8! 戦闘準備
たった今、朝日は南中を通る所だった。オークの奇襲の日から1日経った。その時のクリスタ王の顔は険しい表情をしていた。
「まず聞きたい事があるのだが…何イチャついとんじゃーー!!?」
クリスタ王の代わりにダルダルが言った。
「あっ、この人は私の彼氏よ!」
( えっ、そんな事聞いていないよ! )
ごまちゃんは自慢げに言ったがコトはごまちゃんの方を向いた。この日のごまちゃんは非常にコトに懐いている。
「…!まっ、まさか……」
クリスタ王は、コトに言おうとした。その時、
( やっと気づいてくれたか。まぁ今頃遅いけど… )
と密かに思いながら聞いた。
「君たちGLのつもりか?」
気づけよ!!雄だ!!と内心叫びながら思った。しかし、ダルダルが話を変える。
「ええと、まずあなた方に伝えなければならない事があります。」
ダルダルが周辺の地図を広げながら話を続けた。
「この街にまたオーク達がやって来るという情報が以前から私達は持っているので、その事について詳しく話します。」
ごまちゃんはまたかと嫌な顔をしてダルダルを見つめた。ただ、昨日よりはマシな方だ。
「この街からおよそ3キロ離れた場所にオークが巣を作っています。そこには強欲なオーク達がいます。」
巣なんかに行きたくねぇよとごまちゃんとコトは思った。
「今回あなた方にしてもらいたいのは、巣に行ってそこを壊滅状態にすることではありません。」
( (良かった〜〜。) )
ごまちゃん達は安心した。
「この街にやって来るオークの頭領を討伐し、その部下となるオーク達の行動を食い止める事です!」
「オーク達の行動って一体何?」
「オークは欲望で包まれた魔獣だ。放っとけば、強姦も、犯罪も、普通にやる。」
クリスタ王がダルダルに続いて言った。コトは直ぐに尋ねた。
「オークを倒した俺達を君達が認めた、って事?そして、そのオーク倒した力を用いて更にオークの頭領を倒して部下のオーク達を黙らせる…こんな感じで解釈は合っている?」
「そうですよ。」
「だったら、容易い御用だ。」
そう言いコトは席を外した。
「オーク達はあと15時間くらいでやって来ると思います!数は段々と減っているので最終的にこちらが有利になると思われます!」
ダルダルが最後にコトに言った。コトは承知し、扉を閉めた。
「全く、二人とも可愛いなぁ。」
「クリスタ王よ、最初は私も間違えてしまいましたが、コトと言う奴は男ですよ。」
「なぬ!?GLではないとな?」
コト達が部屋に戻る途中、ごまちゃんは言った。
「ごまちゃん。」
「何?またキスしたいの?」
「いや、そうじゃ無くてさ…」
「何?」
ごまちゃんは喜んだ顔でコトを見た。
「…これから君が闘う事が多くなってくると思うからさ、一旦表に出てみる?」
「…えっ。」
ごまちゃんは少し呆然とした。
「一体…何で私が…」
コトは溜息を出しながら、ごまちゃんに言った。
「俺が死んだら、君はどうするの?」
あまりにも純粋な理由でごまちゃんは焦った。
「惚けていたら、いつか君は殺されるし、俺を頼りにしているから、他は実際に頼りなく見えなかったでしょ。…俺は全力を持って君を守るよ。君がいないと、今は何も生きる気も持てなくなるようになったからね。」
コトはごまちゃんの頬に手を当てた。ごまちゃんも直ぐには応えなかったが、決断した。
「…分かった。私もコト君を守るよ!君がいないとここまで来れなかったもん!」
二人は決意した。しかしコトが言った。
「でも、いきなり闘うと君も無理しそうだから、オーク達とは俺がやるよ。ごまちゃんはその様子を見ていて。」
ごまちゃんは顔をむすっとしたが、後に笑顔になった。