ。剣に光は帯びている。


(待ってて。コト君。………。)


空白の心に一つ、黒い心が混ざっていった。



彼女は世界も、彼も、追い続けた。

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