87! ジェドの謎1
前方のジェドは退いた。
「ゲホッ…」
「コト君…」
コトの息が荒くなってきた。旧魔王城のでのダメージがまだ残っている。
「たった二発で終わりか。コト。」
ジェドは嘲りの顔でコトを軽蔑した。
(もう限界なんだ…私達は連戦に対して、ジェドはウォームアップも済んでいる。明らかに不利…ジェドが私達を狙って来た感じね。)
「貴様。コトを離せ。暫く離れるだけでいい。そうすれば、命ぐらいは残してやろう…。」
「やるわけないわ!」
ごまちゃんはジェドから離れた。
「そうか…だったら死しかないな。」
「…。」
ごまちゃんは逃げた。首飾りを握りしめながら。コトを抱きながら。
「逃がすか。」
ジェドも追ってきた。彼女の服を掴もうとしたその時だった。彼女の足が光りだした。
「…ブライティング…」
「くそガァ!!」
ごまちゃんは消えてしまった。光の跡は残っていなかった。
「ドブネズミの様に無様なものだ…しかし、この魔王ジェドの存在を馬鹿にしたとは…一瞬で殺せなかったとはいえ、それはより残虐な死を迎えること同然なのだよ。」
ジェドは心の底から憤り、叫んだ。
「貴様らに未来はねぇ!!」
ジェドも移動を始めた。
ごまちゃんは一旦足を止めた。彼女は剣を引き、背後を向いた。
「…。」
彼女の剣が光を帯びた。そして、腕、脚にも微かに光が帯びた。
「…かかって来なさい。」
そう言ってから数秒か経つとジェドが追ってきた。
「……なっ!?」
「はぁぁ!!」
ごまちゃんはジェドへと向かって走った。コトの様に速くはできないが、速く走った。そして、ジェドに剣を当てた。
「喰らえ!」
彼の上半身と下半身を真っ二つに、それだけではなく消滅もさせた。強力な一閃だった。
「なァァァァァァァッ!!しま………」
ジェドの身体はもう微塵も残らなかった。暫く沈黙が続いた。炎はまだこの夜を照らしている。
「…コト君…!?」
更に背後を見ればコトがジェドと闘っていた。
「コト君!!」
ごまちゃんがコトを退けてジェドの額を貫いた。
「ハァハァ…」
彼女はもう息切れしていた。
「…また来る!!」
彼女らは周りを見た。その後に上方を見上げた。すると、幾人ものジェドが居た。
「フン。馬鹿が。」
彼女らは顔を青ざめた。




